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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十二章

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忌まわしき赤竜の姫ー69





 「――神々の争いは長きに渡り多くの使徒が命を失う中、戦いの幕は創造神ノルドの手によって降ろされた」



 赤竜帝は目の前で繰り広げられる戦いに興じる様子もなく淡々と史実を語ってゆく。



 「創造神ノルドは自らの命を削ることで数万もの雷を呼び寄せ、破壊神カオスとその使徒を焼き尽くした。


 そして朽ち果てたカオスの肉体を大地へ封印することに成功したノルドは更に破壊神の魂をもこの世から消し去ろうと試みたが、ノルドもまた戦いで負った傷は深く魂を消滅させるまでには至らなかった」




 窮地を脱し魔王ケイオスと距離を取った俺は新しい得物を取り出すと一定の距離を保ちながらチャクラムに触れぬよう影を斬り払い迎撃していく。


 あの円月輪、何か特殊な魔法が付与されているのか、試しに複数の短剣を投じてみたがチャクラムに触れた瞬間、短剣は何の抵抗もなく剣先から真っ二つに切り裂かれてしまった。


 単に切断されたというのとは何かが違う。


 まるで物質の分子結合そのものを破壊しているような……。


 何はともあれ、チャクラムに直接触れるのは危険すぎる。



 「クロ、あのチャクラムの動き、お前の影で止められないか?」


 「うーん、出来なくはないけど、今のボクの力じゃ、二刀で“漆黒刃”は使えなくなるよ」


 「あぁ、それでも構わない。後ろの二人を援護してやってくれ」


 「了解、ご主人様」


 クロが影に潜ったことを確認すると、俺は再び剣を構え周囲を取り囲むチャクラムと対峙する。



 「こ、これでは魔法の詠唱どころではないわ!」


 絶えず襲い来るチャクラムにドワ娘はただ逃げ惑う他ない。


 どうやらこのチャクラム、長い時間その形状を維持することは出来ないようで奴の手を離れて数十秒で崩れ落ち塵と化してしまう。


 とは言え、撃ち落としては湧き続けるチャクラムを前に俺たちは徐々に追い詰められていく。


 「どうして、わらわ、ばかり、狙うんじゃ! もっと、耳長を、狙わんか!」


 「フレデリカ、そっちはダメですわ!」


 「え?」


 辛うじて攻撃を躱していたドワ娘だったが、メリダの忠告も虚しく四方をチャクラムに囲まれとうとう逃げ場を失ってしまった。


 「くそっ! こうなったら一か八か全部魔法で吹き飛ばしてやるわ!」


 その場で立ち止まり魔法の詠唱を始めたドワ娘にラフィテアが思わず手を伸ばす。


 「馬鹿! フレデリカ! 逃げなさい!」


 羽音のように風を切るチャクラム。


 絶体絶命のドワ娘を前にラフィテアが叫び声をあげた瞬間、フレデリカの足元から伸びた複数の影が寸でのところでチャクラムを全て止めてみせた。


 「クロ!」


 「はぁ、良かった、間に合って。フレデリカ様、大丈夫ですか?」


 鼻先で動きを止めたチャクラムを前に流石のドワ娘も声なくコクコクと頷いた。


「そう、それはよかった。ラフィテア様、フレデリカ様、クロが暫く援護するから二人は魔法で魔王ケイオスを!」


  ラフィテアとフレデリカは互いに視線を交わし頷くと今度は一斉に魔法を詠唱し始める。


 魔王ケイオスの攻略法は未だに不明だが退路がない以上やるしかない。


 魔法詠唱の時間を稼ぐため、漆黒刃を構えた俺は再び魔王へと単身切り込む。


 チャクラムの軌道に気を付けながら再び俺は剣を振り下ろすが、漆黒刃が異形の影に触れる前に魔王の頭胸部から伸びた触手が刀身を薙ぎ払う。


 この漆黒刃は影を断つ力はあってもそれ以外は普通の剣と大差ない。


 つまりこちらの狙いが分かっている以上、対策は簡単だということ。


 斬っても斬っても生えてくる触手、無限に湧くチャクラムに手こずりケイオスに一撃も与えることは出来なかったが奴の注意を引き付け、時間を稼ぐことには成功した。



 最後の一太刀を浴びせ俺が飛び退いた刹那、ラフィテアの風魔法“旋風の鎖”が魔王ケイオスを襲う。


 魔王の頭上に現れた旋風は周囲のものを巻き上げ風の鎖となって魔王の身体を強く拘束する。



 それと同時にドワ娘がトネリコの魔杖を振り上げると今度は大地が大きく傾き四方八方から突き出た巨大な岩槍が身動きの取れぬ魔王の身体をめった刺しにしてしまった。


 「やったのか!?」


 「いえ、まだですわ!」


 更に追い打ちをかける様にケイオスの懐に飛び込んだメリダは地面に円を描きながら一回転すると、拳を腰に引き付け弧を描くように至近距離から渾身の一撃をお見舞いした。


 岩石の砕け散る音共に旋風が破裂し、魔王ケイオスの頭胸部と腹部は粉々に吹き飛んでいた。






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