ガイルの過去
俺とあいつがよく一緒に来る小さな山の上、そこにある大きな木の下で、ガイルは気持ちよさそうに昼寝をしていた
「ガイル、こんな所で寝たらだめだよ」
何度も聞いた、優しく、穏やかな少女の声
「なんだよ京子、人が気持ちよく寝てるってのに」
「だからって私の膝枕で寝ないでよ」
京子、俺の大切な恋人。それを、俺は
ドゴォォォ!
「な、なんだ!」
「ガイル、街に火が!」
街の門にある魔除けの石碑が壊されて、魔物どもが街に入ってきたようだ
「京子は領主様にこの事を知らせてくれ!」
「ガイルは、ガイルはどうするの!?」
ガイルは木の根元の祠のお札を破り、祠の小さな隙間に手を入れる
「俺はこれを使う、これで魔物を殺す!」
「それって、刀!?私の国の剣、どうして」
ガイルが祠から取り出した物は、鞘の無い刀。赤黒く光る刀身は禍々しい光の粒子を纏っている
「この刀は、今まで魔物に殺された人間の怨念を、この樹が吸い集め、この祠に封印した。だが、祠だけじゃ封印しきれず、人の髪を一緒に打ち込んだこの刀に怨念を封印したんだ」
「どうしてガイルがそんな事を知ってるの!?」
ガイルは木に手をついて、苦しそうに呼吸をしている
「俺の、祖先、が、これを造ったんだ、ぐぁっ!」
「ガイル、腕が!早くそれを離して!じゃないとあなたが!」
ガイルの右腕には黒い血管が浮かび、藍色の刺青のような模様がついている
「京子、早く俺から、離れ、ろ。じゃないと、お前も、巻き添えに、なるぞ。早く、領主様の所にいけ!」
「・・・・わかった、どうか、死なないで」
京子は領主の館に向かって走っていく
「よし、いくぞてめぇら!今こそ我らが恨み、晴らしてくれようぞ!」
ガイルは街に向かって、その呪われた体を走らせる
◇
ガイルの姿を捉えた魔物が、いっせいにガイルに襲いかかる
「我等の種に仇なす存在よ、我が一刀のもとに黄泉の国へと送り届けてやろう!来い!異形の妖怪共!」
三体の火の玉がガイルに襲いかかるが、ガイルの持つ刀から影のような三本の刀が現れ、火の玉を切り落とす
その後ろから2体のトロール、それを無視して間を抜けたと思いきや、トロールの体は心臓を中心に3つに分かれた
5体のウルフはガイルを囲み、円を描くように走る
「鬱陶しいんだよ!死ねぇ!」
ガイルが刀を逆手に持ち、素早く一回転、すると刀から紅い刃が放たれ、ウルフの群れを切り裂いた
その後も魔物の軍勢を切り伏せ、ガイルは街の避難所へと向かう
ドンドンドン!
「おいっ!誰かいるか!?返事しろ!!」
よく見ると、避難所の鍵が壊れている
「まさか、クソッ!」
ガイルはドアを蹴破り中へ入る
「これ、は・・・」
避難所の中には街の人の死体がたくさん転がっていた
「シオン!ディア!遥!スロイヴ!彩香!」
「ガイ、ル?」
「っ!ディア!」
ガイルは少女のもとへ駆け寄る
「ディア、他のみんなは!?」
「彩香とシオンは、魔物に、食べられちゃった。遥と、スロイヴはわからないよ」
ガイルは少女を抱きしめる
「すまない、俺が間に合わなかったせいで」
ディアはガイルの頬に触れて
「京子は、どうした、の?」
「京子は領主様の所に行かせた、だから大丈夫だ」
「そう、よかった」
ディアは安心したような安らかな笑顔でこの世を去った
「まだ助けられる可能性があるのは、遥とスロイヴか、待ってろ、今助けてやるからな!」
ガイルのいなくなった避難所で、死んだはずの人達がフラフラと立ち上がる
最近思うのですが、キルっちより、ガイルの方が主人公っぽい気がするんです。まぁ、主人公を変える気はありませんがw
えっと、これで20ですかね?まぁひとつひとつが短いので、こんなものですかね?最近はもうひとつ書いていますが、こっちには出せるものじゃないです。色々とヤバいのでw




