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『初秋に 風吹き結ぶ 荻の堂 宿かりの世の 夢ぞ覚めける』  秩父霊場幻想紀行

作者: 舜風人

今からずっと昔のことですが


ある修行僧が各地を遍歴して修行に励んでいたそうです。


たまたまその修行僧が秩父の地を訪れて


山深い道を越えて


やがて里へと出たそうです。



するとそこは一面の萩の花が咲き乱れていたのです。


そうです。


季節は秋だったのですね。


旅の僧はその美しい景色に見とれて


旅装を解き


やおら座禅を組んで座り


荻の原で


瞑想行を始めたそうです。



すると突然どこからともなく


萩の原の彼方からこんな歌が聞こえてきたそうです。





「初秋に 風吹き結ぶ 荻の堂 宿仮りの世の 夢ぞ覚めける」






それを聞いた旅の修行僧は、はたと、悟るところがあり、


長年の修行の、迷妄の悟りが開けたそうです。




人の世のむなしさ、


この世も所詮は仮の宿であること。



風の結ぶさまのように


結び、解かれて、さだまりの無い浮世の様相。



秋風の冷涼がそれらの迷い、迷妄を


今醒ましてくれたのだ。


旅の修行僧は


その萩の原の一角に


草木で、粗末な草堂をこしらえて


大事に持ち運んでいた


頭陀袋から念持仏の小観音様を出して草堂に


祭り


その草堂を


『荻の堂』となずけて


定住したそうです。


これが秩父霊場の


卜雲寺の



開創の由来だそうです。





『初秋に 風吹き結ぶ 荻の堂 宿かりの世の 夢ぞ覚めける』



さて?



この迷い多き私にも



いつかどこかから


はたと迷妄を醒ましてくれる



仏恩込めた


御詠歌が聞こえてくる日が



来るのでしょうか?


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