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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十三章

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無詠唱魔法編ー13





 ギルド長“ロイヴァ・カフカ”


 それが裏の世界の支配者。



 「――なぁ、ラックはん、まさかとは思うんやけど、ラックはんがわざわざクロマ商会に頼んであたしを呼んだ理由って――」


 「ヘルメースに用があるんだ」


 「……やっぱり。クロマのおっちゃんに言われた時なんや嫌な予感がしたんや」



 薄々感ずいてはいたのだろうが面倒ごとに巻き込まれそうでリッツァは思わずため息を付いた。



 「正確にはこの世界のどこかにあるとある武器を探してる」


 「なんやそれ? オルメヴィーラがヘルメースに喧嘩売るんちゃうの?」


 「今はそんなつもりはない」


 「今は、ね。――けど、武器を探しているならヘルメースに見当を付けたのは正解や。あそこなら魔剣だろうがドワーフの一品だろうが大概の物は見つかる」


 「そうらしいな」


 「しかし、武器を探してるだけやったらあたしなんかいらないんちゃう? ましてやオルメヴィーラの領主様が相手なら向こうさんも喜んで応じてくれるはずや」


 「それがそこら辺に転がっている普通の武器だったらな」


 「……ラックはん、あんた一体何を探しているんや」



 笑顔を潜めたリッツァは知らず知らずのうちに強く手を握りしめゴクリと唾を飲んだ。



 「そうだな、一応リッツァには話しておくか。俺がクロマ商会に依頼してまで探しているのは竜の刀剣」


 「竜の刀剣?」


 「――かつて魔王を打ち倒し魔族との戦いを終わらせたとされる竜族の作った聖剣だ」


 「魔王を倒した聖剣? しかも竜族って!? ……ラックはん、そんなものが本当にこの世界に存在するん?」


 「おそらくは」


 「おそらく? なんや随分と曖昧な答えやな」


 「俺も噂に聞いた話だからな」

 

 「噂ね。そんな胡散臭い噂話の為にわざわざ領主様自ら出向いて探すなんて――」


 「何か言ったか」


 「いや、別に。……けど、もしそんなものが本当に存在するならいくら“ヘルメース”でも簡単には手放さないやろな」


 「だろうな。けど竜の刀剣はいま力を失い眠っている」


 「眠ってる?」


 「あぁ。何でも剣に宿る膨大な魔力を使い果たし力を失ったとか。仮にヘルメースが刀剣を所有していたとしてもそれが聖剣だとは気づいていないはずだ」


 「そりゃ難儀なこっちゃ。でも、そうなってくると奴等に知られないよう探すには直接潜り込むほかないか。けど、何で奴等に黙って探さなあかんの? ギルドに話して協力してもらえばええやないの」


 「確かにそれが一番手っ取り早いかもな。けど、ヘルメースが俺たちの味方になるとは限らない」


 「そやけど――」


 「俺たちはどうしても魔王を倒す必要がある。もし仮に竜の刀剣が魔族の手に渡ってしまったら俺たちは魔王に対抗する手段を失ってしまう。それだけは何としてでも阻止しなきゃならない。――お前もヘルメースの黒い噂くらい知ってるだろ?」


 「まぁ、人並み以上には」


 「はっきり言ってオレたちは西方の事情に疎い。特にヘルメースに関しては何も知らないと言ってもいい。だからどうしても信頼できる奴の助けがいる」


 「それがこのあたしってこと?」


 「そうだ。リッツァ、お前の手を借りたい」



 俺が頭を下げるとリッツァは黙って地図に目を落としどうするべきか考え込んでいるようであった。



 「……なぁ、ラックはん、今回の件、もしラックはんがあたしの願いを聞いてくれるなら特別に手伝ってあげてもいい」


 「お願い?」


 「そっ、簡単なお願い。別に嫌なら断ってもいい」


 「俺と取引という訳か」


 「そう。商売の基本や。何かを得るにはきちんと対価を支払わないと」


 「それで俺はリッツァ何を払えばいい?」


 「――あたしをカフカの元まで連れて行って欲しい」


 「ロイヴァ・カフカの所に? 一体どうして」



 俺の問いにリッツァは顔を上げると笑顔で答えてみせた。



 「そんなの決まってる。この手であいつを殺すためや」








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