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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第六章

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エンティナ領編ー22




 「メフィスト、お前は一体何者なんだ」


 「オルメヴィーラの領主様はわたしに興味津々なのね。でも、女の秘密を簡単に教えてあげる程わたしも優しくないの」


 「そりゃ残念だ」


「……でも、そうね。もし貴方が無事この娘を助けることが出来たら特別に教えてあげてもいいわ。とは言っても、そちらの二人は何となく感づいているようだけれど」


 「そんな簡単に約束してもいいのかよ」


 「問題ないわ。知ったところで何も影響ないもの。そ、れ、に、約束は破るためにあるものなのよ」

 

 「初めから守る気がないものを約束とは言わないんだよ」


 「そうなの? おかしいわね。わたしたちはあなた達からそう学んだのだけれど」


  あなた達から学んだ?


 「何にしても、お前とは何の交渉も出来ないことになるな」


 「そうかもね。でもそれでいいんじゃないかしら。……だって、わたしが発した言葉でさえそれが正しいという証拠もないのだから」


 「真実かどうかを見極めるのは俺自身という訳か」


 「そういう事。でも、そうね。もし貴方が勝負に勝ったらちゃんと教えてあげる。これは約束するわ」


 「……わかった。一先ずその言葉を俺は信じるとしよう」


 「信じてくれてありがとう」


 「感謝される程のことじゃないさ」


「そんな事ないわ。信じてもらえるって嬉しい事よ。……そうだ、そのお礼と言ってはなんだけど、わたしこの戦いに手出ししない事にするわ」


 「随分と気前がいいんだな。いいのか? そんなサービスしてもらって」


 「いいのよ。だってわたしがこの娘に加担したら貴方たち絶対に死んでしまうもの。それって酷く詰まらないじゃない。わたしはね、仲間同士でやり合って殺されていく貴方たちを見たいの」


 「随分と悪趣味な事じゃないか」


 「そうかしら。人間が殺し合い死んでいく様はとても煽情的で興奮するの。あなたたちだってそうでしょ?」


 「お前とは一生相容れることはなさそうだ」


 「あら、それは残念」


 メフィストはわざと落ち込んだ様子を見せた後、何が可笑しいのか口元を袖で隠すとクスクスと肩を揺らして笑っていた。



 

 どうやら本当にメフィストはこの戦いに参戦しないのか、 軽々と門の上に飛び乗るとその場で腰かけ薄ら笑いを浮かべながら、今から始まる戦いの行く末を楽しそうに眺めていた。



 さて、俺たちに残された時間はあまりない。


 こうして対峙している間にも、セレナの精神と身体は確実に蝕まれている。


 今回は人数で言えばこちらが圧倒的に有利なはずなのだが、俺とラフィテアそれからシエル以外まともに彼女の相手を出来るものはいない。


 無暗に相手の間合いに入ろうものなら、そこには逃れられない死が待っているだけだ。


 俺たち三人で何とかセレナを牽制しながら立ち回って入るが、他の者たちは武器を構えるもなすすべなくただただ後退していく。 


 この圧倒的な実力差に加え彼女は俺たちを殺すために何の躊躇なく剣を振るうが、こちらからはまともに攻撃する事が出来ない。


 いや、仮に全員で切りかかったとしても彼女にかすり傷を負わせることなど出来ないのかもしれないが、それでもどうしても迷いが生まれてしまう。


 容赦なく武器を振るう彼女を殺さずに出来れば五体満足で動きを封じる。


 本来なら余程の力量差がなければ出来ない芸当。


 ただでさえ勝つことが難しい相手であるのに、それを俺たちはやらなければならない。


 「どうしたの? 早くしないと手遅れになるわ。手足を切り落とすくらいの覚悟でやらないとこの娘を抑える事なんて出来やしないわ」


 「うるさい! お前はそこで黙って見ていろ」


 「あら、怖い事」


 確かにメフィストの言う通り、生半可な覚悟で彼女を止めることなど出来やしない。


 だが、どうする。


 本当に彼女の腕を切り落とすか。


 いや、それは最終手段だ。



 どうにかして彼女の剣を封じてしまえば、こちらに勝機はある。



スキル“麻痺の牙”パラリズ・ファング


 “猛毒の針”とは違い相手を死に至らしめることは出来ないが、耐性のない者を麻痺させ動きを封じることが出来る盗賊スキルの二枚看板の内の一つ。


 もし仮に耐性を持っていたとしても、多少なりとも相手の動きを鈍らせることが出来る。


 いま彼女を救うことが出来るとすれば、このスキルをおいて他にない。



 だが、問題はどうやって彼女に一太刀を浴びせるか。



 幸いな事に彼女からこちらに仕掛けてくる様子はない。



 だが、それこそあちらの思う壺。


 これ以上、悩んでいる時間はない。



  一か八か賭けるしかない。

 


 「……ラフィテア、シエル、それにフレデリカ、援護、頼んだぞ」



 俺は呟くようにそう言葉を発すると短刀を逆手に握り体勢を低くし構え、そして次の瞬間セレナに向かって瞬足の一歩を踏み出した。



 






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