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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十二章

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忌まわしき赤竜の姫ー4





 道すがらエルフ族の青年フェアノールは時折ラフィテアの事とチラチラを窺っていた。



 部屋に入ってきた時の様子と言い、どうやら彼はジョワロフ公と同じくラフィテアの事を知っている様であった。


 彼女とはもうそこそこ長い付き合いになるがラフィテアがエルフ族だという事以外、俺は彼女の素性をあまりよく知らなかった。


 セレナと共にファンユニオン王立学院を卒業し、その後エンティナ領のドウウィンで秘書をしていたらしいのだが、どうしてセレナの元に身を寄せることになったのか。



 そしてそれ以前の彼女は一体どこで何をしていたのか――。



 まったく気にならないと言えば嘘になるがあまり他人のプライベートにずけずけと入り込むのも躊躇われたし、何よりもそんな事を考える必要もないくらい俺は彼女を信用していた。



 ――エルフが住まうアルフヘイムか。



 よくよく考えればラフィテアもエルフ族なのだからきっとこの地が故郷なのだろう。



 だが、ラフィテアがこの地に足を踏み入れた時から、いやバラマール領に行くことになった時からあまり浮かない顔をしていたのは俺の気のせいではなかったと思う。



 「わたしく、こうしてエルフの森に足を踏み入れるなんて夢にも思ってもいませんでしたわ。一般人の立ち入りは固く禁じられていますし、セレナお姉さまも連れて来て差し上げたかったですわ。――それにしても緑がきれい。穏やかで空気も澄んでいて、それに魔素が驚くほど溢れていますの」


 魔素が?


 「そうなのか?」


 「……え? もしかしてあなた気づいていませんでしたの?」


 「あぁ、全く」



 自然界にもごく当たり前のようにある魔素だが、場所によってその種類や多寡が変わってくる。


 魔法の素質があるものならば肌に触れる空気のように周囲の魔素を感じ取る事が出来るらしい。



 「――この辺りはアルフヘイムの近くですから世界樹から漏れ出た魔素がこの辺りの森林域を満たしているのでしょう」



 それまでほとんど口を開くことのなかったフェアノールだが被っていたフードを脱ぐとその場で立ち止まり俺たちの疑問に答えた。



 「世界樹ってあの世界樹の事か?」


 「“あの”というのがどれを指しているのか分かりませんが、アルフヘイムの中央にはこの世界を支えていると言われている“世界樹ユグドラシル”が存在しています」


 「世界樹ユグドラシル。話には聞いたことがありますの。天を支え、神の住まう天界、我々のいる地上、更に幹、根を通して異界、そして死者の冥界に通じている世界の樹」


 「僕たちエルフ族ははるか遠い昔から世界樹を守るためにこの地に住み続けていると言われてるんです」


 「エルフ族にはそんな役目があったんだな」


 「はい。しかし、本当に世界樹がこの世界を支えている神の樹木なのか、それを知るものは誰一人としていません」


 「ふーん、そうなのか」



 世界樹、世界樹、ね。


 天を支える神の巨木。


 俺はおもむろに空を見上げてみるが、幾ら周囲を見渡してもそれらしき物を見つけることは出来なかった。



 「そう言えばここはもうアルフヘイムの入り口に近いんだろ? なのに何でその世界樹は見えないんだ?」


 「あぁ、それは僕たちの住むアルフヘイムが特別な結界で覆われているからですよ」


 「結界?」


 「はい。僕も祖父から聞いた話で詳しい事は分かりませんが、かつてエルフ族がこの地に移り住んだ時、竜族の協力を得て結界を張り巡らせたとか。その結界のおかげで外から中を視認することは勿論、許可ないものは決して足を踏み入れることも出来ません」


 「竜族が!? その話は本当なのか、フェアノール?」


 「え? あ、はい。多分本当だと思いますけど」



 フェアノールの話が事実ならエルフ族は古来より竜族と繋がりを持っている。


 そしてそれはきっと今も――。



 「ラフィテア、メリダ!」



 僅かな望みが、小さな希望へと変わり、俺は二人と視線を合わし力強く頷いた。


 








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