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Xはもう一人自分を書いた  作者: naoshiro
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Xと主人公(1章)

一人1つの人生しか味わえない、だが小説や漫画、本は違う。

ノンフィクションであれフィクションであれ、本の中のストーリーを疑似体験できる、だから本は素晴らしい。


これを書いている僕、そうだな、じゃああえて名前を付けずに「X」と名乗ろう。


Xは自分の人生1つじゃ飽きたらずもう1つ自分を作り上げる。今から描く物語の主人公はあくまでもう一人の僕、つまり分身とでも呼ぼうか。ちょっと現実離れしたような話、フィクションを体験したい。現実、ノンフィクションには疲れた、少し刺激的な物語がほしい。

場所の風景はあなた、読者の想像に任せることにして、ページを進めていくよ。




もうすぐ日が上る、人々が睡眠から目を覚まし慌てて仕事や学校の支度をはじめる。

「そろそろ眠くなってきたよ、ヒール」

カーテンの隙間から光が漏れ出す頃、僕は膝で丸くなる猫の頭を撫でながらつぶやく。言葉など返ってくるはずもないが、いちいち返す言葉を考えなくて良い猫に話すのは大好きだ。

子供の頃から暗い深夜から朝までの時間が静かで過ごしやすくて好きだった、その影響か今でも夜は自分の時間。そう、今にも寝てしまいそうにあくびをしているのはこういうことだ。

デスクの何台もある眩しいパソコンとスマホの画面を閉じて、もちろんアラームはせず目を閉じた。いつ意識が飛んだのかもわからない間のすぐ寝てしまった。


(X)

Xだ、この小説は物語の途中で筆者も参加する。新しいでしょ?

もうすでにわかる通り相当自由ですよねこの人間、仕事や学校と言ってるということは平日、それでこの自由で平和な日々、嗚呼素晴らしい。

猫を飼っている、名前はヒール。もう1つ命を養えるほど、マネーには困ってない様子。

「あー最高だなこの、こいつの人生」

なんというか、独り言が癖なのは一緒なのかもしれない。

おっと、こんな話をしている間に主人公が目を覚ますといけない。

「Xはここで去ることにするよ」



「あれ…涙」

もう日が暮れる、何時間寝ていたのかわからないが目を覚ますと涙を流していた。すぐにフラッシュバックする、微かにまだ記憶にあるさっきまで見ていた女の子、夢の中で悲しそうに泣いていた。かなり長い夢を見ていた気がする、全然思い出せない。

にゃー…

「あ…ごめんお腹すいたよね、僕もお腹すい……え?」

ヒールの声に視線を向けると、一瞬ヒールの目が真っ赤に染まった。はじめて見る現象、もう一度見ると普段通りの目に戻っていた。

「なんだったんだ…」

きっとまだ寝ぼけているだけだ、珈琲を淹れて良い香りと共に気持ちを落ち着かせる。キリマンジャロのブラックとタバコは最高の相性だ、また眠気がくる、二度寝したいくらい気持ちがいい。

いつの間にか夢のことも忘れている、いや忘れようとしている自分がいることに気がつく。あの懐かしさと悲しさ、そして手が震えるほど辛い夢。


まぁいい、今は気にしないでおこう。



(X)

この主人公は自分の記憶を一回消している、皆もあるだろう辛い過去や恥ずかしい過去、消してしまいたい過去が。

こいつはもう今は何も覚えていない、思い出せないほど自分の気持ちを圧し殺し、一回自分を自分で殺している。


どういうことか、それはこいつが見る夢が教えてくれるさ。



在宅ワークだけで稼いでいる僕は今日も複数のパソコンと端末を立ち上げ画面とにらめっこしていた。ヒールと二人で過ごしていく、好きな時に好きなことをする。小説を読んだり、音楽を聴いたり、たまにはゲームもしたり、そして眠たくなったらヒールと一緒に布団で暖まる。こんな幸せな日々…幸せな日々なはずなんだ…。はずなのに、昔から心が無いみたいに幸せを感じられない、いつまでも頭の隅に隠れている影が邪魔をする。幸せそうに笑ってる奴らが醜い。

「あぁ、駄目だな…僕も猫になりたいよ」

今日の仕事も粗方終わらせ、タバコに火をつける。灰になってく様子が人間の姿を表しているように見えた、こんな思考が浮かぶ自分にまた自己嫌悪、気分が悪い。

毎日特に何もせず、特に本気でしたいこともなく過ぎてく時間。ただ一人の時間を無駄だと思ったことはあまりない。

「寝るか…」

また沈むように眠りにつく。


こわい…たす…けてよ…。

や…めて、まだ、しにたくないよ…。

たすけ……t…。

またこの夢、小さい女の子が泣いている。暗くて顔がよく見えない。

「君、どうしたの?」

少女はゆっくり振り替える。

「お前が…お前が殺したんだよ!!」

口の中に血の味がしそうなくらい泣き叫ぶ少女が僕の首を両手でしめつける。


「は…はぁ、はぁ…夢…」

目を覚ました僕は慌ててヒールを探した。


ヒールの目から血が流れていた…。



(X)

この夢とヒールの血の涙、そして頭の隅にいる影とは。では次回2章でお会いしましょう。

to be next…


最後までお読みいただいてありがとうございます。

2章、次回からは夢に出てくる女の子との関係を明らかにしていこうかと思います。

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