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いろどりみどり  作者: 四季彩
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もしも明日世界が終わるなら

LINEでいただいたお題、『もしも明日世界が終わるなら』より

軽い残酷描写があります。

 華奢な人形を抱えながら階段を上がり、自室の窓を開けて新鮮な空気を取り込む。外を見下ろすと、人々がやかましく忙しなく動いていた。


 1週間前くらいから流れ始めたニュースによると、どうやら明日世界は滅亡するらしい。0時を迎えるとほぼ同時に巨大隕石が地球に直撃する、とか何とか言ってたっけ。

 地球滅亡系のデマやエセ予言はこれまでにさんざん見てきたけど、今回ばかりは本当らしい。どのテレビ番組もどのラジオもどの新聞も一斉に地球滅亡の速報を流し、3日前にはどれもぱったりと途切れた。記者もタレントもみんな、残された余生を各々自由に過ごすんだとさ。

 一時期は火星に移住するなんて話もあったけど、人類全員移住なんて現代じゃあまだ不可能。火星さんだって住まわれる準備なんて整っていない。大金持ちの連中が最期の観光に行くくらいなんじゃないかな、きっと。


 ガシャン。


 突如何かが割れる音。多分1階の窓ガラスだ。

 バタバタと足音が聞こえる。強盗かな。でもお金盗んだとこで何に使うんだろう?どうせ店なんて全部閉まってるのに......


「お前がやったのか」


 いろいろと考えている間に、男が私の部屋のドアを開けていた。結構背が高くてイケメン。

 だるいけどイケメンの質問には答えてあげようかな。


「もしかして父さんと母さんのこと?私がやったけど、それが何?」


 何の感情も持たずに淡々と答える。ただ、きっとこの人が最期の来客になるから笑顔を添えてみた。引き攣った表情をされたけど、まあ気にしない。


 この人は見たんだろう。1階で血まみれになって息絶えていた、私の両親の姿を。


 どうせ世界は終わるんだから、最後に目障りなモノを片付けたくもなるじゃないか。ついでに、私の唯一の癒しで大好きだった弟を私だけの『お人形』にしたっていいじゃないか。


 男が1歩踏み出し、私に近づく。私は大好きなお人形を抱えたまま動かない。

 男の手には鉈が握られている。これで私を殺すつもりなのかな。あれ?震えてる。もしかして初めての人殺しなのかな。うーん。

 鉈を持った手が大きく振り上げられる。と、同時に感じる浮遊感。


 ワンテンポ遅れて走る衝撃と激痛。後頭部の着地地点に、ちょうどコンクリートの破片があったようだ。ぶつかった痛みと破片で頭が割れた痛みが同時に襲いかかる。鉄錆のような臭いが鼻をつき、髪が濡れていくのがわかる。

 見上げると、さっきの男が窓から私を見下ろしている。どことなく気が抜けた顔をしてるな。何か喋った気がするけど、視界がぼやけてきて細かい動きはよくわからないな。


 どうにか首を傾けて周りを見渡す。人がたくさんいるが私を助けようとするのはいない。

 それはそうだ。全員明日になれば死ぬのに、1日ずれて死ぬ人間のことなんて眼中にない。というかやりたい放題だなみんな、私と同じで。暴れてる人がほとんどだ。死ぬ日がわかってるんだから、その前に嫌いな人間のひとりやふたり殺しておきたくもなるよね。私もそのひとりだし。


 ん。誰かこっちに来る。さっきのイケメンとは違って普通の男。息が荒いような......服を脱ぎ始めてる?そういうことか。別にいいよ、どうせもう死ぬから好きにしたらいい。ああ、せめてお人形だけは、ちゃんと私のそばに置いといてくれたら嬉しいかな。

『もしも明日世界が終わるなら』


多分その前に、世界は勝手に終わります。

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