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朝日さんの面倒ごと  作者: 日の太郎
第1章
7/42

朝日さんは見つける

 決闘が終わった後、無元たちは機龍のいる医務室に向かった。ちなみにこの学院、かはりレベルの高い医療施設がある。一般の病院として外部の人にも開いているほどだ。

 機龍のいる医務室に着くとベットに機龍が寝ていた。


「翼!」

「おう、明日香!約束どうり勝ったぜ!」

「バカ!あんなに追い込まれて!心配したんだから!」

「ごめん、ごめん」

「ごめん、ごめんじゃないわよ・・・。でも良かった・・・」


 そう言って立花が機龍に抱きつく。


「待て待て明日香!そこは怪我してるところなんだ! イダダダダダダダッ!痛い!痛いって!」

「ご、ごめん!痛かった?」

「だ、大丈夫」


 顔を引きつらせながら機龍が言った。


「ごめん、明日香。心配かけた・・・」


 そう言って今度は機龍の方から明日香を抱いた。

 なんと言うか・・・。

 かなり甘ったるい空気が流れている。

 だか、この空気を壊すほど空気の読めない男ではない。

 とりあえず二人の抱擁が終わるまで忍耐強く待つ。

 なんとかその場の空気を我慢しながらじっと待っていると


「ええと、明日香。後ろにいる人は?」


 どうやらやっと気付いたらしい。


「え、あっ。む、無元!ごめん忘れてたわ」


 (僕、忘れられてたのか・・・)


「ええと、彼は無元、木枯無元よ。私の中等部からの知り合い」


 そう立花が無元を紹介する。


「初めまして、木枯無元です。君とはいろいろ話したいことがあったんだけど常に女子に囲まれてたから話しかけづらかったんだよ。ここで知り合いになれて良かった」


 そう言って無元は握手を求める。

 機龍もそれに応じて握手をする。


「ああ、こちらこそ!機龍翼だ。こっちも男の知り合いがいなかったから嬉しいよ。よろしく頼む」


 かたく握手をした。


「翼、無元はこれでもかなりの手練れなの。能力や戦いについてわからないことがあれば彼に聞くといいわ。勿論、私にもどんどん聞いていいからね!」


 明日香が少し顔を赤くしながら言う。


「それじゃあ、僕はもういきますね」

「あら?無元。あなた用事でもあるの?」

「部活ですよ。部室に朝日さん一人で待たせてるんです」

「ああ、ミス研か」

「ええ」


 無元は医務室を出た。

 しばらく歩くと二人の女性が話しているのをチラリと聞いた。あの様子からすると医務室の先生だろう。


「ねえ、比嘉先生。102号室の病室に寝ていた子どものくみちゃん知らない?」

「ええ、私は見てませんが・・・。そちらも7番医務室に寝ていた人を知りませんか?」

「そっちもいなくなったの!」

「はい、さっき様子を見に行ったらいなくなっていて」


 と、そんな感じの会話だ。

 どうやら、人がいなくなったらしい。

 どうせ、病室にいるのが退屈で外の景色でも見に行っているのだろう。そんな事思いながら部室に向かった。



 無元が医務室を去ったしばらく後、翼と一頻り喋り立花も医務室を出た。

 本当はもっと一緒に居たいのだがあまり翼に負担をかけるのも悪い。

 現代の医療技術を使えばあれくらいの怪我なら結構簡単に治ってしまう。

 しかし、いくら簡単に治ってしまうと言っても人にっては大怪我だ。

 療養は必要なのである。


「は〜」


 ため息をつきながら医療棟を出る。

 すると柱の影に人の気配を感じた。


「誰だ!」


 その柱に向かって言うと思いもよらない人物が姿を現した。


「やあ、明日香」


 風切海斗がそこに立っていた。


「あんた、こんな所で何やってるの」

「いや、何。ここで明日香が来るのを待ってたんだよ♪」


 楽しそうに風切が言う。


「その呼び方はやめて。あなたに下の名前で呼ばれるのは虫唾が走る」

「あはは、何言ってるんだよ。俺と君の仲だろ?それに機龍は下の名前で呼んでいるじゃないか」

「翼とあなたは違うわ!」

「あはは、明日香は酷いこと言うな〜。本当は今日あいつをボコボコのグチャグチャに嬲り殺して明日香に告白するつもりだったんだ。そうすれば明日香は俺の物になってすべてうまく行くはずだったのにな〜」


 気持ちの悪い笑顔を浮かべながらそう言う。


「何を訳のわからないことを言ってるの!私は誰のものにもならない!ましてやあんたの物なんて!」

「でも、機龍の物にはなるだろう。せっかく殺そうと思って狙ってた人がこの学院に来てくれたのに・・・。まさかあんな奴に負けるとわね」

「殺そうと思っていた? どう言うこと?」


 困惑した様子で立花が聞く。


「なんであなたが翼を前から知ってるように言うの」

「冗談きついよ明日香〜〜!好きな人のことを隅々まで知ってるのは当たり前じゃないか!何十万もお金を払って明日香の情報を買ったんだから」


 立花は恐怖した。

 自分の肝は座っていると思っていた。

 しかし、目の前にいる奴は今まで戦ってきた人たちとはまるで違う。

 欲望と狂気、いや、もっと恐ろしい何かに支配されている気がした。


「他にも何人か殺す奴はいるし、やることはいっぱいあるけど手っ取り早い方法も見つけたからそれをやろうと思って待ってたんだよ。それじゃあ、明日香。とりあえず俺と一緒に散歩にでも行こうか」


 風切が言う。


「い、いや。あなたの言うことなんて聞かない!」


 恐怖を押し殺そうとするがうまくいかない。


「そっか〜、残念だな〜。ここで言うことを聞いてくれたら楽だったんだけど」


 すると風切は柱に手を伸ばし何かを連れてきた。


「あなた、その女の子は・・・」


 そこには10歳くらいの女の子が立っていた。


「いや〜、病室で一人で寂しそうにしてたから連れてきちゃった」


 そう言いながら女の子の首に手を回す。


「さっき断られたのショックだな〜。ショックでこの子の首を思わず捻っちゃいそうだよ」


 手を首に回された女の子は小さく震えていた。


「ねぇ、明日香。もう一度聞くけど俺と一緒に散歩に行こ」


 笑顔で風切が言った。その笑顔は歪んでいる。


「分かったわ・・・。だからその女の子には危害を加えないで」

「うん、分かった。それじゃあ行こうか!」


 風切の言うとうりについて行く。


「せっかくだから明日香。手を繋ごうか!」


 そう言って手を出してくる。

 立花は手を繋いだ。その手は汗で湿っていて気持ちが悪かった。


「ああ〜。明日香と手をつなげるなんて今日は手を洗えないな〜〜。それにこの光景みてよ。まるで俺たち家族みたいじゃないか!明日香が奥さんで俺が夫、この子が俺達の子供だ!そして三人でご飯を食べて、お風呂に入って、一緒に寝るんだ。いや、やっぱり子供はもっとほしいよね!10人くらいはほしいな〜」


 風切が立花にそう話してくる。

 立花は必死に恐怖を押し殺そうとするがどう勇気付けても心が竦む。


「私達をどこに連れて行くの!」


 勇気を振り絞ってそう聞いた。


「それはついてからのお楽しみだよ」


 そう言われしばらく歩くと第8号館の南側の裏手に着いた。


「ここだよ。ここには人も滅多にこないし契りを結ぶにはちょうどいいだろ」


 風切がそう言って手を離した瞬間、素早く風切に蹴りを入れ反対の手にいる女の子を抱き抱え距離を取る。何とか体を奮い立たせて起こした行動が上手くいった。

 内心では勝ったと思った。

 人質が居なければ立花が風切に負ける要素は無い。


「風切、あなたの負けよ。あなたと私の実力差くらいわかるでしょ」

「痛いよ明日香〜。最後の最後で裏切るなんて酷いじゃ無いか」


 風切が立ち上がる。

 立花はすかさずデバイスから刀を展開し、刀を操ろうと能力を発動させる。

 しかし、能力は発動せずカランカラン虚しい音を立てて刀が地面に落ちる。


「え、」


 今まで能力が発動しないなんてことなかったのだ。

 風切の方を見ると手に小さな機械のようなものを持っている。


「なに、それ・・・」

「ああ、これ!便利でしょ〜〜。アンチアビリティて言う機械なんだけどさ〜〜、能力を無効にできるんだって。すごいよね〜〜。今日の決闘でも使わせてもらったけど流石にバレると思って能力を無効にはせずシールドだけ無効にしたんだけどやっぱり使えば良かったね」


 風切が機械をひらひらとこちらに見せる。


「そんなものどこで・・・」


 絶望の表情で立花が言う。


「手に入れるの苦労したんだよ」


 そう言って風切がいきなり目の前から消えた。加速の能力を使ったのだ。

 しまったと思い防御するが間に合わない。

 急所に強烈な一撃をくらい、立花は倒れこむ。

 女の子の「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」と言う呼びかけが遠くなっていく。

 そして立花は意識を失ってしまった・・・。



 風切達が来る少し前、第8号館の東側の庭で草刈りをしている朝日と寧々先生がいた。


「先生もう疲れましたよ、俺」

「はいはい、愚痴らない」


 そう言いながら黙々と草刈りをしていると


“プルルルル”


 と電話の音がした。どうやら先生の電話らしい。先生は電話に出てしばらく話すと


「あ、朝日くん!すいません!私、用事ができてしまいました!ちょっと行かないといけないんであとはよろしくお願いします!」

「え、これを俺、一人にまかせるんですか!勘弁してくださいよ!」


 しかし、先生は全く聞かずにパタパタとどこか言ってしまう。


「はあ〜」


 そんなため息と共に仕方なく一人で草刈りを続ける。しばらく草刈りをしていると南側の裏手の方に人気を感じた。

 まあ、どこぞのカップルが人目をしのいでキスでもしに来たのだろうと思いながら草刈りを続ける。

 だか、カランカランと言う鉄が落ちる音がした。

 どれだけ激しくキスをしてるんだよと思ったがすぐに“ドスッ”と言う音が聞こえる。

 この音は明らかに人を殴った音だ、それも尋常じゃ無い威力で。

 少し気になったので様子を見にいく。

 草を掻き分けて南側の裏手に出るとそこには風切が倒れている立花を今まさに襲おうとしている瞬間だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

もうすぐこの転校生編は終わりになります。最後まで読んでくれると嬉しいです。

(誤字、脱字などが有りましたら申し訳有りません)

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