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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十三章

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無詠唱魔法編ー2



 



 今は使っていないと言っていたがバラマール領主ジョワロフ公の別邸だけあって庭園から部屋の隅々まで手入れが行き届いている。


 別邸に到着すると既にジョワロフ公お抱えの使用人が俺たちを門の前で出迎えており、笑顔で屋敷を案内してくれた。


 これから無詠唱魔法が完成するまで俺たちは、いや正確にはドワ娘とラフィテアが暫くここで厄介になる。


 十分過ぎる程の客室の数と専属の使用人。


 ダンスパーティーを催せるホールに庭園にはハーブや色とりどりの花々も植えられている。


 豪華すぎる邸宅にドワ娘は満足した様子で疲れた体をソファーに投げ寛いでいた。



 「――ラック様、わたくしジョワロフ公から皆様の身の回りのお世話をするよう仰せつかったメイド長のエララ・イライザと申します。何かとご不便をおかけすることもあるかと思いますが何なりとお申し付けください」


 「ありがとう、エララ。早速なんだが明日ジョワロフ公と今後について色々話がしたい。今から面会の約束を取り付けられるか?」


 「はい、お任せください。すぐに使用人を走らせ確認致します。ラック様の方で面会時間の希望などはございますでしょうか?」


 「いや、特別用事もないし、ジョワロフ公の都合のいい時間で構わない」


 「承知いたしました。――ところで皆さま今晩の夕食のご準備は如何いたしましょう」


 夕飯か。


 さっき軽く摘まんだとはいえまだお腹が十分満たされたとは言えない。


 他の二人と精霊様を見るにどうやら彼女たちも俺と同じようだ。



 「ラック様、実は、その、誠に申し上げにくいのですが、急な御来訪であったため、その、ご夕食の準備が全く出来ておりません。これからご用意することは可能ですが、かなりお時間が掛かってしまいます」


 「それならどこか外で食べてくるよ。折角の機会だからメルカルンの街も見て回りたいしな」




 「――申し訳ありませんでした、ラック様」



 屋敷の前で深く頭を下げるエララに気にしない様に伝えると、ヴェルの事をお願いし俺たちはメルカルンの街に繰り出した。


 バラマール領はユークリッド王国の西方にあり、メルカルンはバラマール領でも南西の内陸に位置する。


 その為、海産物は滅多に手に入らず店頭に並んでいたとしても塩漬けされた魚や海藻、干物が主である。


 生の川魚なら手に入らなくもないが、量も少なく値段も割高だ。


 とは言えそれ以外の食材は豊富で、穀物、果物、肉、野菜、香辛料と大概のものは手に入る。


 そしてメルカルンと言えば周辺の森や山で手に入る山菜やキノコ類が特に有名で、一部には同じ重さの金と取引されている希少なキノコも存在しているらしい。


 

 意気揚々と前を行くドワ娘とユシルに続いて店に入った俺は店員のおススメの品を幾つか注文すると料理が来るまでラフィテアに商業ギルド“ヘルメースについて尋ねていた。


 

 「オルメヴィーラやエンティナ領じゃ商業ギルド“ヘルメース”なんて聞いたこと無かったけど、そんなに大きいギルドなのか?」


 「はい。西方では特に力のある商業の神の名を冠するギルドで”ヘルメース”に目を付けられたら西方で商売は出来ないとまで言われています」


 「それ程影響のあるギルドなのか」


 「私もそれ程詳しくはありませんがヘルメースのギルド長には国王から領主と同程度の権力を与えられていて西方の領主達もギルドには頭が上がらないらしいのです」


 「何か弱味でも握られているのか?」


 「いえ、そういう事ではありませんが資金や武器の提供を大分受けている様なのです」


 「なるほどね」


 

 西方は魔族との小競り合いが多い地域だ。

 

 特に魔族領との中立地帯に接するヴォルテール領ともなればいくら資金があっても足りるという事はないだろう。


 

 「ですから領主と言えど“ヘルメース”に楯突こうものなら資金提供を止められ領営は火の車」


 「つまりギルドに財布を握られているのか。……この事は王国も知っているんだろ?」


 「おそらくは。ですが、王国も“ヘルメース”から毎年多額の寄付を受けていますから」


 「……つまり王様もギルドから袖の下を受け取っているのか」



 やれやれ。


 それじゃ王国と言えどギルドに対して強く出れるはずがない。



 「”ヘルメース”に関しては最近あまり良い噂を聞かないですし 西方の領主様方も警戒し水面下で動いている様なのですが……」



 魔物との戦いも大事だが、人々が生活していくには金が要る。


 綺麗ごとだけでは国を維持していけないからな。


 下手をしたら魔族以上に厄介な相手かもしれない。



 「それでその商業ギルド“ヘルメース”とやらは一体どこにあるんだ?」



 「――ハンス公爵の治めるリヒテンシュタイン領です」 



 ラフィテアは俺の背後の壁にかかっていた薄汚れたユークリッド王国の地図を指さし答えた


 

 









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