第3話:エクストリームARスポーツ-Extreme AR Sports-
※小説家になろうへ移植する際、エキサイト翻訳の英文追加を行っています。 それに加えて、ピクシブ版で発見された誤植1箇所を修正しております。
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・2015年5月22日午前1時14分付
前書き簡略化、行間調整。
西暦2014年1月10日、千葉の舞浜上空に現れた無数の宇宙船が飛来する。
その宇宙船に乗っていたのは、ダークネスアイドルと名乗る宇宙で活動をしているアイドルだった。
日本政府は、さまざまな議論や検討等を行った結果、彼女達に『ダークネスアイドル特区』を認める事を決める。
その一方では、一連の流れに超有名アイドルの影があるのでは…と考える人物がいた。彼の名はイージス、またの名を黒騎士と言う。
彼が開発したマジェスティック・ウェポンは人知を超える力を持っているのだが、その真相は明らかではない。
葛飾区のショッピングモールで超有名アイドルのイベントを中止に追い込む為、ダークネスアイドルが現れたのである。
計画の方は成功と思われたのだが、その中で謎のマジェスティック・アーマーを装備した人物が現れた。
彼女の圧倒的火力をもってしても苦戦を強いられ、遂にはアーマーも解除されてしまう。
そんな中、彼女は神咲佐那に自分のマジェスティック・ウェポンである〈エターナル・スラッシャー〉を託す。
そして、その後に見せた衝撃波の一撃は、想像を超えるような破壊力を見せたのである。
神咲にマジェスティック・ウェポンを託した人物の名は鷲宮奏、彼女の狙いは一体…?
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西暦2014年4月1日午前11時、ネット上でも一連の事件が話題に…と思われたのだが、別のニュースが一番の話題になっていた。タイミング良く該当のニュースが一番の話題になっていた理由は不明である。
〈あの人気RPGゲームがソーシャルゲームで続編決定!〉
しかし、ファンにとっては『またソーシャルゲームなのか』と言うような冷めた声が大半を占めている事から、期待はずれと言う事なのだろう。
【基本無料でアイテム課金型のシステム。またコンプガチャ商法か】
一番多かった声は、これである。一時期、社会問題にまで発展したコンプガチャ商法…。
【なんとなく読めていたが、こうなるとは…】
【何故、ソーシャルゲームばかりで集中的に新作が出るのか? 結局、ガワを変えただけでシステムはジャンルによって違うが、ほとんど変わらないというのに】
(中略)
【いっそのこと、ソーシャルゲームも超有名アイドルと同様に規制法案を作った方がよいかもしれない】
【最近は、家庭用ゲーム機ではなくソーシャルゲームでコンプガチャ商法を展開する作品が多すぎて泣ける】
【これでは、やっている事が超有名アイドル勢やBL勢と全く変わらない。別の意味で公式が病気とは…】
その影響で超有名アイドルがファンの囲い込みを始め、『超有名アイドル以外に正義はない』と3次元のアイドルファンを増やそうと遂に多数の事件が起こるまでに至る。
【コンプガチャ、超有名アイドル商法、BL信者の暴走による脅迫事件…。どれもコンテンツ業界にとっては非常に痛手となる事件だ】
【他にもあるかもしれないが、全ては超有名アイドルのプロデューサー1人が自分に都合の悪い箇所を手当たり次第に潰しているという話もある】
【それによって超有名アイドルが黒歴史になった世界もある位だ】
【やっぱり、歴史は繰り返されるという証拠なのか?】
【お互いに課題は山積みと言う事か】
このニュースの発表タイミングが重なったのが意図的なのかは不明だが、ある勢力にとってはマジェスティック・ウェポンが話題にならない方が好都合と考えていた。
【しかし、このニュースが流れたタイミングも気になる】
【意図的にマジェスティック・ウェポンの話題を流さないという流れかもしれない】
【超有名アイドル側なのか、BL側なのか…どちらかがマジェスティック・ウェポンのニュースを意図的に消しているようにも思える】
【まさか、この世界はBL勢の支配するディストピアなのか?】
実際にBL勢が情報公開を制限しているのかは、まだ分からない。しかし、テロやクーデター等に代表されるような物が全く起こらない世界に疑問を持つ者も少なくはない。
そうした犯罪が起こらない一方で、超有名アイドル勢とBL勢が全ての思想を統一する為に影で工作を行っているのでは…というのがまとめサイト等でも見られる。しかし、それが真実かどうか…それを知るような明確な手段はない。
【株式市場を見たのだが、今日も1000円近くの乱高下らしい。現状では平均が2万円台でレッドゾーンではないのが唯一の救いか】
【株価の乱高下と超有名アイドルがCDチャートで1位を獲得してから、CDを大量転売する流れは非常に似ている】
【このような株価の変動が続けば、いずれは日本がバブル崩壊する恐れがある】
【だからこそ、超有名アイドル等の大量消費商法に歯止めをかける為に、全く違う新勢力が必要なのだ】
【それを救うのが、ダークネスアイドルなのか、マジェスティック・アイドルなのかは別の話―】
そして、株式市場の午前相場を見て、タイムラインも若干慌ただしくなる。
この他にも超有名アイドルのCDチャートを株式市場と勘違いしている超有名アイドルファンの暴走がチャートの信用を失墜させた。
下手をすれば株価が2万円台から1万円台以下に下がるのも時間の問題、超有名アイドル商法を規制する等の抜本改革が必要等…そんなコメントが相次いだ。
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それから1週間が経過した4月8日午前10時、マジェスティック・アイドルとダークネスアイドルの争いは何箇所かで目撃されるようになっていった。
【フラッシュモブか何かなのか?】
【特に物損被害等が出ていない関係で、警察は手を出さないと言うが…】
【観客に怪我人が出ていれば話は別だが、そう言った報告もない以上は動けないのだろう】
【ダークネスアイドル特区の一環ではないのか?】
【特区の一環だったら、舞浜周辺限定になるだろう。東京23区や埼玉県南部にまで進出する理由が分からない】
【中には、ダークネスアイドルがAR装備の超有名アイドルやボーイズアイドルとも戦っていた】
【そっちの方は普通にARゲームの一環だろう。問題なのは、マジェスティック・アイドルが絡む方だ】
【あの火力は何だ? 異常というにも程がある】
【一撃必殺ルールではないのに、攻撃を1回受けただけでダウン…どういう事だ?】
ネット上では、マジェスティック・アイドルの話題で持ちきりだった。マジェスティック・アイドルとダークネスアイドルの争いが何度か起こるようになり、それからネット住民が気付き始めたのだろうか?
【これ以上の被害が出る前に、マジェスティック・アイドルを何処かに閉じ込めておく事は出来ないのか?】
このコメントに対し、多数の意見が寄せられたのだが、その中で一番現実的だったのは…。
【アイドル・バトルが最近になってジャンル隔離されたという話題があったな。それをマジェスティック・アイドルとダークネスアイドル専用にすればいい】
【それは、マジェスティック・アイドルはマジェスティック・バトル専用のアイドルにするという認識で構わないのか?】
【確かに現実的だ。しかし、運営はどう思うかが問題だ】
【あの運営ならば他勢力に影響が及ぶ前に封じ込め対策をやりそうだからな。多分、あっさりと許可を出すだろう】
【専用にしたら、逆に人を選ぶ状況になって人が減るのでは…】
【要するに、クローズド形式にするという事か。別勢力の圧力を受けるよりは、この方法の方がありなのかもしれない】
現実的な提案だったのは、ジャンル隔離されたマジェスティック・バトルをマジェスティック・アイドルとダークネスアイドルの限定にしようという物だった。
クローズドに関しては既にジャンル隔離もしている関係上、混乱が起きるのでは…という意見もあった。しかし、予想外にもクローズドという意見にも特に大きな反対意見が出る事はなかった。
そして、それを見ていたと思われる運営もマジェスティック・バトルをマジェスティック・アイドル専用に変更する事をあっさりと受け入れた。
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同日午後1時、この状況に納得できない人物がいた。舞浜の事務所で他のアイドルグループの動向をチェックしているナイトシェイドである。
「この状況、どう説明をするつもりだ? 既に幹部からはダークネスアイドル特区構想も崩れようとしていると、不満が出ている」
ナイトシェイドの目の前にいるのは、今回の無断強襲をはじめとした作戦に失敗したディヴァインアーク。彼が呼ばれた理由は、本人にも分かっていた。
その理由は、ここ1週間のダークネスアイドルの行動である。普通にライブ活動を行っているグループもいるのだが、ディヴァインアークの管轄しているグループが行っているのは、その半数近くがマジェスティック・アイドルとの戦闘である。
ダークネスアイドルの数グループがARゲームに進出している事に関しては、芸能活動の一環として許可をしている。
しかし、ディヴァインアークの件に関しては許可を出していない。一部の上層部メンバーが許可を出したという話だが…そう言った話はナイトシェイドの耳には伝わってなかったのである。
『ダークネスアイドル特区計画を拝見しましたが、これも日本の超有名アイドル商法と変わりありません。このままでは、2番煎じと言われるのも時間の問題かと』
ディヴァインアークは、その一言だけで持ち場に戻るという理由で姿を消した。彼は一体、何を伝えたいのだろうか?
「ダークネスアイドルと日本の超有名アイドルが全く違わないだと? 冗談でも言っていい事と悪い事がある」
そして、ナイトシェイドはネット上で色々なまとめ記事等をチェックする。10分位経過した所で、彼は〈ひとつのサイト〉に辿り着いた。
「バカな! ダークネスアイドルが道化だというのか?」
サイトの内容をチェックしたナイトシェイドは、あまりの衝撃に倒れそうになっていた。
それは、ダークネスアイドルは宇宙人という設定で売り出そうとしている超有名アイドルで、無尽蔵とも言える資金力によって運営されているというチートアイドルである…という推測記事だった。
「認めん! これが事実だとすれば、私は何者なんだ?」
ナイトシェイドは拳でパソコンに向かって殴りつけようと考えていたが、そんな事をしても拡散していく情報を止める事は出来ない。怒りに身を任せて力で弾圧をしようとすれば、結局は超有名アイドルと同じ末路をたどる。
「何としても、ダークネスアイドル特区を…」
そして、ナイトシェイドは他の幹部に特区計画を進めるように指示した。
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4月10日午前11時、マジェスティック・バトルがマジェスティック・アイドルとダークネスアイドルメインにシフトする事を発表する。
〈アイドルならば誰でもエントリー可能というルールに変更はない一方で、マジェスティック・アイドルに関しては上位ランクに変更〉
〈今回のランク変更に関しては、ダークネスアイドルにも適用する〉
〈マジェスティック・バトルで使用しているARウェポンは他のARウェポンに転用不可。逆に関しては可能〉
ホームページには、今回の仕様変更に伴うルール変更が早速公開された。細かい部分を考えなければ、従来と特に変更はないようだ。唯一の違いは、マジェスティック・バトル用のARウェポンを他のARゲームに使う事が出来なくなった事のみである。
〈今後は、マジェスティック・バトルのジャンルを『エクストリームARスポーツ』に変更する〉
一番の衝撃は、ARゲームとは全く違う究極のARゲームとして『エクストリームARスポーツ』と位置づける事になった部分かもしれない。
【エクストリームスポーツとみると、何か違う気配もするが…】
【しかし、マジェスティック・アイドルに関しては一般人とは格が違いすぎる。まるで、漫画やアニメ作品に登場するキャラが現実に出て来たような動きをしているからな】
【他のエクストリームスポーツと比べるには、色々な意味でも違うかもしれない】
【だが、他のARゲームとも比べる事は難しいだろう。それ位にマジェスティック・バトルは、あらゆる枠を超え過ぎている】
【一歩間違えれば、全面戦争もあり得そうだ】
【何処と戦う? 彼らの使用するマジェスティック・ウェポンはARウェポンと同様に殺傷能力は一切ないのだろう?】
【確かに、殺傷能力は一切存在しない。だが…】
【衝撃を緩和する為のARスーツだ。その辺りも織り込み済みなのだろう】
ネット上では、エクストリームスポーツというカテゴリーに当てはめるには少し違うのでは…という発言もあった。
【殺傷能力は0なのに、あの衝撃は洒落にならないぞ】
【だが、殺傷能力がゼロという事に対し、マジェスティック・ウェポンの破壊力は考えられない】
【ARウェポンに理論値という概念は存在しない。無限大は乱暴な言い方になるが、攻撃力の上限はあってないような物にも思える】
その一方で、マジェスティック・ウェポンの攻撃力は殺傷能力0というには説得力がないと考える人物もいた。
【あくまでもARウェポンを使っている以上、ARウェポンのガイドライン違反になるような武器はありえない。衝撃で色々という人物は、ARゲームがどんなものか知らないのを晒しているような物だな】
【確かにARウェポンのガイドラインでは、実体剣や刃物の使用や鈍器は禁止、実弾銃に転用可能な技術も試験データの回収以外では禁止されている】
確かに、殺傷能力という部分は銃撃や斬撃を指している物と考え、殴るという動作や吹き飛ばした際の衝撃等では殺傷能力も少しばかり存在するのではないかという意見も存在する。
エクストリームスポーツ化する前にもマジェスティック・バトルには、このようなメッセージが存在する。
『マジェスティック・バトルには、ARゲームにおけるセーフティーシステム等も実装されている。しかし、軽い気持ちで挑めば必ず〈困難〉にぶつかる可能性がある』
『その〈困難〉は、どのような物なのかは挑んだ者にしか分からない。だからこそ、マジェスティック・バトルへ挑む物には相応の覚悟が必要なのである』
『ルールを守り、正しくマジェスティック・バトルをプレイする事、それが運営にとって一番望む事なのである』
『マジェスティック・バトル、それは極端に危険なエクストリームARスポーツを意味する』
果たして、このメッセージが示す物とは一体何なのか…。ネット上では体験者の談話もいくつか存在するが、それが真実なのか確かめる手段は存在しない。
やはり、それを知る為にもマジェスティック・バトルに挑むしか方法はないだろうか?
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同刻、東京の渋谷にある〈芸能事務所〉に姿を見せた人物がいた。
身長175CMでやや細身、髪型は青のセミロング、サングラスをしていて目の表情を確認する手段はない。胸を若干強調したようなARインナースーツ、ARスーツのガントレットと思われる物を装着しているが…。
「想定の範囲内とは言え、色々聞かれたわね」
鷲宮奏は芸能事務所に用があった訳ではなかった。用があったのは、この事務所の隣にあるアンテナショップだった。
〈ボーイズアイドル、超有名アイドルの専門グッズ取り扱い店〉
アンテナショップはARゲームの関連グッズを売っている店舗ではなく、男性アイドルや女性アイドルの事務所の垣根を越えた専門ショップである。鷲宮は、この店舗から出てきたばかりだ。
「あの場にはボーイズアイドルも何人かいたのは事実。しかし―」
あの場とは、彼女が乱入した葛飾区のショッピングモールの件を指す。その時、現場の様子を見る為に数人の偵察部隊がボーイズアイドルから派遣されていた。
しかし、彼女は偵察部隊を全員撃破してからショッピングモールへと突入、あの場でマジェスティック・ウェポンの威力を目の当たりにした。
「あれが、適格者の扱うマジェスティック・ウェポン―」
ふと、鷲宮は強奪した別のマジェスティック・ウェポンを思い出した。あれに関しては動作テストのみで、実際に使った事はない。
「次の試合あたりで試してみるか」
そして、鷲宮はアンテナショップを後にした。その10分後には予想外とも言える展開がネット上で拡散する事になり、その火消しにボーイズアイドルが対応するという展開となっていた。
【どういう事だ?】
【鷲宮と言えば、ボーイズアイドルファンでもかなり上の方にいる人物だな】
【まさか、超有名アイドルへ寝返ったのか?】
【彼女に限って、それはない。100%断言できる物もないが…】
(中略)
【超有名アイドル側は握手券商法等をはじめとした部分で、警察の強制調査が入るという話を聞いたが?】
【それも事実とは限らない。週刊誌が部数を伸ばす為に使う餌にすぎないだろう】
【そうなると、彼女が辞める事になった原因は何だ?】
ネット上では鷲宮が辞めた理由を探るような動きになっており、それはマスコミなども一緒だった。
マスコミとしては超有名アイドル商法が無敵である事を再び証明したい動き、超有名アイドル商法は1人のプロデューサーに全ての金が集中するように作られたビジネススタイルである事を訴える動き、更には某漫画の脅迫事件は超有名アイドルファンが自分達の不利益になる勢力を潰す為…。
果たして、真相はどうなっているのだろうか?
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同日午前12時10分、秋葉原で行われていたマジェスティック・バトルには観客も一時的に沈黙するという状況となっていた。
「えっ!?」
「なん…だと!」
「どういう事なの?」
「何が起こったのか?」
ファースト(先攻)はダークネスアイドルだったはずだが、彼女はわずか1分も満たない時間で全てのターゲットを撃破したのである。
「この程度なの? あなた達には失望したわ―」
黒髪のポニーテール、ブラジル水着に近いインナースーツでマジェスティック・アーマーは胸や腰部分に装着されている。
『そんな馬鹿な事が…』
男性アイドルの1人がつぶやくのだが、その声は彼女には届いていない。そして、彼女はマジェスティック・ウェポン〈神話・革命〉の刀を鞘に収めた。
「私に勝ちたければ、さらなる力をぶつけてくる事ね。超有名アイドルの無尽蔵な資金力でも、私のマジェスティック・ウェポンに勝てる武器が出来るかは…未知数だけど」
マジェスティック・アーマーが転送され、彼女のインナースーツがあらわになる。そして、気が付いてみると彼女の姿も消えていた。
『黒翼リン、あれだけの実力を持ちながらマジェスティック・アイドルに味方するのか?』
ダークネスアイドルの一団が相手にしていた人物、それは黒翼リンだったのだ。しかし、リンには何か不審な点が存在している。
〈黒翼リン、その正体はダークネスアイドルの特使か?〉
ある観客が読んでいるスポーツ新聞の一面には、このような見出しが載っていた。しかし、顔が似ているだけでは証拠にはならないという事でネット上では冷めた反応しか聞かれない。
ほぼ同時刻、上野公園で行われていたマジェスティック・バトルにはボーイズアイドルがワンサイドゲーム状態で、マジェスティック・アイドルに倒されるという光景があった。
【どう考えてもワンサイドゲーム過ぎる】
【本当にルールという概念が存在するのか…】
【ルールの方は一応設定されているが、機能していないというオチか?】
ワンサイドゲームと言っても秒殺に代表されるような物ではなく、武器を無力化された後に集中砲火という状態になっている。ボーイズアイドルとしては、敵に回した相手が悪かったと不運だったというしかない…というのがネット住民の意見である。
『遠距離兵器が効かないのか?』
『効かないというよりは、奴の周囲に展開されているフィールドの影響で威力が減退されているのが正しいだろう』
ボーイズアイドル側は5人で挑んでいたのだが、既に3人が撃破されていて残りは2人になっている。この状況を何とかするには接近戦しかないと考えていたが、それも絶望的である。
「ボーイズアイドルって、そんなに弱い存在だったの? 無尽蔵の資金力で人気があるように見せかけたメッキアイドルが横行しているのも、納得なのかもしれないわね!」
彼らが挑んでいた人物、それは暮羽茜だった。彼女の両腕にはマジェスティック・ウェポンの〈ゴッド・アーム〉が装着されている。外装やデザインは音楽ゲームで見られるようなターンテーブルや鍵盤のような物も確認出来る。
どうやら、マジェスティック・ウェポンには何かデザイン等にも共通点があるように思えるが…。
『これ以上、マジェスティック・アイドルの思うようにさせるか!』
武装化したボーイズアイドルの1人が、茜の正面に現れるが、その行動は既に把握された後だった。
「これで、とどめよ!」
右腕のゴッド・アームをロケットパンチの要領で飛ばし、ボーイズアイドルの1人をバリアの展開されているフィールド場外ギリギリまで吹き飛ばした。その破壊力は、ボーイズアイドルのARアーマーに複数の亀裂が入る程である。
『ミサイルの直撃にさえ耐えられるARスーツが…ここまで亀裂を発生させるのか?』
その後、彼は気絶、残るボーイズアイドルは1名と言う展開となった。
『マジェスティック・アイドル、お前達のやり方は間違っている!』
最後のボーイズアイドルが、茜に突撃をしてきた。しかし、それさえも茜には把握済であり、左腕のゴッド・アームでARウェポンブレードを指1本で受け止める。
それを見たボーイズアイドルはショックを受けたが、その直後に右手に隠し持っていたビームライフルで反撃を試みる。しかし、ビームは無情にもゴッド・アームが展開しているフィールドに無効化された。
「メッキアイドルは時代に取り残された負の遺産なのよ! 今、この時代に必要とされているのは、努力・友情・勝利のようなベタだとしても周囲から評価を受けるアイドルなの!」
そして、茜は戻ってきた右腕のゴッド・アームで殴り飛ばす。ボーイズアイドルは吹き飛ばされず、その場に倒れる。
「メッキアイドルに集まる〈にわか〉、それに輪をかけてファンを増やそうと暴走する信者、それが超有名アイドル商法をビジネスとして成立させてしまった。その考えが、純粋なファンを離れさせる結果となり、最終的にマジェスティック・アイドルを生み出す流れになった。それが分からない訳じゃないよね、みんな!」
最後のボーイズアイドルを撃破した茜は、周囲の観客に対して呼びかける。そして、その直後に上野公園は大歓声に包まれた。
【これは急がないと大変な事になる】
【超有名アイドル商法が規制されれば、我々は資金源を失うも同然】
【そうだ! この新聞記事を…】
ネット上では試合の中継動画を見て、何かを急がなければ…と考える勢力も存在していた。
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4月12日午前10時、ネット上では〈とある話題〉で持ちきりとなっていた。
【どういう事なの?】
【!?】
【何だこれは?】
(中略)
【ここまで有力な比較が出るとは予想外だった】
【これならば、週刊誌も黙ってはいられないだろう。確実にスクープを握ろうと考えるはずだ】
【少し前のスポーツ新聞でも取り上げていたが、これを知っていて取り上げたのか、それとも…?】
〈とある話題〉とは、黒翼リンとダークネスアイドルの特使として姿を見せた女性が同一人物であるという物だった。
【しかも、有力なソースも存在する。これは確定とみて良いだろう】
【今回も何かの利益を目当てに偽情報を作ったとしか思えない】
【振り込め詐欺の類が禁止になって、別の利益を得る手段に炎上させるような偽情報を売るような裏ビジネスが存在すると聞いた事がある】
【有力なソースがアフィリエイト系まとめサイトや炎上ブログでは当てにならない】
しかし、この情報のソースを巡って色々な話が飛び交っていた。中には、偽情報を売ってもうけを得ている裏ビジネスの存在も示唆されている。
その情報を〈偽物〉と一切疑わない人物も存在した。それは、舞浜で情報収集を続けているディヴァインアークだった。
『なるほど。そう言う事だったのか。通りで、上層部が情報を隠す訳だ』
そして、彼は直接マジェスティック・バトル乗り込む事を考えていた。しかし、彼の行動は目立ちすぎる部分もある。それに加え、ディヴァインアークの行動に疑問を持っている勢力の存在もあった。
『この情報が事実であると市民に伝える事が出来れば、超有名アイドル商法が一部の歪んだ人間によって作られた〈都合のよいビジネスモデル〉と暴く事も出来る』
ディヴァインアークは考えた。超有名アイドル商法という裏ビジネスという流行語を生みだすきっかけになった商法は存在の価値さえない。
ならば、いっそのこと超有名アイドルを超える、市民に受け入れられる物を生み出す事が最優先なのでは…と。
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次回予告
ダークネスアイドルが道化だったという事実が急速的に広まり始め、アイドルの存在に対して懐疑的な状況になろうとしていた。
それは、BL勢が「超有名アイドルこそ、経済に不必要な存在」と情報を広めた結果に他ならない。
いずれ起こると思われていた、マジェスティック・アイドルとダークネスアイドルの全面戦争が始まろうとしている瞬間でもある。
次回、『もう1つのアイドル戦争』




