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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第四章

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ドワーフ王国のドワ娘姫ー25






こちらの世界に来てからあまり夢を見ない。


いや、実際には見ているのかもしれないが、覚えていないといったほうが正しい。



覚えていないのだから、意識を失ってから目が覚めるまでほとんど時間を感じることはない。


眠りと同時に意識は真っ暗な世界に足を踏み入れ、入ったと思ったら、すぐ現実に通じる出口にたどり着く。



そんな感覚だ。




――ここはどこだ?



ゆっくり目を開けると、そこには見知らぬ天井が広がっていた。



俺はなぜか部屋の片隅に置かれたベッドの上で横になっている。




どうやら俺は眠っていたらしい。



ゆっくり覚醒していく頭で自分の置かれている状況を確認していく。




辺りを見回すと部屋の至る所に如何にも高価な調度品が並べられ、花瓶には摘んできたばかりの花々、そして壁にはいくつもの絵画が飾られていた。



豪華絢爛さもそうだが、部屋の造りからしてどうやらここはファムスル城の一室であることに間違いなさそうだ。



取り敢えず、ここがどこなのか分かったのはいいとして、なぜ俺はこの部屋で寝ているのだろう?




……確かあの時、落ちてくる巨大な剣に押しつぶされまいと、無我夢中で疾走したのは覚えているが、それから先の記憶がきれいさっぱり抜け落ちている。




次から次へと頭の中に疑問符が湧いてくるが、ここであれこれ考えていても一向に埒が明かず、なんだか居ても立っても居られない。




ドワ娘とノジカ。



二人の姿だけでも確認しておくべきか。



 「……ん?」



 すこし気だるい体に鞭を打ってベッドから起き上がろうするが、なぜか下半身が重く身動きが取れない。




 ――よくよく見ると、掛布団が足元だけ異様に膨らんでいる。



 ん? なんだ?



 おそるおそる中を覗き込むように布団を捲ると、そこにはノジカとドワ娘がベッドを挟むように地べたに座り、俺の足を枕にして静かに寝息を立てていた。



 なんで二人揃ってそんな所で寝ているんだ。



 やれやれ。



 本当はすぐに起こしてもよかったのだが、せっかく気持ちよさそうに寝ているので、しばらくそっとしておくことにした。



 俺は安心しきった顔で寝ている二人の姿を見て、どうやらすべての決着がついたことを理解した。








 「……おい、そろそろ起きたらどうだ」



 あれから全く目を覚ます気配がないまま時間だけが過ぎ、流石の俺もいい加減痺れを切らし、二人を起こすことにした。



 「うーん。……あ、おはよう、ラック」



 ノジカが喉の奥が見えそうなほど大きな欠伸をすると、それに釣られてか眠そうに目を擦っていたドワ娘も手で口を隠し欠伸をかみ殺していた。



 「二人とも随分ぐっすり寝てたな」


 「あははっ。ラックの寝顔を見ていたら、ついボクたちもね」



 まぁ、それも無理ないか。


 二人も疲れていて当然だ。



 それならちゃんとベッドの上で寝ればいいのにとも思ったが、きっと二人とも俺のことを心配して傍にいてくれたに違いない。



 「お主、体は大丈夫か?」


 「あぁ、怪我も……してないみたいだし問題ないと思う」


 「そうか、よかったのじゃ」



 ドワ娘は確かめるように俺の体に触れた後、ほっと安堵するように息をついた。



 「それにてもラックは無茶しすぎだよ。ボク達、本当に、本当に心配したんだから」



 どうやら俺はあの時、落下してきた巨大な剣を間一髪のところで回避できたものの、地面との激突の際に発生した強烈な衝撃波で数十メートル以上も吹き飛ばされ、そのまま気を失ってしまったらしい。



 その際、周辺をおびただしい数の岩塊が弾丸のごとく飛散したらしいのだが、吹き飛ばされたおかげで直撃は一切なく、幸いかすり傷程度の怪我で済んだ。



 その後、フレデリカ指示のもとドワーフ兵に救出され、この部屋で数時間もの間眠っていたようだ。




 ノジカ達に心配かけたのは申し訳なく思うが、あの時はあの方法でしかトールキンの暴走を止める手段を思いつかなかったのだからしょうがない。



 それにドボルゴとガイアが命を賭して俺に託したんだ。


 二人に報いる為にも無茶の一つや、二つはするさ。



 「ガイア達と約束したからな。多少の無茶をしてでもあいつを止めなきゃ、あの二人が浮かばれないだろ?」


 「浮かばれない?」


 「あぁ、そうだよ」


 「……お主、なにか思い違いをしているようじゃが、二人ともちゃんと生きておるぞ」


 「――はぁ?」



 二人が生きてるって?



 「ドボルゴもガイアも大怪我してたけど、命に別状はないってさ」


 「お主、あの二人がそう易々とやられると思っておったのか?」


 「いや、そうは思わないけど、……でもそうか、良かった」


 「うん、本当にそうだね」




 俺は二人の無事を聞いて、最後まで心の中に残っていた氷の欠片がゆっくり溶けていくのを感じた。







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