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炎中の王女  作者: へたれ
9/29

9.堅物について考える中流貴族(ニート)な僕

新キャラ神官長。腹黒。

女王の人生に大きく関わった人物…の予定。

「神官長殿。なぜこちらに?」

女王は緊張した声で尋ねる。目は険しく眉間に少しシワが寄っている。

白髪の小柄な老人はおどけたように軽く笑ってみせる。

「ふぉほほほ…女王、大した用事ではありませんのじゃ。なんでも女王お気に入りの家臣が来るとかで

その人物がどのような人物なのかを見定めに来たのみなのじゃ。だのに貴女はわしを見る度そのような

嫌気のさした顔をなさる。なんとも悲しいものだのう。美しいお顔が台無しじゃ。可愛い甥っ子の顔も見たかったことだし。のう、シージェ。」

「…伯父上。」シージェ様は静かに一礼する。


…へぇぇこの人がシージェ様の伯父上かぁ。

シージェ様って神官の家系だったんだね。神官長はシージェ様みたいにそんなに怖くないというか

見たところただの皺くちゃで小柄な老人。あんまり怖くないだなんてシージェ様の伯父上じゃないよ。

僕の中のシージェ様の伯父さんのイメージはね視線で人を殺す権威という名のキラーだよ。

…なんというか意外。

それに神官長だっていうからイメージ的に白い服でも着てるのかなと思いきや、色んな装飾がついた華美な服を着ている。帽子、服共に赤地に金の刺繍でところどころ宝石が縫いこんである。う、うわぁ…あの上着の襟の縁取りに使われてる宝石超高そう…。僕は商人の息子だから物の価値には詳しいんだよね。ちょっとよく見えないから何の宝石だか・・・ん?もしかしてあれはブルーダイヤモンドかっ??そしたらマジで高いぞっ!?げぇぇ幾つも縫いこんであるっ!!総額一体幾らなんだ!?あの欠片一つで城がたちそうだよ!!あの人は歩く札束なのか??少なくともあのブルーダイヤモンドだけで9000ディラ位はするだろうね。あー、ディラっていうのはダルテアの通貨なんだ。1ディラはそちらの世界の通貨で言うところの約10万かな・・・。総額は、っと・・・面倒くさいから計算は任せるね。兎に角、超高い!!ってことだけは確実なんだ。彼のインナーは銀の煌めくような素材・・・十中八九絹ですわ・・・アハハ、面白いほど超高い!!


でもさぁ・・・。


権威は結構感じるんだけど結構…俗っぽい…?というかそんな感じがするんだよね。僕的には。

成金のイメージって豪華な服着て権威を傘にきてるイメージあるでしょ。この老人の服装ってそういうタイプ。

権威を服の豪華さで示そうという意志を感じるんだよね。兎に角、僕の聖人像とはなんだかかけ離れているんだよなぁ。なんか…気に入らない。成金のお前が言うなって?ハイハイそうですね…ごめんなさい。だけど僕は成金だからこそ、成金の権威、キンピカリンが気に入らないんだよ。成金でさえ気に入らないのなら、聖人はなおのこと。聖人は聖人らしく清らかであってほしいと言いますか・・・。変な幻想抱くなって?そうですよねぇ。僕は物凄く幻想を抱くタイプなんです。理想に夢を見てしまうんだ。子供っぽいのかな??「夢ばっかり見てないで、現実を見ろ!!」と父にもよく叱られるんだけど、僕が間違ってる??


俗なる聖人神官長は声に笑いをにじませつつ口火を切る。

「ところで女王…。」

「なんですか、神官長殿。」

女王は酷く構えたような声音で応じる。


さっきから気になってたんだけど、女王はなんだかこの人苦手そうなんだよね…。さっきまでのみなぎる覇気が感じられないというか…。どうしてかな?こんなただの小柄の老人に。なんだか僕ら成金とそう変わらない気がするんだけどな。


「・・・嘉那がどうこうという話が出てきましたがいかなるお話なのかのう??」

「なんだ、しっかり聞いていたのではありませんか、神官長殿。今度の東紅国との戦、テベルとの二重の戦になるやもしれません。テベルの出方が分からないので何とも言えませんが。しかし当然のことながら、鉄鋼石の産地テベルからは鉄鋼石を輸入することはかないません。青銅器使用が一般的な我が国の武器は鉄製武器を用いる東紅国のものよりも劣っています。鉄製の剣を普及させ、さらにその強度を高める為東紅国支配下の嘉那郡を懐柔したいという建議について話していたのです。」

「・・・実は全て聴いておりましたのじゃ女王。」

「でしょうね。」

「本気でそのようなことをおっしゃておられるのかのう??」

「本気ですが・・・なにか??」

「本気とは・・・我々がどのような立場にいるかご存知ならばそのようなことはおっしゃることが出来ない筈じゃ。我々はこのダルテアの精神の支柱ですぞ。我々の権威を無視なさるおつもりかのう。」

「脅しているのですか?今まで私にどれほどの要求を飲ませてきたと思っているのですか?それでも満足せずにこの国の危機に対してもこのような意地を張るとは、貴方は本当にこの国を守護する神官なのですか?」

「なんとでもおっしゃられるがよかろう。もし異民族を引き入れる気ならば退位してもらおうかのう。」

女王はカッと目を張った。

「なんだと・・・?」

「伯父上・・・それは言い過ぎでは?・・・無礼です。」


なんだって・・・退位だと??この成金風情の聖職者が僕の女王に何言ってんだ!!

そして仮にも王の前で退位を求めるなんてどんだけ自分の権威に自信をつけているんだ、この老人は、失礼だな。権威、権威と騒いでいて新しい事例を受け入れない堅物達が・・・。ムカつく・・・。

さっきから廷臣達、そしてこの老人は権威、権威と騒いでいる。権威を重んじる彼らにとっては、僕達や嘉那の民族はこの人たちの狭い価値観に沿わない存在だから排除されるべき存在なんだ。受け入れられない辛さを感じたことお前らはあるのか??僕達と嘉那民族に謝れ!!まぁ・・・異民族蔑視は我が国のスタンダードだけれども、少なくとも僕は他民族を蔑視するようなことはしない。それは僕が商人の息子で他民族と関わる機会があったからだけどね。貿易商だから父には異民族の友、知り合いの商人が沢山いる。彼らは異民族、異民族と言われているけど本当に普通の人なんだ。それどころか優しい人もいるんだよ。僕の三歳の時の誕生日に東方の珍しい香木で作られたリラをくれた父の友人、アシュラフさんとか・・・。僕は今もそのリラを愛用してる。今日もそのリラで演奏するんだ!アシュラフさんのこと僕は本当に大好きで、彼が訪ねてきてくれると本当に嬉しいんだ(((o(*゜▽゜*)o)))まぁちょっとした下心・・・珍しい物をくれるからってのもあるけど。アシュラフさんは何故か僕をとても可愛がってくれているみたいなんだよね。僕もそんな彼がマジで好き・・・ってあれ物凄く愛の告白みたいになってるよ?

まぁともかく、僕は廷臣達と老人のことが凄く嫌いになりました。なんで新しい価値観を頑なに拒んだろう?自分の立場に固執するんだろう?もう僕、おうちにかえりたいよう。この場から逃げたい。こんな気分が悪くなるような場所さっさと可及的速やかに去りたい。

ところでお前、僕の女王ってお前はあの女王に惚れているのかって??・・・僕、そんなこと言った??


シージェ様は伯父の過激な発言にやや焦ったようだ。

「言い過ぎなものか。よいかな、女王陛下(・・)。貴女は所詮世俗の君主なのじゃ。神の膝下にある我々を愚弄することは許されないのだ。」

「・・・それは私よりもあなたの権威が優っていると?無礼者!下がれ!!」

女王は青筋を立てながら声を荒げるが不安そうな雰囲気を隠しきれていない。

「わかりました。女王。今日のところはさがるとしましょうかのう。少し頭を冷やしてご返答くださることをお願い致しますのじゃ。」

神官長はクククッと笑いながら大広間から去った。



ギィギィギギギギギ・・・。



大広間の音が歪に響く。

女王はその音を聞いて心底不快そうに顔を顰めた。

肘掛に置かれた手を見ると肘掛に爪を立てていた。

彼女は恐らく無意識なのだろう。


僕は彼女の王権について考えていた。

僕は女王の王権は絶大だと聞いていた。

しかし、それは誤りだったのだろうか。

女王が唯一逆らおうとあがく相手

それが神官長・・・。


「・・・皆の者、嘉那の件はひとまず置いておくことにしよう。しかし、私は諦めぬ。嘉那の件を通してみせる。」

「女王。神官勢力に逆らう気ですか?今まで上手くやってきたではありませんか。」

シージェ様は逆らうな、と怒気を発する。

「シージェ、お前は私の側にありながら神官勢力の味方をするのだな・・・。まぁ、当然であるな。

上手くやっていた・・・とは偽りだ。あえて対立することを避けていただけ。こちらが合わせていたのだ。」

「女王・・・。」

シージェ様から漏れたのは苦悩の滲んだ響きだった。

筋書きは大体浮かんだんだけど、構成をどうしようかと迷いが出るなぁ。

駄文にお付き合いいただき感謝です。

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