誕生日パーティの再開
あの後、キルディア達はアーリアの誕生日パーティーの続きを楽しんでいた
「アーちゃんごめんね、途中で抜けちゃって」
「いいの、私の誕生日はいつもなんでかトラブルが起こるの。あ、でもお兄ちゃんの誕生日はもっと酷いからその時は覚悟しててね」
「確かに、俺の誕生日で一番ヤバかったのは12歳の誕生日の時で、泥棒が家に入って来てさ、師匠が泥棒の全身の骨を砕いちまってさ、俺のケーキに血がついてアーリアが怒って師匠と泥棒を身動きが取れないように縛って近くの崖に生えてる枯れ木にくくりつけて2日吊るした事があったな」
「その泥棒は死んじゃったの?」
「リリィ、聞くまでもなく泥棒は死んじゃったでしょ」
キルディアは不敵な笑みを浮かべ、カリアとリリィの頭を鷲掴みにする
「残念、師匠が魔法で傷を治していたから生きてたよ」
「あぁ、そう言えばあのジジイ魔法使えたんだ、忘れてた」
「そうだ、キルディア君、師匠さんの名前ってなぁに?」
アーリアの口を拭いているのを中断し、キルディアはめんどくさそうにため息を吐く
「あぁ、言ってなかったのかよ、あのエロオヤジ。あいつは確かガルネス・ディト・ルークディスタニアって無駄に長い名前なんだ。風俗店ではガルちゃんとか、ディトさんとかで呼ばれていたぞ」
「パパは本当にキモい、一回死ねばいいのに」
「アーちゃんってさ、パパの事になると超不機嫌だよね」
「よっぽど嫌いなんだね、僕は僕のパパの事が大好きだからよくわかんないや」
「えっと、ニールちゃんのパパはどんな人なの?」
リリィは頑張ってガルネスの話題から逸れようと話に乗っかる
「えっとね、昔の戦争みたいな事が起こった時は少し酷い事もしてたらしいんだ、でも本当は優しくて、すごく強くて、カッコいいパパだよ」
ニールはまるで、恋人の事を語るような少女の目をしていた
「ニールってファザコンだったんだな、あそこの二人はシスコンとブラコンだし、何もないのは私とリリィだけ?」
「えっと、そう、だね」
「そういえば、最近キルディアが私のパパにそっくりな事に気づいたの、だからぁ、キルディアのこと、パパって呼んでも大丈夫だよね?」
ニール、なぜお前は俺一人に話しかける時は猫撫で声なんだ?
「まぁ俺は構わないが、周りに勘違いを起こされると面倒じゃないか?」
「大丈夫だよ、その時はその時で」
さっきからアーリアが抱きついていて苦しい、ニールがくっついてきた辺りから渡さないとでも言いたいのか、可愛いなぁ、でもアーリアの目は本気だな
「ニール、お前はもう少し考えて行動しないと後でとんでもない失敗をするぞ」
「大丈夫、もう何度か失敗してるから、例えばそうだな、僕がここに来る前に泊まった宿で、たぶん出来るだろうって思って料理をしたら、その宿が火事になっちゃって、その後は修理を手伝って、元の料金で宿を出られたよ、後は、ナラミア湖に住むフェアリーに会いに行ったら、フェアリーに見とれてて崖からピューって落ちちゃって、まぁ、運よく下の湖の水で助かって足の骨が折れただけで済んだよ、その後湖のフェアリーに手当てしてもらって僕すごく嬉しかったよ」
「なんだか、アーリアも同じ事を拾われた時にやってたな」
「ニールちゃんって、私と似た者同士なのかな?」
アーリアの腕が緩む、どうやら心を許せたようだな。後はカリア、お前は静かにしてると思ったら、何クスクスと笑っているんだよ、リリィは気付いていないし
「そろそろ食い物が無くなるな、追加するか?」
「私はもうお腹いっぱい」
「僕も」
「私は今ある分で大丈夫だよ?」
「お兄ちゃん、リリィがもっと食べたいって」
え?リリィは今ある分で・・・あぁ、そうか、リリィは俺に遠慮しているのか
「じゃあ、少し追加すれば大丈夫か?」
「え、うん」
「お兄ちゃん絶対気付いていないし」
アーリアが何か言った気もするが、リリィを待たせるのも悪いし早く作ろう
◇
「もう、アーリアのバカ、キルディア君に迷惑かけちゃったじゃない」
お兄ちゃんが料理する音がすると、リリィが拗ねた
「大丈夫だよ、リリィが大食らいなの、
私知ってるから、それに恥ずかしがる事無いと思うけどなぁ、私もいっぱい食べるし」
「あの後私の財布がお腹すかしてたよ」
「訓練兵でも成績が良かったらその分いっぱいお金もらえるよね?カリアちゃんくらいの成績でもお金が無くなるならかなり食べるね」
ニールちゃんが何か分析してる、まぁ確かにあの時はリリィの食欲すごかったなぁ
「ごめんね、カリア」
「いいよ、あの時私も払うって言ったし」
カリアとリリィって本当に仲がいいよね
「いきなりだけどさ、ネクストって自分で報酬を選べるんだよね?」
ニールちゃん、本当いきなりだね
「そうだね、確かにネクストは報酬を決める権利がある、だけどそれを悪用して多額の報酬を要求する人もいるらしいよ」
「本当迷惑だよね、そんな奴がいるからネクストを嫌う所が出てくるんだよ」
「カリアは報酬が少なくなるから迷惑なんじゃない?」
わぁ、私大ピ~ンチ
「なんだとコラ」
「いはいいはい、はりあほめん、ほっへはのひひゃうはら」(痛い痛い、カリアごめん、ほっぺた伸びちゃうから)
「カリアちゃん、アーリアちゃんのほっぺた引っ張るのはいいけど、後でキルディアに怒られても知らないよ?」
カリアはアーリアを離して素早くアーリアの後ろに隠れる
「え、か、カリア?どうしたの?」
「どうしたの?カリア、顔真っ赤だよ?・・・あ」
「あ~、思い出しちゃったか」
「う、うるさい、みんな黙れ」
カリアは意外とこういう事に弱いんだね、こと時のカリアはいつもと違って可愛いなぁ
お兄ちゃん遅いなぁ、何か嫌な予感
◇
あ、やべ、つい作りすぎたな・・・・まぁ残ったらアーリアが全部食うだろ
「遅くなってすまん、つい作りすぎてしまって」
「あ、やっぱり」
「よかったねリリィ、いっぱい食べられるよ?」
カリアがリリィの頭を撫でている、初めて見たな、何だか微笑ましい光景だ
「・・・むぅ」
「リリィってさいっぱい食べるのにどうして太らないわけ?」
「アーちゃんも人の事言えないじゃん」
「キルディア、リリィって本当はいっぱい食べrふきゅっ!」
リリィは今まで見たこともないほどの速さでニールの口を塞ぐ
「ニール、何かリリィの怒らせる事言いかけただろ」
次々とキルディアが料理を運んでくる
「ごめんなリリィ」
「え、なに!?」
急に謝られてリリィは驚き戸惑う
「本当はちょっとだけ作って出そうって思ったんだけど、つい癖で作りすぎたんだ。食いきれなかったら残してもいいよ、たぶんアーリアが食べるだろう」
「あ、うん、全然大丈夫だよ」
「私もう少ししか食べられないよ」
その後、俺が台所で洗い物をしている間に、料理は全て無くなっていた
いつの間にかアーちゃんの誕生日パーティで埋っちゃいました。
次はそろそろキルっちのライバル候補を再登場させようと思っていますが、覚えていますか?
二作目の方もありますが、個人的にこちらを優先して書いて行こうと思います。