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マジェスティック・アイドル  作者: 桜崎あかり


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5/7

第5話:イージス、再び-Aegis -- again -

※小説家になろうへ移植する際、エキサイト翻訳の英文追加を行っています。


>更新履歴

・5月23日午前12時38分付

前書き簡略化、行間調整

 西暦2014年1月10日、千葉の舞浜上空に現れた無数の宇宙船が飛来する。その宇宙船に乗っていたのは、ダークネスアイドルと名乗る宇宙で活動をしているアイドルだった。


 日本政府は、さまざまな議論や検討等を行った結果、彼女達に『ダークネスアイドル特区』を認める事を決める。


 その一方では、一連の流れに超有名アイドルの影があるのでは…と考える人物がいた。彼の名はイージス、またの名を黒騎士と言う。


 彼が開発したマジェスティック・ウェポンは人知を超える力を持っているのだが、その真相は明らかではない。


 ロケテストが行われていたARゲーム〈アイドル・バトル〉は、そのゲーム性やシステム等からジャンル隔離が行われる事となり、マジェスティック・バトルとして運営される事になった。


 そして、マジェスティック・ウェポンを手に戦う5人のアイドルを〈マジェスティック・アイドル〉と呼んだ。


 エクストリームARスポーツとも呼ばれるようになったマジェスティック・バトルは、超有名アイドル商法等に疲れた市民からは絶賛されるという予想外の展開を生むのである。


 そんな中で活発な動きを見せたのは、BL勢だった。彼らは、超有名アイドルの残党がダークネスアイドルであるという情報を何処かから掴み、動画として公表するという策を取った。


 その一方で、鷲宮奏は何かに便乗するかのように、動画に登場した不死鳥の覆面をした状態でマジェスティック・バトルに挑んでいた。


 そして、事態は急転直下を迎えたのである。それは、超有名アイドルに対する不信感と…。


###


 西暦2014年4月16日午前11時、ディヴァインアークが次の瞬間に見た物、それは青空だったのである。


『これが噂に聞く、ジェットボードのスピードなのか?』


 この状況になったのには理由がある。今から時間は10分ほど巻き戻す。


 同日午前10時50分、ジェットボードの準備も完了したディヴァインアークは目の前に現れた大型エレベーターに乗り込んだ。そして、3階位の高さまで到達した所で止まった事に違和感を持つ。


『この高さで飛ぶ事は可能なのか?』


「特に問題はありません。次の瞬間には、きっと空の上ですから」


 女性店員はニッコリとほほ笑んでいるような表情をしていた。女性店員のアナウンスが終わると同時に、エレベーターとは別に何かが上昇しているような感覚を抱いた。どうやら、エレベーターのカタパルト部分だけが上昇をしているようだ。そして、5階の位置に到達した時には、周囲にビルがいくつか存在している事に不安を抱く。


『目の前にビルが見える。激突したりしないのか?』


「御心配には及びません。あのビルはCGで作られた、カモフラージュ用ですから」


 再び女性店員のアナウンスが終わると同時に、CG製のビルが透明になっていき、目の前に見えたのは秋葉原駅である。


『電車に激突はしないのか?』


「ご心配無用です」


 そして、エレベーターからランプのような物が現れ、カウントダウンが始まった。ランプの数は5つあるので、おそらくは5秒後には発射されるのだろう。


《ただいまより、ジェットバーニアが射出されます。該当エリアにいる市民の皆さんは、射線上から退避をお願いします―》


 周辺にアナウンスが流れると、ジェットバーニアの射出エリアでバトルをしていると思われるARゲームプレイヤーが退避を始める。どうやら、本当に射出されるらしい。


《カウントダウン開始、5、4、3、2、1…ジェットバーニア射出!》


 ランプが、青、黄色、赤へと変化し、射出された際には《安全確認》とランプが点灯し、それからジェットバーニアが射出された。


 普通であれば、シャトルの発射みたいにGがかかるような気配もするのだが、そんな事は一切なかった。これも高度化されたAR技術のおかげなのだろうか?


《まもなく、目標地点に到着します》


 ARによるアナウンスが表示され、気が付くと幕張のイベント会場近くにあるジェットバーニアレンタルの支店に到着する。


 これだけの速度を実現していながら、実用化出来ないのには『ARスーツを装着していない者が使用すると危険』という認識があるのかもしれない。下手をすれば、リニアモーターカーよりも体感速度がある可能性もあるからだ。


 ジェットバーニア用のカタパルトが見えた為、そこで自動プログラムで着陸態勢に入る。態勢に入ってから、わずか10秒足らずでジェットボード、その後の20秒辺りでバーニアも姿勢制御の後に停止した。


《目的地に到着しました。アーマー解除が完了するまで、しばらくお待ちください》


 ディヴァインアークのARメットのバイザー部分にアナウンスが表示された。そして、1分足らずで各種ジョイントが解除され、自由に動けるようになる。


『さて、早速―』


 ガレージを出て30秒もたたない内にショートメールが入ってきた。差出人の名前はなかったが、テンプレ的にはダークネスアイドル経由と思われる。


【舞浜本部が上層部の一部勢力に乗っ取られる。目的は超有名アイドルをBL勢に引き入れようとしている勢力の可能性が高い】


『一足遅かったというべきか。電車移動等であれば手遅れだったが、これならば間に合うか?』


 ディヴァインアークは、幕張から舞浜のダークネスアイドルの本部へと向かう。時間的にもメールが入ってきたのは、ジェットボードで移動中の頃だろうと思われる。


【ディヴァインアークが舞浜へ戻ってくる可能性が浮上した。先ほど、幕張で目撃したという情報がつぶやきサイト上に出ている】


【これは面倒な事になるだろう】


【せっかくの計画が潰されてしまう恐れもある。これは、向こうに気付かれる前に切り離しをする必要性もあるか】


 このつぶやきは、ディヴァインアークが幕張に到着して数分した頃に投稿されたつぶやきだが、このメッセージは投稿されてから5分経過した辺りで鍵付きのメッセージになり、一般ユーザーでは閲覧できないようになっていた。


 このメッセージが示す物とは一体何なのか?


#####


 同日午前11時10分、ディヴァインアークが幕張に到着したのとすれ違う形で秋葉原に姿を見せたのは、鷲宮奏わしみや・かなでだった。


「なんて奴なんだ! これが、元ボーイズアイドル側の人間だったとは到底思えない」


 鷲宮と戦っていた超有名アイドルファンも、この状況には驚いていた。ARアーマーは装備しているものの、武装はマジェスティック・ウェポンのような物ではなく、一般流通もされているARウェポンである。


「これだけの実力を持っていながら、何故ボーイズアイドルを離脱した!?」


 別の超有名アイドルファンも鷲宮の離脱に関して疑問をぶつけた。しかし、彼女が答えるような気配は全くない。


「…言葉は不要という事か」


 超有名アイドルファンのリーダーらしき人物は、鷲宮を倒さなければ状況は変化しないと考えていた。BL勢が加速度的に暴走した原因は、間違いなく鷲宮の離脱がきっかけだと思っているからだ。


 鷲宮がバトルを行っている場所とは別のエリアには、予想外とも言える展開が起こっていた。ボーイズアイドルとダークネスアイドルが手を組んだ連合軍、その対戦相手は…。


「開始1分未満で決着がつく物なのか?」


「どういう事なの?」


「これが、マジェスティック・ウェポンの真の力か…」


「これは人間の扱える代物なのか? どう考えても、大国を滅ぼせるような威力を持っているように見える」


「マジェスティック・ウェポンの適格者に選ばれるという意味…。そう言う事か」


 対戦相手がマジェスティック・ウェポンの使い手という地点で勝負は見えていた気配がする。それ位は観客にも周知の事実である。


【すっかり忘れていた。これは、ARゲームではない。マジェスティック・バトルだ】


【相手がダークネスアイドルではないという事もあって勘違いをしてしまうのだが…】


【当初はアイドル・バトルというタイトルで運営されていたからな】


 一方で、【マジェスティック・ウェポンの破壊力は演出上の物。実際はARウェポンと同じ位】というつぶやきも一瞬でデマと判明してしまう位、チートという領域を超え、リアルチートと言われていたのが懐かしいというユーザーも存在していた。


「おかしい。やはり、あの噂は作り話なのか?」


 連合軍が戦っていた相手、それは西雲水希にしぐも・みずきだった。彼女はボーイズアイドルとダークネスアイドルが手を結ぶような状況に関して、何か裏があるのでは…と感じていた。


「改めて調べる必要が…」


《新しい挑戦者が現れました。マジェスティック・バトルモードに移行します》


 対戦相手が乱入した事を示すメッセージが表示され、目の前に現れたのはダークネスアイドルのメンバーだった。彼女達は普段姿を見せるようなARスーツにデコレーションをしたようなメンバーではなく、ARアーマーにダークネスウェポン、更にはオプション武装とガチ兵装というメンバーである。


「何処かのタイミングでダークネスアイドルの方針が変わったのは、事実みたいね」


 そして、西雲はサイレント・リニアレールを構えなおし、臨戦態勢に入る。しかし、一方でダークネスアイドルの方は武器を構えるような体制を見せず、そのまま突撃をしてくるような気配だった。


《ダークネスアイドルという金の力を得たチートを倒す為には、マジェスティック・アイドルの力が必要なのです》


 西雲はふと、あの時の動画に出てきた不死鳥の覆面をした人物を思い出した。確かに、欲望によって膨れ上がる無尽蔵の財力を振りかざす超有名アイドルは倒すべきであり、それに関しては一理ある。


「超有名アイドル商法の根絶、それは自発的に気付いてごくべき問題。BL勢に言われるがままに行うような物ではない!」


 しかし、西雲が不死鳥の覆面に賛同できない理由は別にあった。それは、超有名アイドル商法の根絶が他人に言われて行うような物ではないからだ。自発的に超有名アイドル商法の欠陥に対して立ち向かわなければ、全く意味がない。


###


 同日午前12時、お昼のニュースでは衝撃的な内容のニュースが伝えられていた。


『速報です。本日11時50分、政府は情報操作禁止法に関して閣議決定を待たずに成立させる事を決めました―』


 このニュースが伝えられる30分前のニュースでは、アイドルファンの暴走や凶行を誘導していたとされる炎上ブログやアフィリエイト系まとめサイトの大手が次々と警察の強制捜査を受け、サイトの方が次々と閉鎖されていったのである。


【炎上ブログ等が閉鎖されても、それで超有名アイドル商法が根絶出来るかというと実現性が…】


【しかし、情報操作禁止法は明らかに越権行為という気配がする】


【このような法案を作らなければいけなくなるような流れにしたBL勢力を根絶した方が早いと…】


(中略)


【叩くべき存在は超有名アイドル商法だけと思ったら、ここにも伏兵がいたのか?】


【無意味に勢力を伸ばし、コンテンツ業界を滅ぼそうと考えるBL勢力に、今こそ反旗を―】


【これ以上BL勢力の情報操作を野放しにしておけば、コンテンツ輸出規制を米国が提出して即時発動というカードを出される可能性が否定できない】


【BL勢力を滅ぼすべきだ! 今こそ、団結の時!】


【今のBL勢力は自分達が良ければ構わないという集団になり下がった。今こそ、警察は魔女狩りと言われようとBL勢を根絶させるべきだ!】


 そして、ネットではBL勢に対する魔女狩りを行うべきという発言と、超有名アイドルに対する不信感をあおるような発言が後を絶たなかった。


 お昼のニュースを受けて、ネット上ではBL勢力根絶に関しては賛同する者が続出したが、その方法を巡って騒動があった。俗に言う大規模事件化しない方法で行うという物であり、その舞台として選ばれたのがマジェスティック・バトルだった。


【大丈夫なのか? マジェスティック・バトルはBL勢と組んでいるのでは…と週刊誌が報道している状況だぞ】


【それ以外には考えられないだろう。それ以外の手段でテロ行為に及べば、警察に逮捕される。しかも、監視カメラの類や小型の偵察機のような物も導入されている中で非合法のデモ活動を行えば、それこそBL勢の計画通りとなる】


(中略)


【下手に重傷者が出るような事件に発展すれば、他のコメントでも言われている通りに警察に逮捕されるのは避けられない。しかも、BL勢に対して疑問を抱いたという濡れ衣付きで】


【他のアカシックレコードに関する小説も、無血開城に近い事をやっていた。つまり、血が流れるような争いをすれば、相応の神罰が下るという意味だろう】


【そうなっては、コンテンツ業界は崩壊の危機に陥るのは間違いない。しかし、マジェスティック・バトルならば合法として認められる】


【マジェスティック・バトルの一文が、ここで思わぬヒントになるとは想定外だ】


【『マジェスティック・バトル、それは極端に危険なエクストリームARスポーツを意味する』の事か。極端に危険というのは物は言いようによるな】


【つまり、政治的な利用法がされる事、思想弾圧やディストピア化、更に言えば超有名アイドルのステマ等…〈極端〉とは、こういう事を指すのか?】


 大規模事件化以外にも、アイドルとBL作品の思想を巡る争いで血が流れるような戦いが展開されるようであれば、それこそコンテンツ業界は確実に終わる。そうした事をアカシックレコードの小説も示しているとネット上では言われていた。


 そのような争いをしない為に生み出された物、それがマジェスティック・ウェポンなのかもしれない…とネット上でも結論が出ていたのである。最終的には、その意見に異論が出る事はなく、決着はマジェスティック・バトルで行われる流れになる。しかし、これはネット上での話であり運営に話を通した物ではない。


 その頃、午前12時30分、BL勢力のアジトとして機能している県内某所のサーバー施設では、警察の強制調査が行われていた。


【サーバー施設で強制捜査なんてめったに聞かない】


【遠隔操作ウイルスの類だったりするのだろうか?】


【分からないぞ。もしかすると、超有名アイドルの検閲関係かもしれない】


【超有名アイドルの検閲? 規制法案が機能していた時代ではあるまい】


【もしかして、狙いは別にあるのか?】


【別の狙いとすると、BL作品ではない特定作品におけるBL化を防ぐための裏工作とか…】


【確かに、それは一理ある。下手をすれば、他の勢力にも影響を及ぼすのは間違いない】


【小説サイトに眠っていたアカシックレコードを発見、更には中堅所の出版社で小説化という流れだったか】


 警察の強制調査自体に裏があると考える人物、超有名アイドルの検閲関係で動いていると考える人物、更にはBL作品ではない作品をBL化しようという勢力の動きに対抗し、魔女狩りを行おうとしている等…そう言った話題が浮上していた。


【しかし、アカシックレコードの正体は未だに分からない。本当に小説が元なのだろうか?】


 アカシックレコードに関しては、ネット上ではWeb小説として掲載されている物がアカシックレコードの正体なのではないか、と考える人物もいる、しかし、本当は違うのではないか、という意見も存在する。アカシックレコードの正体には色々な説が浮上しているという証拠だろう。


###


 同日午前12時30分、ディヴァインアークは舞浜で超有名アイドルファンを騙るBLカップリング勢力を駆逐していた。しかも、ディヴァインアークの方は疲れ一つも見せていない。


『所詮、ただ自分が人気者になりたいだけの存在でしかないか』


 彼のハルバード一振りで、100人強という敵を一気に薙ぎ払って行き、気が付くと5000人近くの人物が広場に倒れていたのである。それらは、全てBLカップリング勢の中でもBL作品ではない物を無理やりにでもBL勢にして自己満足をしているような連中である。


「ディヴァインアーク、これはさすがにやり過ぎなのでは?」


 彼と共に戦っていた、戦国武将を思わせるARアーマーを装着した人物、仮に彼を鬼島津とでも名付ける事にする。今から、一時間近く前の事…。


##


 鬼島津が駆けつけた頃には、既に上層部はBLカップリング勢によって制圧された後だった。そして、彼はディヴァインアークをはじめとしたメンバーに対し、緊急でショートメールを送ったのである。


【舞浜本部が上層部の一部勢力に乗っ取られる。目的は超有名アイドルをBL勢に引き入れようとしている勢力の可能性が高い】


 しかし、このメッセージは他の勢力にも察知されていた。鉄道ファンや時代劇、歴女等のようなARゲームとは無縁な勢力も巻き込み、大量の賞金を得る為のチャンスと言わんばかりに大軍勢が押し寄せる結果となった。


「我々が超有名アイドルを倒し、賞金を―」


「賞金は、我々クラシック音楽勢がいただく!」


「ダークネスアイドルの賞金は、GL勢が…」


 そんな事を言っているうちに、連合軍の第1部隊を秒殺したのは、一発のサテライトキャノンだった。それを撃った人物、それはダークネスアイドルでもなければ超有名アイドル信者という訳でもない。


 その正体は、何と不死鳥の覆面をした人物だったのだ。彼は何かを見極めた後、すぐに姿を消してしまった。


 その後も、ダークネスアイドルを含めた勢力が該当する連合軍を撃破する。中には、賞金を独占する為に連合軍を裏切った勢力もいたのだが、その直後にやってきたBLカップリング勢に全て撃破される結果となる。


「ダークネスアイドルはせん滅する。BLが永久不変である為には超有名アイドルは―」


 先制攻撃を仕掛けようとした男性をあっさりと弾き飛ばしたのは鬼島津だったのである。彼が連合軍を駆逐し、メッセージを受け取って駆けつけてくる人物を待っていた。


「ARスーツやARウェポンがあっても、この程度か!?」


 鬼島津は周囲を囲んでいる敵に対して挑発をするのだが、それらを全て一瞬で撃破する形で駆けつけたのがディヴァインアークだったのである。


 彼が駆けつけた事で戦力のトータルバランスが激変し、大量に押し寄せた2万を超える勢いの大軍勢も瞬時に撃破された。ディヴァインアークが駆けつけるという事は、一瞬にしてトータルバランスが崩れ去る事を意味している。


 その光景を見た超有名アイドルファンは、こうしたつぶやきを残している。


【ダークネスアイドルの持っているARウェポンは、市販の物に10倍~50倍の能力強化がされている。しかし、これでもバランスはギリギリ取れていた】


【マジェスティック・ウェポンは違う。あれは、チートという単語でも生ぬるい程の威力を持っている。文字通りのバランスブレイカーだ】


【何故、ダークネスアイドルの所属であるディヴァインアークがマジェスティック・ウェポンを持っているのか? その答えは複数あるだろう】


【一番有力なのは、彼自身がマジェスティック・アイドルの一員である事。しかし、ネット上では証拠となるような記述が全くない】


【次に有力な説は超有名アイドルとBL勢の売れ方に対して政治介入があるのでは…と考えた、コンテンツ正常流通を望む勢力のメンバー説だ】


 このつぶやきは、かなりの反響を生み出した。中には、コンテンツの正常流通を望むのに超有名アイドルだけではなくBL勢も潰すのは間違っている、本当はBL勢を潰したいが超有名アイドルの名前を出せば隠し通せる等の意見もあった。しかし、このつぶやきをディヴァインアーク本人がチェックしていたかどうかは定かではない。


##


 広場に倒れていた人物も回収され、更には戦意を失った人物も撤退を始めている。そんな中で、鬼島津はディヴァインアークのやり方に対して疑問を持っていた。


「ディヴァインアーク、これはさすがにやり過ぎなのでは?」


『やり過ぎではない。これ位はやっておかなければ、彼女達は何度でも繰り返す。それこそ、法律で即日規制をしなければいけないほどに』


「だからと言って、これでは恐怖政治も同様ではないか」


『恐怖政治? それは超有名アイドルが既に通った道。超有名アイドルによるディストピアこそ、全ての元凶だったのだ』


「ディヴァインアーク、お前の狙いは何だ?」


『狙いか? BLカップリング勢と超有名アイドルをお互いに消滅させ、その後に更地となった場所に新たなコンテンツツリーを作る事だ』


「その為には血を流すような手段を取るのか?」


『これもマジェスティック・バトルの亜種だ。マジェスティック・バトルはエクストリームARスポーツでもある。命を対価とするような流れを生み出そうとするBLカップリング勢は根絶されて当然だ』


 鬼島津とディヴァインアークのやり取りは続く。


 その中で、その様子を舞浜で見ていた人物がいた。それは、何とナイトシェイドである。


「予想通りの展開になったか。やはり、排除すべき人物は内部勢力になるだろう」


 彼は週刊誌で〈ダークネスアイドルが元超有名アイドルのメンバーが混ざっている〉、〈ダークネスアイドルの特使は、黒翼リンなのでは?〉という事が取り上げられた地点で正体が見破られる事を考えていた。


 そして、BL勢の暴走によるダークネスアイドルの正体暴き、ハンター制度をでっち上げて合法的な魔女狩りを行おうという流れが生まれた。


 更にはBL勢の創作小説が全ての小説ランキングで独占する状況となり、同人でオリジナル小説をアップしているユーザーは商業で小説を出さない限りはランキングに縁がなくなるという状況にもなっていた。


【ここまで小説チャートがBL一色になるとは】


【超有名アイドルではなく、日本はBL勢力によるディストピアとなったのかもしれない】


【BL狩りが横行し始めているのも、この流れかもしれないな】


【オリジナル小説は出版しなければ注目もされない時代になったのか?】


【確か、アカシックレコードも元々はWeb小説だったな。一体、あの小説がどのような経緯で商業出版されるようになったのか。しかも、大手で】


###


 同日午後1時、秋葉原には予想外とも言える人物が姿を見せたのである。彼の登場に観客のボルテージは一気に上昇した。


 しかも、彼が表舞台に姿を見せるのは、以前に別のエリアでマジェスティック・バトルへ参戦して以来だ。裏ファイトのような物に参加していた訳ではないが、継続してマジェスティック・バトルへ参戦はしていた。ただ、それを認知している人物が少なかっただけだろう。


「まさか、再び登場するとは」


「プレイ事態は継続していたが、名前を変えて参加していたようだな。この名義で現れるのは、ロケテストとその後数回以来だ」


 観客の方も、彼が姿を見せた事には驚きを隠せないでいた。それ位にサプライズでも姿を見せた事に喜ぶユーザーの方が多い。


『今度こそ、超有名アイドルとBL勢が自分達のやってきた事の過ちを認めさせる!』


 SFに登場するパワードスーツというよりはフルアーマーを思わせるような〈ランスロット〉を装備した状態で現れたのは、何とイージスだった。イージス自身もマジェスティックアーマーを装着しており、〈ランスロット〉はフルアーマー構想のような物だろう。あるいは、大型マジェスティック・ウェポン制御用のガジェットなのか…。


「お前達のやってきた事を棚に上げて、まだ言うか!」


 一方の相手は、ボーイズアイドルである。彼らもダークネスアイドル同様にダークネスウェポンを装備している。ただ、カラーリングはシルバーという物で、武器の形状もナイフ系、ソード系等とバラバラである。ARアーマーの方も、顔出しタイプのような物やフルアーマー、パワードスーツと揃っているような気配はない。


『確かに、マジェスティック・アイドルが今まで行ってきた事はお前達と全く変わらないと断言してもいいだろう。だが、お前達は周囲がどのような事になるかという事まで考えた事があるのか?』


 そして、イージスはマジェスティック・ウェポンと思われる1本のグレートソードを構えた。しかし、実際に刃が展開されている訳ではなく、形状的にも複数のビームサーベルが組み合わさったような形状をしている。


『握手券商法によって大量の転売屋を生む結果となり、投票券商法では海外勢の大量とも言えるアイドルマネーを生み出し、更にはライバルを消す為に脅迫状やイベントの中止させ、ネット上では偽の情報を流す事で自分達に正義があると情報操作まで行った』


 構えたグレートソードには音楽ゲームを思わせるようなターンテーブル、鍵盤のデザインも存在している。しかし、マジェスティック・ウェポンはネット上で6つと言われていた。それはつぶやきサイト上でも裏が取れている。では、彼が持っている物は一体何なのか?


「それは、お前達も同じじゃないのか? マジェスティック・バトルも実際は―」


 ボーイズアイドルが自分達の事を棚に上げて、マジェスティック・アイドルの存在を否定する。


『残念だが、マジェスティック・アイドルはCDデビューを決めた訳ではない。CDも出回っていないアイドルに対して、その発言は許すわけにはいかない』


 そして、イージスはビーム刃が複数展開されたビームサーベルをボーイズアイドルに向けて振り下ろした。最初は複数本に見えた刃が、1本の刃に集約される。そして、その大きさは斬艦刀にも匹敵する。


 5分も経過しない内に、ボーイズアイドルを撃破したイージスだったが、彼は満足をするような表情は浮かべなかった。これに関しては複数の理由が存在する。そのひとつは、舞浜で展開されている謎のバトルだったのだが…。


「やはり、アカシックレコードの記述通りになったのか」


 イージスがスマートフォンを取り出し、そこで確認したのは鬼島津とディヴァインアークが賞金に釣られた勢力やBL勢等を大量に撃破したというニュースだった。


 同日午後1時30分、以下のようなニュースがネット上を駆け巡り、新たな火種を生む事になった。


【マジェスティック・ウェポンが6つという説は嘘!? 新たなマジェスティック・ウェポンを秋葉原で確認される】


【7つ目のマジェスティック・ウェポンは〈マジェスティック・エクスカリバー〉と名称も判明】


【ダークネスアイドルハンター制度を主導していたのは、BL作品以外のカップリング勢力が生み出したでっち上げと判明か?】


【政府がハンター制度を摘発しなかったのは、別の勢力を釣り上げて魔女狩りをする為か?】


【アカシックレコード系の電子書籍版が100万ダウンロードを記録。マジェスティック・ウェポン重要か?】



#####


 次回予告


 利益至上主義型のアイドルは駆逐されるべきと考えた嶋村は、ボーイズアイドルだけではなくカップリング文化さえも根絶しようと考えていた。


 そして、ボーイズアイドルとマジェスティック・アイドルの争いも、ここへきて急展開を見せる。彼らの前に現れた、黒幕の正体とは?


 しかし、その状況を見て何かの繰り返しになると考えた鷲宮は、神咲に1対1の決闘を申し込む。


 果たして、繰り返される連鎖を断ち切る事は出来るのか?


 次回、『崩壊するディストピア』

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