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本音、話してみろって

「ゴポォ!ウェエエ」

ものすごい臭い。

なにこれ?

「た、助けて」

「え」

「しゅんちゃぁぁぁん!」

俺は煙の中を掻き分け、俊平を引っ張った。


なんとか救出し、

大ごとにはならなかったが、俊平は

これでひきこもれないことがショックなのか、

てか一体なに考えてるのか分からないけど、

ずっと黙ってる。

「何したらあんな煙出るの?! 何?!

ねえ答えなさいよ」

「まあまあ、渥美さん落ち着いて」

「もう、、、いい加減にしてよ、、、!

そんな親信用できないっていうなら、

もう出ていくから! 勝手にしなさいよ」

「いやいや!どこ行くんすか?!」

渥美さんは、全速力で走って行く。

俺も追いかけようとしたけど

渥美さん足早すぎないか!?

「無理だよ」

「え?」

「母さん、高校の時陸上で全国出てるから」

「全国?」

「うん。全国2位」

「承知した」

冷静にそりゃ無理だわ。


× × × × ×

うお、

この店員さん、びっじーん♪

「ご注文お伺いします」

「ドリアとカレーデミグラスハンバーグセット、フライドポテト、宇治抹茶パフェ、ドリンクバーで」

「かしこまりました」

いやいや、奢るって言ったけど、

こいつ注文しすぎいい!

「あ、ミラノ風ドリア1つ」

「以上で宜しいでしょうか?」

「はい」

折角の美人店員さんを、

もう少しイライラせずに眺めていたかった、、、

「てか、何してたんだよ。あれ」

「、、、」

「なんか話せよ!あんなことするやつ、1人にしておけないっつーの。渥美さんも困るよなあ」

「お待たせしました。ドリアとカレーデミグラスハンバーグセットとフライドポテトと宇治抹茶パフェです」

「来るの早?!」

「失礼します」


黙々とものすごいスピードで食べる俊平。

「早くない、食べんの」

「、、、しばらく何も食べてなかったから」

「あ、そうなのか。まあ食えよ」

「いただきます」

「いただきますは、遅えよ」

ハンバーグを食う俊平が、

昔の自分に見えてきた。

俺もこんな感じだったのかな。


「なあ。部屋で何しようとしてたんだよ。」

「、、、」

「シカトしないで〜〜」

「、、、」

この子。

昔の俺に似てるかも。

なぜかそう感じた。


「、、、君と同い年くらいの時に、君のお母さんに

呼び出されたんだ。大学に」

「、、、」

「そんで、留年ですって言われて」

「、、、」

「俺その場で、『じゃあ大学やめます』って言って大学やめた」

「、、、そうですか」

「俺今何やってると思う?」

「、、、」

「大学辞めてからずっと、ブックオフでバイトしてる。週に6回。日曜は漫画喫茶に行って漫画読んで、

好きなテレビ見て寝てる。7年間ずっと。彼女も作らず、友達にも会わず」

俊平は食べる手を止めた。

「、、、楽しい?」

「え? なんて?」

「、、、その生活、楽しい?」


こいつ、そんなこと。

思わず笑ってしまい、

笑いが止まらなくなった。


「やってみれば」

俊平が珍しく表情を見せた。

子供が嫌いなピーマン見つけちゃった時の顔だ。

そして、ぐっと唇を噛みしみて話し始めた。


「タイムマシン、、、」

「え?」

「タイムマシン作ろうとしてた」

なぬ?!

どういうことそれ!

「タイムマシン?!」

「うん」

俊平はいきなり泣き始め

「過去やり直したいなって、、、」

俊平はもう涙が止まらないみたいだ。

「なんでこんなひきこもって、くだらない人生

歩んじゃったんだろう」

どうしよっかな、これ。

過去に戻りたいのは、

俺の方だけどね。


あー

どうしよっかな。


てか、俺がもし過去戻れたら何すっかな。

今よりはもっとマシだったろうな。

いくらでも改善策なら思いつくけど、

過去は変えられねえ。

ん〜〜

あ、


そうだ。

変えられねえのは、俺だけだ。


「俊平くん」

「はい」

「しばらく、俺に任せてみない?」

「、、、え?」

「君の人生」


俊平が唖然としている。

そりゃそうだ。

でもこれからだ。

お前は。


「よし、出るか」

「ちょっ」


面白いこと思いついた。

つづく

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