パーティー追放
どうも、大山 たろうです。
お楽しみいただければ幸いです。
荷物を持ち、夜の街を歩く。はぁ、とため息が漏れる。
俺がこうして全荷物を持って歩いているのも、何にもなりやしないため息をついているのも、数時間前のあのことが原因だった――――
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
パーティーが滞在する宿屋の一室で突然に、リーダー、マルコからそう切り出される。
「何を急に言い出すんだ?」
疑問に思ってそう聞いてみるが、リーダーの顔色はあまり良くない。
と、そこでドアがバン、と音を立てて開かれた。
「お前はパーティーに何も貢献してないだろ! それなのに分け前だけはいっちょ前に持って行きやがって!」
パーティーの攻撃担当であるケルヴィンがいきなり入り込んでくる。
「いやいや、俺はしっかりと支援魔法をだな......」
「そんなの効果は微々たるものじゃねぇか!」
ケルヴィンが夜にも関わらず大声を出す。
その頬は少し赤くなっている......俺に恋をしているわけもなく、息が酒臭いことから酔っていることがはっきりとわかる。
「いや、でも回復魔法も......」
と、そこでガタン、とまたドアの音が鳴った。先ほどよりも幾分かかわいらしいとはいえ、夜に立てる音量ではなかった。
「それくらい私ができるわよ!」
クレディ、このパーティーの魔法使いだ。そういえば最近、回復魔法も使えるようになったって言ってたっけか......
「それに俺たちは一度も敵の攻撃を受けてないしな!」
「そうよ、今パーティーに必要なのはお荷物じゃなくてもっと攻撃できる人! 回復は必要ないわ!」
「いや、それは......」
言い返そうと思ったが、「もうよせ」というマルコの制止を受ける。もちろん、俺が、だ。
言い返すだけ無駄、ということが表情から見て取れる。
もうこのパーティーには、俺の居場所はないようだ。
「そうか......それなら、俺が出ていくことは、もう決まっていたのか」
反応的に、今突然に言い出したことではないことくらいはわかった。
ならばもう、無駄な口は叩くだけ無駄だろう。
「それじゃあ」
俺は荷物をまとめるために、部屋から退室した。