ひきこもりはほどほどにな
「あ」
「え」
渥美さん。
なんでここに。
「きゃあああああ!!!」
「どうなさいましたお客様」
俺は必死で、満喫の店長を体を張って止めた。
「お客様?! 開けていいですか?」
「だめです、今はだめっぽいっす!!」
「でも悲鳴が?!! 大丈夫ですか!!開けますよ?!!」
俺は叫ぶ。
「着ろおおお!!」
「君!!!どきなさい!!」
店長は俺をタックルで吹っ飛ばし、ドアを開ける。
どうだ!!?間に合った?!!
よかった。
渥美さんは、ちゃんと服着ていた。
「あ、すみません。大きなGがいた気がしたんですけど、ただの影でした」
「影でしたか、よかった。またなんかあれば言ってください」
「は〜〜い」
店長は、渥美さんをじろじろ見ながら去っていく。
× × × × ×
「ごめん、部屋間違えちゃって」
渥美先生は、緑茶ホットを飲みながら姿勢良く座る。
いつもの俺の空間に、いつもと違う空気。
すごくいい匂い。
真矢みき似の美しい女性と、満喫で二人。
「ねえ、そういえば私工藤君だったよね」
「何がですか」
「留年報告したの」
「あ……」
留年って言葉が胸にズッキーーーーンって刺さった。
「確か大学2年生の時だったよね、君が」
「そんなこと覚えてなくていいのに、もう忘れてください」
「まあまあ、今うちの息子も大学2年生だから」
「え!! そんな大きな息子いるんすか!! え、渥美さん俺の4つ上ぐらいだと思って
ました!!!ええええ!!!」
「私今年で48」
「えええええ!!! 若すぎてきもおおおお!」
「何よ、きもいって。ひどいね〜〜〜」
「……渥美さんの息子だからさぞかし、イケメンなんでしょう」ー
ー「……う」
え、
嘘でしょ?!
気づいたら、渥美さんが泣いていた。
「……どうすればいいのかね」
「何がですか」
なぜかわからないけど。
渥美さんはずっと泣いていた。
「中学でいろいろ、人間関係うまくできなくて……そこからどんどん暗くなって」
「え……」
「高校も不登校で……大学に合格したなのに、結局不登校……笑わなくなって、
引きこもって……あの子ずっと暗いの、うぅぅぅぅうおおおおおおおん」
渥美さんはまた泣き始めてしまう。
「あ、あの僕でよければ」
「え」
「話聞くんで……」
「工藤君……」
なんか、渥美さんの涙がもう見たくなくて、思わず口を開いた。
「協力します、話聞くくらいしかできないけど」ー
ー「協力してくれるのね」
きゅうにけろっと元気になり、渥美さんはそう僕に言った。
「え」
「協力、してくれるよね!」
「どうぞ」
気づいたら、渥美さんの家に来ていた。
「あのやっぱ帰りま」ー
ー「あがって」
おい、なんで協力するって言ったんだ俺!!
話聞きますくらいでよかったろ!!
スマホを見ると、もう夜8時。
おいおいおい!
俺の大好きな「世界の奥まで行ってG!」が始まってる時間じゃん。
俺、テレビしか人生楽しみないのに。
勘弁して……
立派な家へあがって、階段をあがる
「しゅんちゃん、ママだよ」
渥美さんがそういった瞬間だった。
ドカアアああああああああああん
部屋の中で何かが爆発した。
「しゅっ!!しゅんちゃん!!何してるの!!開けて!!」
「な、何これ」
「開けて!!」
なんか変な匂いする。
やばい。
「すみません、お金は後で弁償するんで」
「え」
俺は近くにあった棒で、思い切りドアノブをぶっ壊し、体当たりした。
どおおおおおん!!
ドアが開いた。
その瞬間だった。
「え……」
驚くものが俺の目の前に現れた。