プロローグ
プロローグ
コレは俺の妄言ではない。
『空から少女が落ちてきた。』
うそではないぞ。
本当だ。
別に俺が妄想のし過ぎで狂ったとか、そんなことではなくて、紛れもない事実なのだ。
なんで落ちてきたのかって?
そんなこと俺が知るか。
とりあえずいえることは、何故突如日常に非日常が紛れ込んだのか、誰も分からないってこと。
そして、その非日常は確実に俺の日常を蝕むものになるであろうこと。
まぁ、そのときは俺もパニックでうまく思考が行えなかったんだがな。
だから、あんな突拍子もない行動に出てしまったんだ。
それ以外、あの時あんなことをした理由は考えられない。
とりあえず、その出来事について、詳しく知ってもらおうか。
あれは、俺が高校生として新しい生活を、夢と希望に満ち溢れた生活を始めた頃よりももっと後、すっかり変わった授業にやっと追いついて、ほっと一息ついていた、確か七月、いや、もっと詳しく言えば、七月七日のことだった。
時刻は黄昏時。俺は部活を終え、のたりのたりと帰宅の途についていた。
場所は閑静な住宅街。あちこちから夕食らしき香りが漂ってきている。
遠のいていくカラスの鳴き声。いや〜、風流だねぇ。
なーんて、そのときはまだ日常を楽しんでいられた。
俺は毎日部活を終えると、疲れた足共を酷使して、ゆーっくりと住宅街を歩きながら、小さな発見をして楽しむのが日課になっていた。
その日も、いつもどおりにまったりと歩いていたのだが、その日に限って、夕飯の香ばしい匂いに俺の腹が暴れだしやがった。
俺はとっとと家に帰ってなにか腹に入れようと、いつもより早足で歩き出した。
するとどうだ。百メートル進んだ辺りで、まるで俺の日常の変化が合図のように、俺の右横の家のブロック塀が弾け飛びやがった。
何が起きたのかって?落ちてきたんだよ、空から少女が。
砕けたブロック塀の欠片が俺の顔にチクチクと刺さる。普通に痛い。
もうもうと立ち込める土煙。俺はまともに吸って咳き込んだ。
そのうち、近所の住民がものすごい轟音に何事かとでもいうように、ぞろぞろと出てきて遠巻きに現場を見始めた。
土煙もその頃には大分晴れ、俺も咳き込むのを止めて、突如起こったことの真相を確かめようとした。
俺はトラブルの爆心地に居たので、その物体が一番速く目に入った。
なにって、少女だよ。
目立つのはばっさりと床に広がる長い黒髪。伸びた前髪が顔を隠しているが、ぱっと見て相当端正な顔立ちをしている。だが、もっとも俺が気になったのはだ。
小さい。きれいで、可愛い、というよりは美しい、という言葉が似合いそうな顔のその人物に繋がっている体は、あまりにも小さかった。
小学生くらい?悲しいまでの幼児体系。
しかも着ているものが和服って・・・。
端から見れば、コスプレ、としか形容できない感じ。
観察はコレくらいまでにして、とりあえず俺は状況把握に努めることにした。
まずは辺りを見回す。ブロック塀は見事に粉々になっている。そして、その瓦礫の上に乗っかって気絶する少女。
どうみたって、この少女がこの塀を破壊したとしか思えない。
しかし、コンクリートで構成されるこの塀を砕くなんて、一体地上何メートルの高さから落ちたんだ?家の屋根から落ちたって、こうはならないぞ。
そんなことを考えていると、ふと、近隣住民達が目に入った。
おや?なにやらおもむろに携帯電話を取り出したぞ。
ボタンを四回押して、ん?四回?
四回で通話できる電話番号なんてあったっけ?
俺の頭に浮かぶ二つの番号。
一一九番。
一一〇番。
この状況からして、まず彼等が呼ぶと考えられるのは、
一一〇番。
俺は、即座に気絶したまんまの少女を抱え上げて家へと向かって走り出した。
だってそうだろう?
気絶した少女を捨て置いて逃げるなんて卑怯だし、格好悪いじゃないか。
俺はそのとき、純粋な親切心から、この少女を助けたんだ。
なのに。
もしあの後起きることを前もって知っていたのならば、俺は絶対に少女を助けたりなどしなかっただろう。
もしこれが神の悪戯だったら、俺は神様にこう叫ぶだろう。
ふざけるな、と。
ええ、と。なにぶん初投稿なので、まだよくわかんないこともあって。
アドバイスとか、書いてください。参考にさせていただくんで。
これからもちょくちょく書いていくんで、よろしくお願いします。