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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第六章

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エンティナ領編ー9






 ドウウィンに向かう魔導帆船内はいつもと違い重苦しい空気に包まれていた。




 船内には俺とドワ娘、シエル・ホーエンハイム、それからラフィテアが同乗していて、徐々に近づく目的地を前に皆の口数もおのずと減っていった。



 最初はシーナも一緒に付いて行きたいとせがんでいたのだが、今回ばかりはあまりに危険すぎる為、ノジカに頼んでオルメヴィーラ領で留守番してもらうことにした。

 




 「――領主様」


 「なんだ、シーナ?」


 「さっきは我がまま言ってごめんなさい」


 「別にいいさ。生まれ故郷が心配になるのは当然だろ?」


 「……はい」

 

 「そんな顔するな、シーナ。皆が悲しい思いをしない様に俺達が行くんだ」


 「そ、そうですよね。領主様なら大丈夫ですよね」


 「あぁ、俺に任せておけ。だからシーナはセドの面倒ちゃんと見るんだぞ」


 「はい、わかりました。それで、その、りょ、領主様。あの、これ、領主様にその貰って欲しくて……」


 そう言うとシーナは小さなポシェットから手のひらサイズの木箱を大事そうに取り出し、俺に手渡した。



 「これを俺に?」


 「はい」


 「今、開けてもいいのか?」


 「は、はい! もちろんです」



 どんな反応するのかドキドキした様子で見ているシーナを前に、俺はゆっくり蓋を開けてみせた。



 「これはペンダントか?」


 「はい」



 チェーンを持ち広げてみると、先端に月と太陽をあしらった銀色に輝く美しい装飾が施されていた。



 「これ、まさかシーナが作ったのか?」


 「はい。その、いつも良くしてくださる領主様に何かお礼をしたいと思って……」



 それで時間を見つけては鍛冶工房“火花散る鎚”に通ってたのか。


 自分の為じゃなく、わざわざ俺の為に。



 「これ作るの大変だったんじゃないか?」


 「た、大変でしたけど、でもオラブさんが沢山手伝ってくれたから……。ちょっと不格好かもしれないけど、その、貰ってくれると嬉しいです」


 「不格好なんてとんでもない。ずっと大切にするよ、シーナ」


 「は、はい!」



 月と太陽か、なかなか洒落ているじゃないか。



 「シーナ。おぬし、なかなかの腕をしておるな」


 「ドワ娘、お前もそう思うか?」



 陽の光にかざし眺めているとドワ娘がぬっと脇から顔を出してきて、ペンダントを手に取り、しきりに頷いていた。



 「月と太陽は戦いの女神フレイ様とフレイヤ様を象徴する星。これを身に着けておれば、おぬしもきっと女神様の加護を受けられるはずじゃ」


 「そ、そうか。そうだといいな」



 ガラドグランで二人の女神像の腕を破壊したこと、こいつはもう忘れているのだろうか?

 


 まぁ、ともあれ、折角シーナが作ってくれたペンダント大切にしなきゃな。


 

 それから俺はそのペンダントを肌身離さず身に着けている。


  もちろん、今もここにちゃんとある。




 「――ラック様、どうなさいました?」


 胸のペンダントに手を当て、しばらく外を眺めていた俺を心配に思ったのか、ラフィテアがそっと声を掛けてきた。


 「ん? いや、なんでもない。ちょっとシーナことが心配になってさ」



 「そうですか。でもあの娘は大丈夫だと思います」


 「あぁ、そうだな。……それより、ラフィテア。お前、俺たちと一緒についてきた良かったのか?」


 「心配してくださってありがとうございます。ですが、私も無関係という訳ではありませんし、オルメヴィーラ領にいてもきっと気になって仕事になりませんでしたから」


 「そうか」


  「ラック様。これでも自分の身を守ることくらいは出来るつもりです」


 ラフィテアは携えた細身の剣に手を当てると、その表情は今までに見たことのない真剣な表情へと変わっていた。




 





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