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おひさしブリーフ

クーラーのリモコン握りしめて、ぜぇぜぇ言う。

今年の夏も。


俺は工藤達郎、29歳。

あぁ〜〜〜どうしよう。

無職で、たまにブックオフで働いて、本整理してるうちにもうすぐ30歳の親父に

なっちゃうよ……ああ!!セミうるせえなああ!!黙れよ!!

あああ!俺もミンミン言いてえ!!ミンミン言って、異性のハート鷲掴みしてえ!!

ああセミになりてえ!!

そういえば、あん時もこんなミンミン日和だったなぁ。


あれは大学2年生の時だった。

突然大学から電話が来た。

「もしもし、工藤達郎君?」

すごく可愛い声の女性からの電話にうきうきした、あの夏休み。

まあ俺大学時代、ほとんど学校サボってたから、年中サマーバケーションだったけど。

「日明大学芸学部の事務員の渥美と申します」

「あ、どうも」

「工藤君大事なお話があります。今から学校来れませんか」

あまりにも、色気のある声だから「絶対行きます」って言って、3着しか持ってない

Tシャツで一番おしゃれな「アイムワイルド」って書かれたTシャツを来て、

俺は家を飛び出した。


あぁ、

すっげえ快晴。

すっげえ夏。


大学までは電車に揺られて、30分。

東京のくせして、八王子の山奥にある田舎キャンパス。

別名、チベット大学。

あれ、なんで俺大学行かなくなったんだっけ。

ああ、そうだ。

友達いないからだ。

バスケットコートでバスケしてる男女大学生がくっそ楽しそうで、

くっそキラキラしてて、むかつく。

いや、、、どっちかっていうと

羨ましい。


事務室について、受付で「工藤です。渥美さんいらっしゃいますか」と尋ねる。

「渥美さ〜〜ん」と小太りなおじさんの事務員が呼ぶ。

なんかめっちゃ芋洗坂係長に似てるな。

本人だったりして、とくすくす笑ってるとめっちゃセクシーな人が登場した。

声はイメージを裏切らなかったと感動して、泣きそうになった。

そんな俺の目の前へ現れた美しい真矢みき似のお姉さんが俺に向かって言った。

「……お知らせがあるの」

「なんですか?」

デートの誘いか??

いや、初対面だし。

なんだろう。

「留年が決まりました」

あ、

まじか。

辞めよ。


それから10年。

あれから、無駄に頑張ることを一切やめた。

大卒の資格がないから、とりあえず近所のブックオフでバイトを始めた。

週6で働いて、

1日だけ休む生活を10年間続けた。

休日は漫画喫茶に閉じこもった。

大学をやめたことを、両親には言っていない。

俺が大学を卒業して、テレビ局のディレクターになったって設定で、

嘘をついてきた。

地元の友達とも連絡を一切途絶えた。

友達との縁を全部切った。


今の俺は、

週6ブックオフで働き、

1日だけ……漫画喫茶で休みを楽しむ。

ついに通い詰めた漫画喫茶のポイントカードが9000ptになった。

もう、一週間は無料で通い続けられるポイント数だ。


「工藤君、よく働くねえ」

「いえいえ」

「来週も、週6で入れる?」

「もちろんです」

「いつもありがと!!よろしくね」

来週も、俺は

いつも通り、

本を整理する道のりを選んだ。


ふぁぁ〜〜〜

欠伸しながら、日曜日が来た。

いつも通り漫画喫茶に行く。

あ〜〜あ、

ほとんど読んじゃったな漫画。

何読もっかなぁ、

そんなこと考えながら、コーラとアイスクリーム片手に55番の部屋へ

入ろうと、ドア的なやつを開けた。


その時だった。

「あっ! ああああ!」

「えっ!?」

渥美さんがいた。

下着姿で


つづく

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