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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第六章

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エンティナ領編ー3






 三人を乗せた魔導帆船はその帆に風を受けオルメヴィーラ領の大地を疾走していた。



 「今日は天気もいいし、風が気持ちいいね」



 ノジカは一人甲板に出ると転落防止の為に設置したネットに寄りかかり、両手をいっぱいに広げ、一身に風を受け、猫耳を靡かせている。


 「ねぇ、ラック。ボクもこれ一台欲しいな」



 「欲しいってお前な。簡単に言うけど、これ結構高価なんだぞ」



 「そんなの知ってるよ。ボクも一応開発に携わってるんだから」



 そう言えばそうでした。



 「ノジカ、お前これ手に入れてどうするんだよ?」


 「どうするって、そんなの決まってるじゃないか。ドライブ、ドライブ。お休みの日に思う存分を走らせて、それから峠を攻めるんだ」

 


 峠ってあのな。



 「そうだな、一先ず今の仕事が落ち着いたら考えてみるよ」


 「本当? 今の言葉忘れないでよ! 約束だからね」


 「いや、別に約束したわけじゃ……」


 「やったー! さすが領主様。太っ腹!」



 おいおい、最後まで人の話をちゃんと聞け。


 ……やれやれ、しょうがないな。



 実はこの魔導帆船。


 最近どこからともなく注文が舞い込み、生産が追い付いていないのだ。


 もちろん理由は分かっている。




 クロマ商会と魔導帆船のリース契約を結んだからだ。



 商売人の嗅覚というものはやはり恐ろしく敏感である。


 クロマが魔導帆船を見た瞬間、奴はハイエナのごとく涎をたらし牙をむき出しにし喰いついてきた。

 

 クロマの余りの強引さと熱意に押され、しぶしぶ商会と数台契約を結んだのだが、彼らは魔導帆船を手に入れるや否や次の日から早速荷物を載せ王国や各都市を回り始めた。



 馬もいなく荷物を載せ颯爽と走り抜けるこの魔導帆船を見て、話題にならない方がどうかしている。


 という訳で一週間もしないうちに、特に商人界隈でこの魔導帆船を知らない者はもぐりと言われるまでの存在になっていた。




 仕方ない。


 帰ったらラフィテアにお願いしてノジカの分を強引にねじ込んでもらうか。


  

 代り映えしない景色を見ながら車内で遅めの昼食を取ると、三人を乗せた魔導帆船は目的の地に到着しようとしていた。




 瓢箪型の大きな窪地の周りには複数の風車が立ち並び、大ルアジュカ山脈から吹き降ろす風を一身に受け勢いよく巨大な羽根を回している。



 実はこの風車にもヴェンダーナイトを組み込んでいて、たとえ無風状態でも必要とあらば何時でも用水地から水をくみ上げ水路を通して各農地へと地下水を供給できるようになっている。



 この灌漑設備のおかげもあって順調に作付け面積は広がり続け、今では以前の二倍程度まで大きくなり、俺たちのいるこの周辺でも辺り一面小麦が植えられ、たわわに実った黄金色の穂先が頭を垂れ、時折吹く強風に身を揺らしながら収穫されるのを待っていた。



 本格的な冬到来を前に村人によって収穫された農作物は次々と荷台へと積み込まれ、サビーナ村へと運ばれていく。



 基本的にここで収穫された農作物は一旦領主である俺がすべて買い取り、領地で消費する分を除きクロマ商会を通して交易に出している。



 その他にも魔導帆船、余剰分の鉱物や木材、さらにはオラブの鍛冶屋などの様に若干ではあるが工芸品なども取り扱うようになり以前に比べ着実にオルメヴィーラ領の収入源は増えてきており、交易で得た利益の大半を今は領地の開発費用に充てている。


 

 「それにしてもこの短期間でよくここまで農地を広げられたね」


 「人手が増えてるおかげ順調にいってるよ」


 「そうだよね。ボクの所にも知らない顔がちょくちょく来るようになったし、こんなにどこから湧いて出てきたのかって思うくらいだよ」


 「確かにそう言われてみればそうだな」

 


 オルメヴィーラ領にこれだけ急激に人が増えているということは、どこかの領地からやって来てるのは間違いない。


 この人数、一つの領地からいなくなれば、村、いや小さな街が一つなくなったっておかしくはないぞ。



 「なぁ、シーナ」


 「なんですか? 領主様」


 「この領地に移住してくる人が何処から来てるか知っているか?」


 「えぇっと、……たしか、殆どドウウィンだったと思います」



 隣接するエンティナ領の街、ドウウィン。


 シーナにセド、それからラフィテアもそこから来たんだったよな。



 ドウウィンか。



 多少気になるし、誰かに話を聞いてみた方がいいかもしれないな。











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