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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第十章

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領地対抗戦ー16







 


 


 ――宙舞う氷刃が地面を鮮血で赤く染め上げ、男はなすすべなく地面に倒れ込んだ。



 彼女は静かに剣を収めるとネージュ・ロアの待つ自陣へと事も無げに戻っていく。



 グロスター領とリヒテンシュタイン領の一戦。



 ペディキウィア闘技場はネージュ・ロアの登場を前にグロスター領が完全に支配していた。



 一戦目、二戦目共にグロスター領がリヒテンシュタイン領を圧倒。



 勿論、相性が悪かったというのもあるのだろうが、それ以上にグロスター領の強さが突出してる。



 先程の勝者である彼女の戦闘スタイルはラフィテアと似ていて、剣と魔法を駆使し、前衛、後衛の両方をこなせる万能タイプ。



 今見た限りだが実力も相当なものでこれは抽選の組み合わせ次第だが、かなり苦戦を強いられるかもしれない。



 「見に来ておいて良かったな」


 「えぇ。皆、驚くほどの成長を遂げていますね。日々驕ることなく修練を積み重ねた結果でしょう。私も油断すれば足をすくわれるかもしれません」



 「セレナお姉さまに限って油断なんて。今大会でお姉さまはロア様を倒して必ず優勝に導いてくださるとわたくしは信じて疑いませんわ」


 「ありがとう、メリダ」



 「羨ましい限りだよ、ラック公。君の所にはあのネージュ・ロアに対抗しうる“白い閃光”がいるんだからね」


 「そうですわ。セレナお姉さまが味方にいるという多幸にもっと感謝すべきですわ」



 「言われなくても十分感謝してるさ」




 第二戦も終わり、もう間もなく注目の最終戦が始まろうかという折、従者の一人がそっと背後から近づきヴァルター公に耳打ちすると、ヴァルターは前を向いたまま静かに頷いてみせた。




 「――折角のメインイベントだけど僕はこの辺で失礼させてもらうよ」




 ヴァルターはそう言って残念そうに席を立つと俺の肩をポン、ポンと軽く叩き、それから前に座るセレナとメリダにも軽く会釈した。



 「なにかあったのか?」


 「いや、なに、もともとこの後、陛下に謁見する予定だったんだが、なぜか、今しがた呼ばれてね」



 「そうか。それは大変だな」


 「ネージュ・ロアの一戦は陛下と一緒に見ることにするよ。では、ラック公。今日はこれで」




 ヴァルター公が謁見の為、観覧席を退出して程なく闘技場はこの日一番の盛り上がりを見せていた。



 

 グロスター領対リヒテンシュタイン領、第三戦―― 



 その戦いの舞台に剣聖ネージュ・ロアが上がると会場全体が震えるほどの歓声に包まれた。



 「ネージュ・ロア!」 「ネージュ・ロア!」



 何度も何度も繰り返される彼女の名前を叫ぶ掛け声はリヒテンシュタイン領を応援しているものなど皆無と思わせるほど会場をグロスター領一色に染め、しかし、そんな異常な観客たちの熱気とは対照的にネージュ・ロアは顔色を何一つ変えず、静かに、その時を待っていた。




 「――ちっ」



 男は耳障りな掛け声に会場全体を睨め付け大きく舌打ちをしてみせたが、それは誰にも届くことなく一瞬でかき消されてしまった。



 リヒテンシュタインから最終戦の舞台に立ったのはこの男の他に後衛らしき弓使いの女と顔全体を布で覆い隠した小柄で細身な男の三人組で、彼等の装備から察するに前衛、中衛、後衛からなるバランスの取れたチーム構成となっている。



 対してグロスター領の三人には後衛らしき人物はおらず、それぞれ細身の剣を携え軽装で身動きのしやすい格好をしていた。



 後衛のフレデリカ、中衛のラフィテアがいるオルメヴィーラ領にとって今回のリヒテンシュタイン領の構成は非常に参考になる。



 固唾を飲み見守る中、舞台は整い、数万人の視線は一点に集中し、今まさに両者の雌雄を決する戦いが始まった。



 試合開始の合図とともに武器を構え相手の出方を窺っていたリヒテンシュタインの三人だったが、何故かグロスター領の面々は一向に得物を手にする様子はなく、それどころかネージュ・ロア以外の二人はロアを残し後方へと引き下がってしまった。



 会場が騒然とする中、ロアは武器に一切触れることなく一人敵陣へと歩みを進めていく。



「何を考えているんだ。……まさか、ネージュ・ロア、一人でやるつもりなのか」


「多分、そのまさかでしょう」




 それ程、自信があるというのか。




 六眼のロア。



 一体、彼女の実力はどれ程のものなのか。



 



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