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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十二章

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忌まわしき赤竜の姫ー82







 ――再び背に飛び乗った少年は己の身体を縛る鎖を忌々しそうに見やった。



 「僕から君たちに話せることはもう何もない。後は君たちが魔王を倒し安寧を手に入れる、それだけさ。そうすれば世界もソレも救われる」


 「……魔王を倒せば本当にヴェルを助けてくれるだな」


 「しつこいな、君は。赤竜帝の名にかけて約束は必ず守る。僕もソレを処分せずにいられるならそれに越したことは無いからね」



 我が子に向けるとは思えない赤竜帝の冷徹な視線。


 無機質な言葉に俺は思わずヴェルを優しく抱きしめていた。



 赤竜帝の言葉を全て鵜呑みには出来ないがヴェルを破滅から救う方法が他にない以上、今は奴を信じて前へ進むしかない。 



 「――どうやら次にやるべきことが決まったようじゃな」


 「そうですわね。まずは魔王討伐に必要な竜の刀剣とやらを探し出す。……とは言っても闇雲に探し回って見つかるとは到底思えませんけど」



 「行方不明の宝剣、か」



 正直、どこをどう探せばよいのか全く見当もつかない。


 もし、俺が剣の所有者なら手元において管理するだろうが、死んだ後どうなるかまでは分からない。


 人々の記憶などすぐに薄れる。


 ましてや数百年、数千年も経てば覚えている者など誰もいやしないだろう。



 「海の底にでも沈んでいたらそれこそ本当にお手上げじゃな」


 「なになに? 今度は海底散歩でもするわけ!?」



 突然俺の頭の上から顔を覗かせたユシルは何故か食い気味に俺たちの話に割って入ってきた。


 「あたし一度でいいから海、行ってみたかったのよね! 白い砂浜、青い海、海底に差し込む淡い光。お昼は海鮮をたらふく食べて、もう最高! ねぇ! いつ行くの? いえ、違うわね。今から行くのよ!」


 一人興奮するユシルを頭から降ろすと俺はため息を付いた。


 「今はそれどこじゃないんだ。俺たちは魔王を倒す為、竜の刀剣を探さなきゃならない」


 「何よ、それ。つまらないわね。海で遊ぶ方が断然楽しいじゃない!」


 「あのな。それよりユシル、お前、精霊の力で竜の刀剣が今どこにあるのか探せないか?」


 「はぁ? そんなの無理に決まってるじゃない。幾ら世界樹の精霊だからった何でも出来る訳じゃないわけ。剣を探したいなら武器屋にでも行きなさいよ」


 「武器屋? そんな所に宝剣が置いてあるくらいなら誰も苦労しないっての」


 「……武器屋」


 俺とユシルが睨み合っている傍でそう呟いたラフィテアはおもむろに顔を上げると何か閃いた様子でこちらを見ていた。


「……ラック様、もしかしたら本当に武器屋にあるかもしれません」


 「「へ?」」


 俺とユシルは思わず素っ頓狂な声を上げた。


 

 「武器屋に竜の刀剣が? ラフィテア、お前、本気で言っているのか?」


 「はい。可能性はあるかと。ラック様もご存じかも知れませんがユークリッドの西方には王国で使用する武器を全て一手に引き受けている巨大なギルドがあるのです」


 「王国の武器を全て?」


 「はい。ありとあらゆる武器を取り扱う商業ギルド“ヘルメース”。そこにいけばもしかしたら竜の刀剣について何が手掛かりを得られるかも知れません。」


 「……確かに可能性はありそうだな。しかし、王国の西方か。オルメヴィーラ領からだとかなり距離があるな」


 「大陸を東へ西へと行ったり来たり。まったくもって忙しないの」


 「魔王を倒すまでは仕方ないさ」


 「やれやれ、早くサビーナに戻って温泉にゆっくり浸かりたいものじゃ」



 温泉か。


 エルフの里で水浴びはしたが、もうしばらく湯船には浸かっていないな。


 ふと望郷の念に駆られていたが、少年の声が否応なしに俺を現実へと引き戻した。



 「――君たち、西方に行く用があるなら僕が送り届けてあげようじゃないか」


 「赤竜帝様が? よろしいのですか?」


 「それくらい構いやしないさ」


 「随分と気前がいいの」


 「なに、言ってみれば僕たちは同志みたいなもの。魔王を倒すために必要なら僕は惜しみなく力を貸すさ」


 「それは、それは有難いことじゃな」



 ドワ娘は皮肉を込めて感謝の弁を述べた。









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