パパなんてだいっきらい!
◇
焼き払われた魔物の青い炎と赤い炎が混じりあって紫色の炎が見える、私はそれに目を奪われていた
「すごい、綺麗」
目の前の光景にカリアは感嘆の声をあげる
「嬢ちゃん、キルディアのお友だちだよね?」
「え、はい。あの、どなたですか?」
この人、どうしてキルの事を?
「そんなに警戒しないでよ、うちのバカ息子と可愛い娘が世話になってるみたいだから一応のあいさつだよん」
キルとアーちゃんの父親?絶対に違う、キルは今年で17だったはず、でもこの男は老けて見えても30くらいで若すぎる。一応確認だけはした方がいいかもしれない
「あの、キルの父親にしては若すぎでは?」
「あぁ俺?これでも一応43なんだけどそんなに若く見えるかなぁ?」
まさかの40越え!まだ20って言われても納得しちゃいそうな顔なのに!?
「あんがとね、おじさんネクストって言う役職なんだけどさ、キルディアもアーリアも一緒にネクストになるって家を出て行ってさ、二人を探すためにいろんな国の育成所を巡っていたんだ」
なるほど、少し言動がウザイけど一応信じておこう
「では私達の先輩ですね、ですがなぜ私がキルと友だちとわかったのですか?」
「それは、君の体からキルディアとアーリアの匂いがするからさ」
きもっ!やっぱり少しは警戒しておく必要がありそうね
「あ、いま一瞬キモイって思ったでしょ、ひどいなぁ、おじさん傷ついたよ」
ちょっと殴りたくなってきたから殴っていいかな?でも、一応キルに確認してから判断しよう
「すみません、匂いで個人を特定できる人をあまり見てこなかったもので」
「そうか、なら仕方ないね。そうだ、キルディアの所に案内してくれるかな?」
案内しろって事ね、まぁ断ってもついてくるんでしょうね。キルに確認して、殴れる相手なら殴りたいし、案内しましょうか
「いいですよ、私もこの事を教官に報告しに戻りますので」
「ありがと、おかげでやっと可愛いアーリアにあえるよ」
親子揃ってアーちゃん大好きか、アーちゃん疲れないのかな?
◇
リリィとニールは途中でカリアを見失い森のなかを探していた
「ニールちゃん、カリアいた?」
「うんいた、あっこ」
リリィはニールの指さす方を見ると、カリアが若い男と並んで歩いている姿を見つけた
「カリアって彼氏いたんだ」
「ニールちゃん、カリアとあの男の人そんなに仲良くしてないから違うんじゃないかな?先輩と後輩みたいな」
ニールは、なるほどと頷いてしばらく二人を観察していると
「あ、動いた」
「訓練所に戻るのかな?」
リリィとニールは音をたてずに二人を追う
「さすが、イルーナの人は隠密行動に優れてるだけあるね」
リリィは懐かしむような表情で語り始める
「私が9歳の頃、私のパパとママは私が誘拐されそうになったときに捕まっちゃって、パパのおかげでママは逃げられたけど、パパはママに私を任せて、今はここから北の方にあるあの国の暗殺者になったらしいよ」
「・・・ごめん、辛いこと思い出させちゃって」
ニールはしゅんとした顔で謝る
「大丈夫だよ、パパはこっちに仕事とかで来る時はいつも会いに来てくれるし、夜に私が寝てる時は置き手紙を書いてくれるから」
「そ、そうなんだ、よかったぁ、リリィに嫌われるかと思っちゃったよ」
突然ニールが真面目な顔になりリリィは周囲の気配を探る
「リリィ、後ろ、気を付けて」
「え、なに?」
リリィは後ろを振り向き目を見開く
リリィ達の後ろから大きな熊が走ってきている
「ニールちゃん、早く逃げよう!」
「倒しちゃった方が楽な気が、あっ」
リリィはニールの手を引き、必死で逃げる
「あははっ、くまったなぁ」
「古いし笑えないよー!」
リリィ達は森から抜け、近くにいた人に向かって逃げて行く
◇
「それじゃあキルとアーちゃんはあなたの実子ではないと」
「そうだよ、二人とも拾い子んだ、歳はあの子達の記憶にあるものと俺の目でみた年齢で、誕生日は拾った日にしているんだ、拾った時はそれはもう二人ともかわいかったよ。ん、あれはなんだろ?」
カリアは男が指す方を見ると、人が二人走ってこちらに向かっている
「リリィ、ニール、なんでこんなところに」
カリアは友だちに手を振る、ニールは手を振り返す、だがリリィの方は必死な顔をして何かから逃げるように走っている
「知り合い?」
「はい、私とキル達の共通の友だちです、何かから逃げてきたようですが」
二人の後ろに大きな熊が現れ、カリアは全てを察する
「助けた方がいい?」
「大丈夫です、私がやります」
カリアは熊に向かって駆け出し、二人とすれ違うと同時に拳を構える
「ごめんね熊ちゃん、少しだけ眠っていてね」
カリアは熊の顎に強烈なアッパーをくらわせると、熊はよだれを撒き散らしながら後ろに仰け反り、倒れる
「歯が二本取れちゃった、ちょっとやり過ぎたかな?」
カリアは熊を殴った手をブラブラさせながら呟く
「カリアちゃん強いねぇ、おじさん驚いたよ」
「まぁ熊を一撃で落とすくらいは朝飯前です」
カリアはスッキリしたような笑顔で振り返る
「カリアはキルディアに何発かくらわしたもんね」
ニールはカリアの頬を指でグリグリとつつく
「ニールちゃん、あの時見てたんだ」
「ニール、そろそろやめないとその割り箸みたいな細い指、噛み砕くよ?」
「わかった、やめるからその怖い笑顔をやめて欲しいな。僕、キルディアとカリアが戦う事になった原因知っちゃってて、おもしろそうだなって思ったから見てただけだよ?」
カリアはその原因を思い出して顔を少し赤くする
「え、何々?おじさんも混ぜてよぉ、おもしろそうな話なのにのけ者なんて寂しいよ~」
「カリア、このおじさん、殴っていいかな?」
「ニールちゃん、知らない人に暴力を振るうのはだめだよ」
リリィがニールの握りしめられた拳を掴んで止めようとするが、リリィの手は簡単に振りほどかれる
「今は我慢しろニール、キルディアに許可を得てから私達でボコボコにするんだ」
「え、何?おじさんそんなに皆から嫌われてるの?」
男の言葉に三人とも頷く
「え~!何か優しそうなリリィちゃんまでおじさんの事嫌いなんて、おじさん、もう泣いちゃいそうだよ~」
「涙は男の恥じだって言ってたのは誰だったかな?」
男の後ろから男性の声と銃声が聞こえ、男は崩れ落ちるように倒れていく
◇
少しの沈黙の後、リリィが悲鳴をあげ、カリアはリリィの目を塞ぐ
「キ、キル、お前、今誰を撃ったのかわかってるのか!」
「あぁ、俺の師匠だ、それがどうした?」
キルディアの冷たい態度にカリアは、キルディアの頬を叩く
「あ、カリア!どうしてお兄ちゃんを叩くの!?」
「だってキルが自分の親を撃ち殺したんだ!叩かずにいられるわけないだろ!」
「カリア、落ち着いて下を見ろ」
カリアは促されるまま下を見下ろす
「うん、やっぱり可愛い女の子は下から見上げるとエロいねぇ~、いいね~」
「え、どうなって」
「こいつは魔法が使えるんだよ、その魔法で魔物を退治するネクスト、師匠って言っても大したことは教えてくれてないがな」
「パパぁ、殺されたくなかったら早く起き上がって」
男は渋々起き上がると名残惜しそうにカリアの太ももを眺める
「で、なんでテメェがこんなとこにいるんだ?」
「なんでってそりゃあ、キルディアとアーリアを探しに来たんだよ」
男のは笑顔で二人の肩に手を置く
「それでパパの本音は?」
アーリアが笑顔で真実を問う
「いろんな国の風俗巡りをしてて、次の風俗店のある国にキルディアとアーリアがいたなぁって、それでついでに会いに来たんだ」
「やっぱりな、お前が俺達に何の理由も無く会いにくるなんておかしいと思ったよ」
キルディアは呆れたようにため息を吐く、アーリアは男を軽蔑の眼差しで睨んでいる
「お兄ちゃん、こんな変態は無視して早く帰ろ?変態じゃなくても私、パパの事嫌いだから、触らないで、近寄らないで、話しかけないで、見ないで、気持ち悪いしウザイから、それにパパはお兄ちゃんに意地悪するからだいっきらい!」
「アーリアちゃんがそんなに誰かに酷い事を言うの初めてみたよ」
「リリィ、僕、アーリアちゃんの事今までただの可愛い女の子くらいにしか見てなかったけど、これからはちょっと見方が変わりそうだよ」
リリィとニールは初めて見るアーリアの裏の顔に多少の恐怖を覚える
もうあとがきのネタが無いので書けません。
今までがネタがあったのかと言われればそうでもないです。
暑い季節での水分補給も大切ですが日焼けにも気を付けて下さい、私今すごく痛いです。
今はもう何も出ないのでこれで、では