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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十二章

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忌まわしき赤竜の姫ー3






 エルフ族は本来あまり他種族とかかわりを持つ種族ではないと言う。


 それが古からの慣習なのか、それとも種族としての掟なのかはわからない。


 とは言えラフィテアの様にアルフヘイムを出て他種族と交じり生活を送っている者も少なからずいる。


 しかし、彼女曰くそういった者はエルフ族の中でもごくごく少数だという。


 好奇心旺盛で外の世界に憧れを持った者、問題を起こし森の外へと追放された者、はたまた別の理由があって出ていった者。


 きっと理由は様々なのだろうが、多くのエルフたちは今でも里の教えを忠実に守りこの深き森でひっそりと暮らしている。



 俺たちの先頭を行くエルフの青年は特に迷う様子もなく歩みを進める。


 俺から見れば景色の変わらぬただただ深い森なのだが、彼等にとってはこの森全体がきっと遊び場みたいなものなのだろう。


 休憩を挟みつつひたすら歩くこと数刻、ようやく道先案内人が足を止めるとそこには巨大な樹木が俺たちの行く手を遮っていた。




 

 「――まさかこんなにも早く貴公に再開できるとはな」



 やけに上機嫌なジョワロフ公は俺が部屋に入るや否な自ら立ち上がると歓迎した様子で皆を迎い入れてくれた。


 オルメヴィーラ領を出発する数日前にジョワロフ公との面会の約束を取り付けていた俺はメルカルンに到着早々バラマールの屋敷を訪ねた。


 

 「ジョワロフ公、突然にも関わらず、この様に我々の訪問を受けてくださり誠にありがとうございます」


 「なに、少しばかり驚いたが近いうちにこちらからラック公を招きたいと思っていたからな。気にすることは無い」


 「そう言って頂けると助かります」


 「……とは言えだ、何用があってこのメルカルンを訪れたのか。――ラフィテア、お前がここにいるという事はなにか余程特別な事情があるのだろ?」



 ラフィテアはジョワロフ公の問いに答えることなく黙ってただ俯いた。



 「実は――」



 俺はヴェルが竜族だという事は伏せたままラフィテアに変わってサビーナ村で起こった出来事をジョワロフ公に話して聞かせた。



 「なんと! あの竜族がオルメヴィーラに現れ、領民を連れ去っただと!?」


 「はい。漆黒の四枚の翼をもつあの竜族の男は自身の事をニグルムと名乗っていました」


 「――信じられん。あの竜の一族がこの地上に姿を現すなど。……確かに大ルアジュカ山脈の頂には彼らの棲み処があると言う話を聞いたことはあったがまさか本当に実在していたとはな」


 「奴に連れていかれた俺の仲間をどうしても助け出したいのです。どうかジョワロフ公、俺に力を貸して頂けませんか?」


 「……助けか。ラック公の頼み、わしも出来る事なら聞いてやりたいとは思うが流石に竜族が相手となると助力できる事にも限りがあるぞ」


 「ジョワロフ公、俺も別に竜族に殴り込みに行こうなどとは考えていません。どうにかして彼等と対話し穏便に仲間を取り戻したいだけなのです」


 「話し合いか。果たして竜族が人間ごときの言葉に耳を貸してくれるのか」


 「分かりません。ですが“アルフヘイム”住まうエルフなら何か手立てを知っているかもしれません」


 「なるほど。それでわしの手助けをという事か。確かに長き時を生きるエルフならば我らによい知恵を授けてくれるかもしれん。……とは言え彼らが何の益もなくお前たちを招き入れるとは思えんぞ」


 「それについては問題ありません、ジョワロフ様」


 

 それまで黙っていたラフィテアが意を決したかのように口を開いた。



 「そのために、私がここにいるのですから」


 「ラフィテアよ。お前はそれが何を意味しているのか分かってるのか?」


 「……はい、勿論です」



 二人の会話の意味を俺は理解することが出来なかったが、ジョワロフはラフィテアの意を図るように暫し彼女をじっと見つめていた。



 「そうか。お前が決めたことだ。今更わしがとやかくいう事でもなかったな。――よし、わかった。ラック公よ、貴殿にはアルフヘイムの入り口に立ち入ることを許可しよう」


 「ありがとうございます、ジョワロフ公」


 「礼など不要。それよりもエルフの里へ入る為にはこの地よりエルフの道先案内人を連れて行かなければならないという掟がある。お前たちには道先案内人のフェアノールをつけよう。誰か、フェアノールをここへ」



 ジョワロフ公に呼ばれ入室したエルフの青年はラフィテアの姿に驚きつつも改めて姿勢を正すと深々と一礼してみせた。



 「これで俺たちはエルフの里まで行くことが出来るのですね」


 「残念ながらそうではない」


 「それはどういう事ですか?」


 「フェアノールはただの案内人に過ぎないという事だ。エルフたちの里に入るには彼らエルフたちに認められなければならないのだ。つまりエルフ族に会えるからラック公、お前たち次第だ」






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