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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十四章

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竜の刀剣ー50 地下拳闘場ー10






 竜族の少女は何事も無かったように舞台に復帰すると衣装に付いてしまった砂埃を不機嫌そう払っている。


 司会者含め俺以外の観客全員がこの状況に唖然とする中、勝利を確信していたジャロンもすっかり笑みを失っていた。



 予想もしなかった事態に一瞬戸惑を見せるジャロンだったが、すぐさま気を引き締めると追い打ちをかけるべくヴェルに襲い掛かっていた。




「――なあ、今更だけど拳闘士って拳以外の攻撃も認められているものなのか?」



 いまだ呆気にとられている二人に俺が声を掛けるとフエーゴとアーレアは思わずはっと我に返った。



 「え? ああ、うん、まあ、そうだな」


 「“拳闘”っていうのは“拳で闘う”と書きますが、本来は“自らの肉体一つで闘う”と意味なんです。ですから蹴りは勿論、投げ技や絞め技など全ての格闘技術が認められているんです」


 「なるほど」


 「いまヴェルさんと戦っているジャロン選手は見ての通り接近戦による打撃が得意な選手ですが、間合いを生かした戦法を得意とする方や相手の力を利用して戦う選手もいるんですよ」


 「拳闘って思っていたよりも奥が深いものなんだな」


 「だから面白いんじゃねえか」



 食い入る様に試合を見入っていたフエーゴは俺を見ると満足そうにニンマリしてみせた。




 ジャロンが試合を決めるべく再度ヴェルに強襲を仕掛けると戸惑っていた観客たちも再び熱気を取り戻していた。



 ヴェルが態勢を整えるよりも先に彼女の間合いに入ったジャロンだったが、男が拳を振り上げようとしたその刹那、少女は徐に顔を上げ鋭い眼光でジャロンを睨みつけていた。


 思わず一瞬怯んだように見えたジャロンだったが、拳を握り直すと勢いそのまま鋭い一閃を打ちおろす。



 完全に無防備な状態。


 男の一撃が再び少女を捉えたかに思えたがジャロンの拳は見事に空を切りヴェルの姿は男の前から消え去っていた。



 対戦相手を見失い明らかに動揺するジャロン。


 男が冷必死に標的を探していると背後から突如悲鳴があがった。




 ジャロンの攻撃を難無く躱し男の背中を取ったヴェルはこの試合で初めて構えていた。


 拳を握ったヴェルは突時腰を落とし軸足に力をためると、それから腰を捻り素早く回転すると全ての力を利き脚に乗せ強烈な蹴りをお見舞いした。




 ――戦慄を覚えたジャロンはすぐさま反転し防御態勢を取る。


 だがその直後強烈な一撃が男を襲い、遥か後方に吹き飛ばされたジャロンは煉瓦深くに埋もれ見えなくなってしまった。



 ピクリとも動かず瓦礫の隙間から流れ出る夥しい量の赤い血。

 

 先程のジャロンの技を見様見真似で放ったヴェルだったが明らかにその威力は桁違いだった。



 声を失った観客たちを他所に、ヴェルがゆっくり足を降ろすと司会進行役の男は慌てて舞台に飛び降り試合終了のゴングを打ち鳴らす。



 誰も予想だにしなかったこの結果にしばらく観客たちは静まり返っていたがパラパラと小さな拍手起こると徐々にそれは波となって会場全体に広がりに大歓声が一気に沸き起こった。


 一人の少女が拳闘士として皆に認められた瞬間。


 突如現れた小さな新星に観客たちは興奮冷めやらず、大量の賭札が紙吹雪となって会場を埋め尽くす。


 しかし当の本人はというと、試合に勝利してもこれといって特に感慨もないようで観客の声援に答えるでもなく真っ直ぐ俺の所へと駆け寄ってきた。










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