平和な兵士達
翌朝、キルディアの元に1通の手紙が届いた。その内容は正式にネクストとしての登録が決定したと書かれていた
「お兄ちゃんおはよ、なにそれ?」
「おはようアーリア、まぁ見ればわかるよ、ほら」
キルディアから渡されたネクスト正式登録の用紙を見てアーリアは目を丸くする
「えお兄ちゃんいつの間に試験受けたの?私を置いてネクストになるなんてひどいよ!一緒にネクストになろうって約束したじゃん!こんなの私聞いてないよ!」
「まぁ落ち着け、昨日の魔物、俺があいつを倒したかららしい。それにネクストとして聖堂に名前が入るのはここを卒業してからだ、それまでにアーリアが試験を合格できるだけの力を付けるのを全力でサポートするよ」
アーリアは頭を撫でられ頬を赤くしてそっぽを向く
「なら許してあげる、けど、私の事を後回しにしたら何か奢ってくれるまで絶対に許さないから!」
「ははは、肝に命じておくよ」
どうやら許してもらえたようだ。そろそろ飯時だな、確か食材の残りがあったし今日は作って食うかな
「アーリア、飯の用意してくれ」
「え、お兄ちゃんが作ってくれるの?やったぁ、早速準備するね」
◇
「よし、これで最後だ、アーリア先に座っててくれ」
「はぁい」
アーリアは最後の料理を持ってテーブルまで運んで行った
早く調理器具を洗剤の入った水に浸けて飯食いに戻ろう
「お兄ちゃん早く~、お兄ちゃん」
目をキラキラさせてすごく可愛いアーリアが呼んでいる、早く行ってやらねば
「わかったから・・・よし、それじゃ、いただきます」
「いただきま~す」
アーリアはパクパクと食べ始める
「ちゃんと味わって食べないと体の中で分解しきれずに栄養価が溜まって太るぞ」
「大丈夫だよ、私太らないから」
まぁアーリアは結構細いからちょっとは太った方が良いかもな
「アーリア、頬にクリームソース付いてるぞ、とってやるからじっとしてろ」
と、アーリアの頬に付いたクリームソースを親指で拭ってやる
「もう、これくらい自分でやれるのに」
アーリアはぷぅ、と頬を少し膨らませた、可愛い
「ただでさえぷにぷにで可愛いのに膨れるとさらにぷにぷにになってももっと可愛くなるだけだぞ」
キルディアはアーリアの柔らかい頬をプニッとつつく
「ぷにぷにじゃないもん!太ってないもん!お兄ちゃんはガリガリのガチガチだから私のことぷにぷにに見えるだけだもん!」
「いや、太ってるなんていってないぞ。アーリアのほっぺたとかがぷにぷにしてるって言ったんだが」
アーリアの誤解を解くと、間違えた事が恥ずかしかったのか、俺の胸に顔を押しあて顔を見えなくした
「アーリア、まだご飯残ってるぞ。そうだ、今日は午後から訓練だから街に買い物に行こうか」
頭を縦に擦り付けてきた、賛成してくれたようだ。アーリアは俺から離れると飯を食べ始める
「7時ちょうど、街の店がほぼ全部開店する時間だな」
「じゃあ開いてないお店はどうゆうお店なの?」
食器の片付けを終えたアーリアが戻ってきた
「そうだな、風俗店とか、エッチな物が売ってる店とか、まぁ国によっては朝から開いてる所もあるらしいな」
あまり興味が無かったのか「そうなんだ」と俺の膝の上に座ってきた
「お兄ちゃんは風俗のお店は行ったことあるの?」
「あぁ、あるよ、師匠が『お前も男ならここの素晴らしさがわかるはずだ、なに、恥ずかしいのは最初だけだよ』って言って無理矢理入れられて、何かバインバインの女の人に囲まれて、撫でられたり胸で窒息させられそうになって本当にあそこは女地獄だよ。師匠は師匠で楽しそうだったけどこっちは死にかけたからな!恥ずかしいとかじゃねぇよ、下手すりゃ死ぬぞあれは!ギアを使えば簡単に抜け出せたが人を傷つけるわけにもいかねぇし、あんなとこ色んな意味で子どもにいかせたらいけないだろ!性的にも生命的にも!」
キルディアの風俗に行ったことよりも風俗に対する思いが想像していたものと真逆でアーリアは少し戸惑っている
「あ、うん、大変だったんだね」
アーリアは苦笑いで精一杯のフォローをする
「あぁマジで腹立つあのクソジジイ、今度会ったら一発ぶん殴ってやる!」
その後、キルディアの怒りを鎮めるのに数十分かかった
◇
あの後、キルディアがストレス発散のためトレーニングルームに行ったため、アーリアはカリアとリリィを誘って街に買い物にきていた
「それでさ、お兄ちゃんを説得したはいいけど、結局一緒に買い物に来れなかったんだよね。本当に世話のかかるお兄ちゃんなんだから」
アーリアは二人に愚痴を話しながら服を選んでいた
「でも、お兄さんの事好きなんでしょ?」
「うん、大好き」
アーリアはまぶしい笑顔でこたえる
「即答かよ、迷い無いな。あ、これリリィに似合いそう」
とカリアが取ってきた服を見てアーリアがクスクスと笑いだす
「カリア、私そんなに子どもじゃないよ」
「でもサイズが合えば似合いそうじゃん?」
「うん、確かに、絶対似合う」
カリアが持ってきた服は小さな子ども用の服だった
「私だってもう14だからそんな子ども用の服なんて着ないもん!」
「でも去年子ども用のキャミ着てたじゃん、しかも普通に着れてたし」
アーリアはカリアの袖をクイクイと引っ張り、カリアはアーリアと目を合わせた
「リリィって私より1つ年上だったんだ、知らなかったよ」
「うん、リリィはたし、かに、ふふっ、ちっさ、ふふっ」
「もう、二人とも私で遊ばないでよ」
リリィは恥ずかしかったようでいつのまにか両手で顔を隠してしまっていた
「ごめんごめんちょっと調子に乗りすぎたよ、もう少ししたら一緒にお昼食べに行こ、リリィの分は私が奢るから」
カリアは財布を指で摘まんでぶら下げる
「・・・うん、なら許してあげる」
「私もリリィに可愛い服買ってあげる、あれとかこっちのも可愛いよ、あ、これもリリィに似合いそうだよ。ほら、こんなにリリィに似合いそうな服見つけたよ」
アーリアが小さな腕いっぱいに服やスカート、パンツを抱えて戻ってきた
「アーリアちゃん、そこまでしなくても大丈夫だよ、それに、そんなに服着れないから。あ、でもこれ可愛いな」
リリィはアーリアの抱えていた服の中から白に水色のラインとイルカの刺繍が入ったミニスカワンピの様な服を手に取った
◇
キルディアはストレス発散のついでに二人の新兵の体術訓練を教官から依頼されていた。その新兵は身体の一部が戦闘用の義手や義足、ギアである
「おい、それがお前の本気か」
「は、はい!」
キルディアは新兵の右足のギアを掴む
「あ、あの先輩なにを―」
「調整があまいな、そこの金髪、道具取ってこい」
「あ、はい!」
隣で見ていたもう一人の新兵に指示を出すとその新兵は道具箱を取ってきた
「取ってきました」
「ここに置いてくれ。まずは関節のネジの交換と本体との接続部の接続回路の点検、あとは問題点があれば修正すれば大丈夫か」
側に置かれた道具箱を開け、キルディアは独り言のように呟きながら道具を準備していく
「え、先輩がやってくれるんですか?」
「お前まだギアの整備習ってないだろ?鍛冶屋から教えられるやり方は応急措置みたいなものだし、教えるのも面倒だ、俺がやった方が早い。わかったら動くな」
ギアを分解してパーツの取り替えや脳からの信号の受信、伝達の役を担う電子回路のデータの整理やギア再構築の時に無駄なパーツを取り除き、彼のバトルスタイルに合った動きがしやすいパーツを使って組み立てる
「これでさっきよりかは動きやすいだろ、もう一度かかってこい!」
「はい、行きます!」
◇
「かなり動きが良くなったな、後はお前の戦い方を極めればもっと強くなれるぞ」
キルディアは新兵に水を渡し賞賛する
「はぁ、はぁ、あ、ありがとうございます。」
「よし、次は金髪、お前だ」
「俺は金髪って名前じゃないですよ、バドです。バド・マーディスです」
両腕がギアで素材は鋼と人工オリハルコンの合金、かなり高価な物だな
コンコンとノックする音のすぐ後にドアが開き女性教官が入って来た
「キルディア・マズナ、すまないが武器を運ぶのを手伝ってもらえるか?」
「絶対面倒くさいやつじゃん、新人見てる方が絶対に楽だし」
キルディアはあからさまな態度で拒否する
「そうか、それは残念だ、引き受けてくれたらいいことしてやろうと思ったのだがな」
女性教官はボタンを1つ外しチラリと谷間を見せ、後ろの新兵達が唾を飲む
「言ってなかったか?俺、アーリア以外の女には興味ないから」
キルディアは真顔で即答した
「なん、だと。私の色仕掛けが効かないなんて、君はどこまでシスコンなんだ!」
教官はキルディアに指差し叫ぶ
「確かに教官は美しい女性だ、その言葉は本当で、友人の中には教官とヤった事のあるやつもいる、だが俺のアーリアへの想いを曲げるまでには至らない!俺は、アーリアがいて、アーリアが幸せに笑って暮らせる世界があればそれでいい、いや、それだけでいいとそう思っているからな!」
「そうか・・・・あぁそうだ、もうひとつ君に用があったんだ、タコちゃんが君を呼んでいたよ」
教官はそう言って部屋から出て行った
タコちゃんとはおそらくリオン教官の事だろう
「あ~、すまないな金髪、稽古はまた今度になりそうだ」
そう言ってキルディアは荷物を持ち、部屋を出て行った
最近ゲームをやり過ぎてこっちがあまり進んでいませんのですごく遅くなっちゃいました
たぶんこれからも遅くなると思いますがもしも待っている方がいてくださるならお待ち下さるようお願いいたします