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詩集

湯気と私

作者: K・t

挿絵があります。不要の方は非表示にしてご覧ください。

 しゅわしゅわ音を立てている 薬缶やかん湯気ゆげ

 近頃一段と冷えてきたねと ささやくように噴出する


 私は洗い物が入った桶から手を引く


 濡れたその手を

 オレンジ色が鮮やかなエプロンのすそぬぐって

 コンロの火を止めた


 かちり 音と共に火という燃料を奪われ

 湯気は勢いを失って 次第に細く弱くなっていく


 かし始めたのは

 ココアを飲んで温まるためのはずだった


 なのにふと

 ココアの粉が入ったままの白いカップより

 薬缶の湯気が気になっている 自分に気づく


 細く長く

 けれど 必ずある一点で空気中に溶けて消えていく 湯気


 見えなくなっただけで

 台所に今も存在していることを

 私は知っている


 でも その儚さがすこし

 うらやましくて


 もう音を立てなくなった薬缶の口を眺めながら

「なんだかいいな」と呟いてみた



 挿絵(By みてみん)

寒い日に読むと、ほっと一息つけるような情景を書いてみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  凄いですね。情景が短い言葉で表現されています。ホッとする感じがします。 [一言]  詩というのは私は難しいといつも考えさせられます。私の中で詩は智恵子抄のイメージが高く、あれは無理と手が…
[良い点] 何故だか、窓の外は雪景色って情景まで付随して浮かんでしまいました。 素敵な詩です。 [一言] こんばんは。 最近は電気ポットばかりで、中々「薬缶」のデバンは無いですよね。 でも俺、薬缶派…
2020/05/01 21:53 退会済み
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