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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第六章

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エンティナ領編ー5







 舞い落ちる灰雪の中――


 細身の身体に白銀の鎧を身に纏った女神はスッとフルーレを引き抜くと、躊躇すること無く男の心の臓を貫いた。




 彼女の剣が寸分の狂いなく目標を打ち抜くとその剣先からゆっくりと赤い血がしたたり落ち、引き抜いた傷口からは大量の血があふれ出した。



 一瞬遅れて激しい痛みが遅ってくる。



 くっ!



 傷口を抑えた俺の手にはべったりと生暖かい血が付着し、刺した張本人である彼女は目の前で何が起こったのか理解できていないようで、鮮血の剣を握ったまま呆然と立ち尽くしていた。




 はぁ、はぁ、はぁ、よ、良かった。



 後ろを振り向くと先ほどまで威勢の良かった男が腰を抜かし震えながら彼女を凝視していた。



 やれやれ。


 なんでこいつの為に俺が身を犠牲にしなければならないんだ。




 ……だが、良かった。



 こいつの為に彼女が手を汚す必要なんかこれっぽっちもない。


 

 

 俺は雪の華舞う空を見上げ大きく白い息を吐くと、それからゆっくりと膝から崩れ落ちた。




 激しく傷口は痛むのに身体は冷え手足の感覚が失われていく。


 視界はぼんやり暗く、次第に消えていく。



 ――死ぬってのはこういう感じなんだな。




 「領主様っ! 領主様ぁぁあっぁ!」



 誰かの泣き叫ぶ声が聞こえてくる。



 あぁ、すまない。



 あとは、たの、ん、だ……。



 

 「領主さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」




 俺の名を呼ぶ声は徐々に小さくなり、そして闇に吸い込まれていった。








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