魔術師ギルド
WW :存在…透明になるとかじゃなくて?
斗真 :透明化は難易度高そうだし、ひとまずこの制服を着ていても目立たない状態になりたい。
WW :ああ、人目を惹きたくないわけか。要求してることはわりと低いし、いいよ。
使用生命点は基本の2点+2点の計4点くらいでいいかなぁ。
効果時間は斗真が声を発する時点まで、かな。
斗真 :助かった。これで変な輩に絡まれずに魔術師ギルドまで移動出来る。
勿論後衛職なので、戦闘中にモンスターからの注意を引かないために使うのが主要な使い方になるだろうが、あまり使い勝手が良いとされると却下されるかもしれないので、その辺は言わないでおく。
早速斗真は空気のような存在感になり、魔術師ギルドまで移動することにした。
不揃いな石畳が敷かれた大通りは大きな荷を積んだ馬車も行き交うので、斗真は街の様子を窺いながら通りの端を歩く。
行き交う人も斗真にぶつかればその異様な服装に一瞬ギョっとするが、斗真が離れるとすぐに興味を失う。
多くの人で賑わう市や露店街を通り過ぎると石造りの建物が現れた。
斗真 :入口で魔法を解くよ。
「こんにちは。旅に必要なものをいくつか購入したいんだけど。」
カレン:「いらっしゃい…。珍しい旅装ですねぇ。お国は遠いのかしら?
魔法に関する品や一般的な旅の道具は置いてますよ。」
斗真 :「そう、故郷が遠くてね…この格好目立つようだから隠せるような外套が欲しいんだ。
あとはポーション類とランタン、火口箱、ポーチ付きベルトにロープ…あ、そうだ。」
斗真は懐からカードを取り出した。前回のシナリオ時に作ったギルドの会員証だ。
斗真 :「確認なんだけれど、組合員だとたしか買い物は1割引きでしたよね?」
カレン:「はい、そうですよ~。」
斗真が道具屋や冒険者ギルドではなく魔術師ギルドで買い物をするのは割引制度のためだ。
ただ道具類も魔術師ギルドでは管理できないものになると、道具屋などで揃えなくてはならないのだが…。
斗真 :「外套は魔法が掛かっているものが良いのだけど…。”防水”や”防寒”、”耐熱”とか…。」
カレン :「いくつかお望みの物がありますよ。ご覧になりますか?」
斗真は受付嬢のカレンに先導されて、商品が並ぶ部屋へと案内された。
カレンは斗真より少し上だろうか…赤い髪を綺麗に結い上げ魅力的な顔と体のラインの持ち主だ。
斗真 :…まぁときめいたところで中身は神だしな…。そう考えるとけっこうエグいな…。
WW :TRPGは深く考えると空しくからやめとけ。シナリオの発端とか基本理不尽だし。
斗真 :そうだよね…。
外套は防水、保存、防寒、耐熱、隠密、防御3 の魔法が掛かったものを購入。
これだけ付与魔法があると高価にはなるのだが、一番外側に着る衣類は身を守る術を掛けていた方が快適に旅が出来るのでここは金に糸目をつけない。
”保存”の魔法をかけてあれば傷みにくいので長持ちもする。
WW :”隠密”って…どれだけ影薄くなりたいの…。
斗真 :魔術師は打たれ弱いから、敵のターゲットにならないことは重要でしょ。
夜中こっそり行動することもあるかもしれないし。
更に旅に必要な道具と、ギルド員が作っているマジックアイテムもいくつか購入した。
カレン :「もしポーション入用でしたら魔術師ギルドからの依頼を受けて下さいませんか?」