大好きな先生。
ノンフィクション
「おはようございます。」
「おはよう」
笑顔で挨拶を返してくれる先生。
先生‥‥
私は先生のこと入学式の日から好きになったんだ。
先生は私のこと一人の生徒。
大切な生徒。そう思ってる。
でもね‥‥先生。
私の思い知ってて知らないフリしてるんでしょ?
あの日ーーー
「先生さよなら」
「また明日な」
あの日も私は先生が教室に一人になるのを見計らっていた。
「おい仁科早く帰れ」
仁科。そうやって呼び捨てにされるのが大好きだった。
でも‥‥「仁科~帰ろ?」
あいつ。
いや、私の彼氏佐藤が私の名前を呼ぶ。
「彼氏のお迎えじゃね~か」
先生は冷やかすように笑う。
‥‥いや
「ねぇ佐藤‥‥」
ん?と聞き返す佐藤は笑っていた。
ズキッ
胸が痛んだ。
でもいわなきゃ傷つけることになる。
「あのね……佐藤私……先生のこと……好きなの。」
「だから別れろ、か。いいよ……」
お前が望んだんだろ?と付け足す。
ゴトッ‥‥‥
佐藤でも私でもない。
何かの音。
「えッ!」
振り向くと先生がいた。
嘘‥‥‥
「………聞いた?」
「スマン」
泣きそうになる。
無我夢中で走った。
でも次の日。先生は何もなかったかのようにおはよう。
そういった。
今ーーーー
「先生あの日のこと覚えてる?」
「ん?」
まだとぼけるんだね。
どうせ叶わないってわかってるよ。
だからせめて。
気持ちは聞いてほしい。
「ちゃんと伝えてなかったよね?……好きです。先生のこと」
「ゴメン。答えられないよ。でもありがとう」
「……困らせてすみません。これから普通に接してくれますか?」
もちろん。笑顔で答える先生。
先生。ホントは普通に接してほしくない。
特別扱いにして欲しかった。
わがままな私。
ありがとうございました。
私の大好きな先生。
私の大好きだった先生。
……ありがとう。
読んでくださり
本当にありがとうございました。