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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十四章

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竜の刀剣ー7






 外観とは打って変わって清潔感のある城内。


 衛兵に案内されノルバラント要塞の応接室で待っていると扉の向こうの方から複数の足音が近づいてくる。



 「おお、ラック公。まさか本当に訪ねてきてくれるとはな」


 部屋に入ったハンス公爵は顔を見るなり両手を広げ表情を明るくした。


 「お久しぶりです、ハンス公」


 「しかし驚いたよ。貴公がここに来るとジョワロフ公の書簡に書いてはあったが、まさかバラマール領に滞在していたとはな。こうしてまた会えて嬉しい限りだ」


 「俺もです。ハンス公とはどこかでゆっくりお話ししたいと思っていましたから」


 「そうか、そうか。それでラック公はどうしてバラマール領に?」


 「ジョワロフ公とは領地対抗戦の時に魔法研究で協力する約束をしていて、その件で」


 「なるほど。ジョワロフ公はまだまだ魔法に執心されてると見える。だが、あの方のおかげでこの国の魔法が発展してきたのは間違いないからな。そしてそれはきっと魔族との戦いの切り札になる」


 「俺もそう思います」

 


 「――ラック公、私は近々再び魔族との間で大きな争いが起こるのではと思っている」


 「それはどうして?」


 「いや、なに、ただの感さ。だがこの世界に充満する不穏な空気。嫌な予感がしてならない。まっ、気のせいならそれに越したことは無いんだがな。――それよりもラック公、どうして貴公は突然リヒテンシュタインに? まさか本当に私に会いに来たというのではないのだろう?」


 ハンス公は俺にそう尋ねると手で従者を退けた。



 「ハンス公と話したかったというのも本当ですが、実は探しているものがあって」


 「探しているもの?」


 「はい。竜の刀剣というかつて魔族との大戦で使われた一振りです」


 「竜の刀剣? そのような名前の剣、私も聞いた事もないが」


 「俺もつい最近その刀剣の事を知りました。実際の所、俺自身、その刀剣が本当に実在しているのかもわかりません」


 「ではなぜそのような眉唾な話を信じてここに?」


 「幸か不幸か、俺はどうにも魔族に好かれているようで、エンティナ領での事件といい、対抗戦での事といい、それ以外にも魔族との関りがあるのです」


 「それはそれは悪運の女神に愛されているようだな」


 「まったく迷惑な話です。今までは運が良いことに魔族を退けてこれましたが、これからもその幸運が続くとは限らない。そこで奴等に対抗する手段を持っておきたいと思ったのです」


 「それでその竜の刀剣とやらを探してるのだな」


 「はい。俺が得た情報ではその刀剣はこの西方の地域のどこかに眠っている可能性が高いと」


 「……それで目星を付けたのが海洋都市エルドルンの商業ギルド“ヘルメース”という訳か」


 「はい」


 「確かにヘルメースであれば、貴公が探している刀剣を所有していてもおかしくはないからな。……なるほど、それでわざわざ私の所に挨拶を」


 「流石に他領地の領主がリヒテンシュタインの領主に無断で好き勝手やるわけにはいかないですから」


 「貴公は律儀な男だな。……だが、ヘルメースに用があるのか。それはこちらとしても都合がいい」


 「都合がいい?」


 少し考える素振りを見せたハンスは徐に口を開いた。


 「……実は私も明日エルドルンに出向かなければならないんだ。――ラック公も知っているのだろう? エルドルンで開かれるヘルメース主催のオークションを」


 「はい。そのオークションに参加するつもりです。まさかハンス公も?」


 「いや、私はただ来賓としてヘルメースに招かれているだけさ、表向きはね」


 「表向きは?」


 ハンス公は小さく頷いた。


 「私はこの機会にヘルメースを一掃しようと考えている。貴公も奴等の黒い噂を少しは耳にしたことがあるだろう?」


 「えぇ、それとなくは」


 「わたしはそれが全て真実だと考えている」


 「ですが、確たる証拠はないと聞きていますが――」


 「そう」


 ハンス公は拳を握りしめ強くテーブルに叩きつけた。


 「だが、このまま奴等を野放しにしていれば王国は内部から腐敗し崩壊してしまうだろう。そしてそれは王国の、人類の滅亡を意味する。それだけは何としてでも阻止しなければならないのだ」








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