【第1幕】意識が戻ると宇宙にいました。
とうとう始まります。
冒頭はオリオンの1人語り。
オリオンの誕生と他星座との出会い
目の前が暗い。何も見えない。何だこれ。
最後の記憶は…俺は高校3年生で、進路が定まらないまま日課の天体観測の準備をしていて…それで…それで確か…空が光って…周りが崩れてって……
そこからの記憶が無いな。
もしかして……これって俺死んだ?死んだ系?
それでここが死後の世界みたいな?
まっじかぁ…まだやりたい事とかあったのに…まぁあの周りの崩れようだと助かる見込みも無かったし仕方ないのか…?
つーか…なんか段々目の前が明るくなってんな…
なんか綺麗な景色が見える…宇宙にいるみてぇ…
…
……
………ん?まて、ここって
「は…?」
間抜けな声を出すのも無理はない。何故なら、少しずつ鮮明に見えていくその景色は、彼が綺麗な景色を例えたそのもので…
つまりは宇宙であった。
むしろ彼は景色の中に存在していた。
「いやいやいや!なんで至って普通の高校生が宇宙なんかにいるんだよ!なんかさ…こういう死んで生き返るみたいな奴って他の世界に転生するのがデフォだろ!?なんで宇宙!?なんでわざわざ宇宙なの!?いや確かに星綺麗だけど!近くにある星超でかくてすげぇけど!」
宇宙なのに息が出来る、転生状況がおかしい、周りに大小様々の星しかない等の不可解な状況に陥った。
不安になった彼は自分の見た目を確認し、落ち着こうとした。
「見た目…変わってないか…?」
落ち着けはした。が、新たな問題が発生した。
もう一度自分の腕を見たり、顔を触ったりしていつもの自分の髪型や顔のパーツ、腕とは違う事を再確認する。
転生って見た目大幅に変わるっけ…と思った彼は近くにあった周りの宇宙の景色を反射しているガラスのような小さな星に近づき、姿を確認しようとしてとある事に気が付いた。
「宇宙で移動ってどうすりゃいいんだよ…」
とりあえず恐る恐る体を前に傾け足を出してみる。
すると『歩く』というよりは『飛ぶ』事が出来た。
まぁ、宇宙は無重力なため歩けない。当然といえばそうなのかもしれないため今更言うことでもないが、不可解な状況下のため動ける事に驚く。
「うぉ…動けた…とりあえずこのままあの星まで…」
宇宙を飛び、ガラスのような星に近付き姿を確認する。
「うん…うん…大分イケメンじゃね?とりあえず前世よりイケメン」
彼の今の姿を説明すると、10代後半から20代前半の印象を受け、少し切れ長い宇宙の色のような藍色の目を持ち、髪は平均的にすると首まであり、前髪が顔横半分を隠している。着ている服は真っ白いワンピースのようなもので、天使が着ているような服であった。
前世よりイケメンな自分の姿に浮かれていると、突然宇宙では聞こえるはずのない【話し声】が途切れ途切れ聞こえてきた。
「…ぇ…ぇ、……子じゃ…い?レー……う…った…?」
「えぇ……も、あ…子…葉を……べっ…る…?」
「う…ん、とり…えず…しかけ…みよ…よ」
この訳の分からない状況下で、訳の分からない話し声の主達に話し掛けるというのはさらに訳が分からなくなるかもしれないので話し掛けるべきでは無いのだが、彼の好奇心が、話し掛けないと言う選択肢を無くしてしまったようで
「なぁ、お前らこの星の裏にいるんだろ?俺に用なら早くしてくれよ。俺この状況訳分からないから早くなんとかしたいんだよ」
話し掛けてしまった。
星の裏にいる話し声の主達は話し掛けられた事にビクビクッという擬音が目に見えそうな程驚いたあと、1人が一瞬で彼の目の前に来て
「ねぇねぇ!君って生まれたばかりの星人!?生まれたばかりなら何で話せるの!?何で!?」
と、凄い勢いで話してきて、それに彼は
「え…えぇ…」
としか答えることが出来なかった。
彼の不思議な物語は、まだ始まったばかりだ。
オリオンの誕生と他星座とのファーストコンタクトでした。
他星座達が一体誰なのかは次に分かります。
次回後書きにオリオンと出会った他星座の設定を書きますので、みのがさないように。