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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十二章

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忌まわしき赤竜の姫ー19




 「――よもや、こうして再びお前の姿を目にする事が出来るとはな。やはりお前はララノアによく似ている。お前を見ているとあの子の面影を思い出すよ」



 巨大な円卓の奥に座っていたエルフはゆっくり立ち上がると、驚き、困惑、欣幸、複雑な感情を胸に目の前のラフィテアの姿を見やっていた。



 長老と言うからにはもっと年老いたエルフを想像していたのだが、見た目は人間でいう所の20台後半。


 長い年月を生きているせいか落ち着いた立ち振る舞いだが、正直他のエルフ族の男性とあまり年齢的な違いは見受けられなかった。



 「お目通り頂きありがとうございます、サリオン長老」



 円卓を挟んでサリオン長老の対面に立つと、ラフィテアは緊張した面持ちでゆっくり頭を下げた。



 「お前がここを出て行ってからどれくらいの月日が経ったか。――もう二度と戻ってくることは無いと思っていたが、……よく帰って来たな、ラフィテアよ」


 「はい、おじい様。……私も再びこの地を訪れる日が来ようとは思ってもいませんでした」


 「そうか、……そうだな。未だお前の心の傷は癒えぬか。いや、しかし、それは仕方のない事。――それで、どうしてお前はここに戻ってきた? この地を忌み嫌うお前だ。余程の事があったのだろう?」


 「はい、実は――」



 ラフィテアは俺に目をやった後、これまでの経緯をサリオン長老に事細かに説明してみせた。



 「……なるほど。竜族に連れ去れた仲間を助けるため、我々の知恵を借りにここまで来たと」


 「はい」



 ラフィテアから事情を聞いたサリオン長老は隣に立つメリダ、俺へと順番に目をやると片肘を付き何かを考える様に暫く押し黙った。



 「ラフィテアよ。お前にとって彼等は大切な仲間、いや家族なのだな」


 「――はい。ラック様、メリダ、そして竜族に連れ去られた皆、私にとってかけがえのない人たちです」


 「……そうか。忌み嫌うこの里にお前が再び足を踏み入れる決心をした。その一心だけでお前の気持ちは十分理解出来た」


 「では、お力を、知恵を貸して頂けるのですか!?」



 ラフィテアの問いにサリオン長老は申し訳なさそうにゆっくり首を横に振った。



 「私の個人的な感情だけで言うなら今すぐにでも協力してやりたい。……だが、私たちエルフが持つ知恵、知識を外界の者に許可なく教えることは出来ない」


 「そんな」


 「ではサリオン長老、どうしたら俺たちに力を貸してもらえると?」


 「それは簡単なこと。明日ここで開かれる評議会で長老たち皆の賛同が得られれば手を貸すことが出来る」



 明日の評議会、か。


 つまりすべてはその評議会にかかっている。


 もしそこで否決されるような事があれば本当に打つ手がなくなってしまうかもしれない。



 「サリオン長老」



 願う様にラフィテアがサリオン長老に訴えかけると、サリオンは安心しろとばかりにゆっくり頷いて見せた。



 「分かっている。他でもないラフィテア、お前の頼みだ。私からも他の長老たちにも賛同してもらえるよう根回しておこう」


 「ありがとうございます」


 「評議会は明日の白昼に行われる。ここまでの長旅で疲れたであろう? それまではこの里でゆっくり過ごすがよい。――ところでラック殿、後で私の所まで来てもらえるかな?」


 「俺、ですか? はい、それは構いませんが……」


 「そうか、それは良かった。では、後程使いの者を寄越そう。なに、別に取って食ったりしようという訳ではない。少しばかり外界の話を聞きたいと思っただけだ」


 「分かりました。では後程」


 「うむ。今日の寝床はもう用意させてある。あとで外の者に案内させよう」


 「何から何まで本当にありがとうございます」


 「なにこれくらい気にするような事ではない。それに私にしてやれるのはこれくらいしかないからな」


 「……おじい様」


 「そうだ、ラフィテアよ」


 「はい」


 「あとでララノアとギルノールに挨拶してきなさい。きっと二人も喜ぶことだろう」


 「……はい、そうします」


 「うむ。ではまた後でな」








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