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幸運値に極振りしてしまった俺がくしゃみをしたら魔王を倒していた件  作者: 雪下月華
第七章

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エニグマの忌み子ー5






 俺とラフィテア、それからドワ娘の三人はオルメヴィーラ領に向かう魔導帆船の中で久しぶりにくつろぎの時間を過ごしていた。



 幸いな事に一緒にオバロと戦った有志達に加え、以前エンティナ領主に仕えていた人々の協力を取り付け俺は久しぶりに故郷へ帰る時間を得た。



 あとはクロマ商会が定期船の運行を開始すれば人、物資の移動、情報のやり取りはこれまでの数倍以上早く行えるだろう。


 これで取り敢えずはオズワルドとの約束を果たすまで俺がエンティナ領に詰めていなくても業務に支障をきたすことはないだろう。



 「なぁ、ラフィテア。領地対抗戦について何か知っていることがあれば聞いておきたいんだ」


 「領地対抗戦、わたしも今まで参加したことはありませんが、セレナ様がかつてエンティナ領の代表の一人として出場し準決勝まで勝ち進んでいます」


 「そうか、セレナは出場したことがあるんだな。……ん? 準決勝ってことはあのセレナが決勝で敗れているのか?」


 「はい。とは言ってもセレナ様が剣聖に選ばれる前のことですが……」


 「いや、それにしてもあのセレナが敗れるんだ。相手も相当な手練れだったんだろ?」


 「たしかその時の決勝戦の相手は四剣聖の一人、ネージュ・ロア様が率いるグロスター領だったと思います」


 「剣聖も対抗戦に出場出来るのか!?」


 「はい。この大会は領主の威信もかかったものですから、選び抜かれた精鋭たちが全土から集まってきます」


 「そりゃいくらなんでも反則だろ」


 「確かに剣聖を抱えている領主は有利にはなりますが、この対抗戦はあくまでチーム戦。剣聖が一人勝ったとしてもそれで勝ち抜いていけるものではありません」


 けど、剣聖のいる領地が絶対的に有利な事に変わりはない。


 「本来この領地対抗戦は魔族と渡り合う事の出来る強者を発掘し育てることで王国全体の戦力を底上げすることを目的としています。しかし優勝したチームには莫大な報奨と地位、領主には勲章と爵位が与えられるため、近年では勝つために手段を選ばない領主が多いのも事実です」



 「莫大な報奨と地位、勲章と爵位ね」



 馬鹿貴族どもが喜びそうな言葉の羅列だな。



 「四剣聖のロア様もこの大会で優勝し、剣聖になられた方の一人と聞いています」


 「そのロアってのも今回出場するのか?」


 「それはまだわかりませんが、可能性は高いと思います」


 「そうか」



 それはなかなかに厄介そうだ。


剣聖が出場可能って事は他の奴も出てくるかもしれないってことだしな。



 「因みにこの大会に出場する領地はいくつあるんだ?」


 「特別な事情がない限りすべての領地が出場する決まりになっています。今いるエンティナ領を含めオルメヴィーラ領、バラマール領、グロスター領、ツールナスタ領、クレモント領、リヒテンシュタイン領、ヴォルテール領の全8つです」



 「今回エンティナ領の出場は難しいだろうから全部で7つか」


 「そういう事になります。ラック様は他の領主と面識はありませんよね?」


 「ん、あぁ」


 「オズワルド様との約束は抜きにしても対抗戦は顔を売るには良い機会かと」


 「そうだな。これからのことを考えると横のつながりは大事にした方が良さそうだ。内々で敵を作っている場合じゃないしな」



 「のぅ、耳長」



 それまで完全に蚊帳の外にいたドワ娘だったが暇を持て余したのか興味もないのに突然割って入ってきた。



 「その対抗戦とやらに出場するのに何か特別な資格は必要なのかの?」


 「いえ、そういった話は聞いたことがありませんね。人選はすべて各領主に任せられているはずです」


 「なるほど」


「開催領地によって細かいルールの変更はあるようですが、毎回4人チームでの参加が決まりとなっています」


 「4人か」

 

 俺はまぁ当然参加するにしても、あとの3人はどうするか。


 「ドワ娘、お前対抗戦に出る気は――」


 「ない」


即答かよ。


……でも、まぁドワ娘は元々戦闘向きじゃないからな。


となると



 「ラフィテアはオルメヴィーラ代表として参加してくれるよな?」


 「……わたしは構いませんが、どこまでお力になれるか」



 そう口にしたラフィテアはどこか自信なさげだったが、先の戦闘を見る限り並大抵の相手なら軽く一蹴する程の実力は備えている。


 いつも隣にいたのがセレナだったため、自分の実力を過小評価しているのだろうが俺から言わせれば十二分に強い。



――しかし、困ったな。


 ラフィテアが加わったとしても、最低あと二人は参加者を探し出さなきゃならない。



 ノジカにシーナ、いや、いや、いや、どう考えても戦闘は無理だろ。



 あと二人。



 こんなんで本当に優勝なんて目指せるのか?



 次から次へと悩みの種が際限なく振ってくる。



 胸の内で大きな溜息をつきながらも、3人を乗せた魔導帆船はいつの間にかオルメヴィーラ領地に差し掛かろうとしていた。







この作品を少しでも「面白い」「続きが気になる」と思って頂けたら下にある評価、ブックマークへの登録よろしくお願いします('ω')ノ


また、ブクマ、評価してくださった方へ。

この場を借りて御礼申し上げます(/ω\)


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