21.女王の褒美について考える中流貴族(ニート)な僕
更新停滞、リアル多忙につき申し訳ないです。
リュディアさんを一通り慰め終わった女王は僕の方を見る。
「今日は来てくれて感謝している。私の退屈も少し紛れたしな。
・・・お前は話していると楽しい。」
「・・・そう思っていただけると嬉しいです・・・。」
・・・本当に来るのが嫌だったけどそう言ってもらえるなら来て良かったかも。
「・・・特にお前がフォローする時の必死な表情。」
「女王陛下ぁっ!」
・・・人の気を揉ませるのがとことんお好きなようですねぇ・・・。
僕はハァァと息を吐く。
無礼を承知でね。
「お前、女王陛下にむかって・・・。」
僕の頭を押さえつけようとした僕の父を女王が手で制する。
「いいのですよ。私は普段と同じように接して欲しいのです。ここは私的な空間だし、リオネルは政治に関係ありませんからね。」
女王はそれで良いのだと言わんばかりに僕に向かって頷く。
「もう、人が折角慰めようとしたのに・・・。」
「悪かったよ。だけどお前面白いんだよ。・・・ククク・・・ああ、そんな目で睨むんじゃない。お前がふくれっ面でガンつけてきても全然怖くないから。・・・むしろ可愛いんだけど?」
「・・・なっ・・・か、か可愛いっ?」
・・・男に可愛いと言っても喜ばれませんっ!!
「ごめんごめん。だって息子とそう変わらない歳だし・・・可愛い坊やがふくれっ面してるみたいに見えるんだよ・・・どうしてもね。その睨んだお目目も潤んでて可愛いぞ?」
「・・・。」
・・・もう何も言うまい。この人わざと僕のハートにヒビ入れようとしてるでしょ?
「あああ、そんな目で見るなよ。膨れっ面だなんて大の男がやることじゃないだろう?
全く…凄く可愛いなぁっ!!」
爆笑し続ける女王。
脹れっ面だなんてしてたかな?
それは確かに男らしくないな。
無表情・・・
無表情・・・
無表情・・・
無表情・・・
プククッ
・・・え・・・??
「ぷっククク…面白いなぁ・・・わざとらしいその無表情!・・・ハイハイ、もう言いませんって。機嫌直せよ。ったく。」
ったく、って言われた・・・。
全くどうしたらいいんでしょうね・・・?
結局僕は何をしても面白いってこと?
僕はいじられ慣れてないんですよ。
そんなに笑わないで下さい・・・。
女王は目尻に浮かんだ涙を袖で拭った。
随分機嫌が良さそうだ。
上気した頬はほんのりと赤い。
新緑の潤んだ瞳が僕を見つめた。
・・・ドキッ!
え?何反応しちゃってるの?僕の心臓。
確かに今の女王は色っぽいっていうか・・・なんというか
僕の好み・・・いや正直理想・・・に近い、けど・・・
いやいや・・・ときめきとかそういうもんじゃないっ!
相手は女王、しかも僕と同い年位の息子がいるしね。
これは憧れ、憧憬だ!うん。
「何をまじまじ見ているんだ?」
怪訝そうな声が遠くでする。
「いいえ・・・。なんというか貴女が美しいなと思いまして・・・。」
「・・・え?」
「・・・!」
・・・僕は何を言ったんだっ!?
見ると女王はポカンとした表情をしている。
信じられない、って顔だ。
・・・そんな顔しなくても・・・。
「まぁ、女王様・・・。」
「あの男勝りなユディに告白・・・。」
二人の侍女は顔を見合わせ固まっている。
父さんはニヤニヤと僕を見ている。
・・・なんだよその顔。
・・・それに僕は告白なんかしてませんよ、エストレージャさん。
「いえ、口説いてなんか・・・。でも女王陛下、貴女は綺麗です。
言われ慣れてるでしょう?そんな顔なさって・・・言った僕が変な奴みたいじゃないですか。」ハハハと取り繕い笑いをする。
・・・背中には変な汗が伝い、顔の血の気は上下する。
・・・すんごく恥ずかしいよ\(//∇//)\キャー。
女王は僕を観察するような目で見た。
そしてしたり顔でふうん、と一言・・・
「分かった!!熟女好みなんだろう?」
・・・だぁかぁらぁっ、なんでそうなるんですかぁぁぁぁぁぁぁ(°д°)
「ち、違っそうじゃなくて・・・」
「いいから、いいから分かってるって。
・・・ナンデスカその目。
でも、まぁ・・・ありがとう。何だか久しぶりにそんな言葉聞いた気がする・・・。」
「女王陛下・・・」
女王は照れてるのかどさくさに紛れて礼を言う。だが次の瞬間・・・
「・・・だけど息子ほど年の離れた子に言われるとはなぁ。」
・・・だぁぁぁぁっ(゜´Д`゜)
女王の目はターゲットロックオンの状態だ。
からかう標的を見つけてキラキラ☆彡している。
「ほーんとに新鮮だ。人妻しかも子持ちのおばさんにねぇ・・・やっぱり不思議な子だなぁ、
お前は。」
「ちょっと、違いますって。本当です。貴女が魅力的なだけです。」
・・・って墓穴掘ったっ!!
「ふうん。私に惚れてるの?惚れてるのねぇ~。好きなだけ惚れなさいな。
だけど私は人妻子持ちの35歳♪フフフ・・・。」
・・・女性は歳を隠すって聴いたことあるけどこの人随分あっけらかんと暴露したよ・・・。
ってそれよりも!!
「ほ、惚れるとかなんですか?ほ、惚れてません。惚れるって・・・」
言えばいう程ドツボにハマって行く気がする。
顔は茹でダコみたいになってるだろう・・・物凄く熱い。
そんな僕に一言女王は、
「可愛い♡」
そして女王は僕に近づくと僕の頭をよしよしと撫で始めた。
父さんがこらえきれず爆笑する。
・・・ナンデスカ??この状況。からかわないでくださいっ。
「可愛いわぁ♡ホント。オーシュテルンやバッティスタなーんてお世辞でもそんなこと言わないんだから。」
「・・・母上。息子がそんなこと言うだなんて・・・マザコンチックでは?」
オーシュテルン王子は困ったように女王と僕を見る。
「なんですって?息子が母親を褒めないで誰が褒めるの?」
「リオネルがいるじゃないですか。それに父上も。」
「分かってないわねぇ。褒めてくれる息子って可愛いものなの。
・・・リオネル、私の息子にならないか?」
・・・恋人ならまだしもむ、息子って・・・。
僕はそんなに子供っぽいかな?
「女王陛下、僕は立派な男ですよっ!」
「ハイハイ、おませさんが。」
そう言って僕の髪をワシャワシャやりだす。
「うわぁぁぁっ。ちょ、止めてくださいよ。」
・・・朝、王宮に上がるからってことで整えた髪がぁ・・・。
女王は一通り僕の髪をグシャグシャにし終える。
「あー面白いなぁ。それにしてもお前、いっちょ前に整髪料なんかつけちゃって。
この伊達男が。」
・・・そうですよ。それが今アダになってるわけです。
僕の髪は変な方向に逆だってる。
僕だって思春期・・・いや少し過ぎちゃった感あるけど
彼女が欲しいな、とか思ったりするわけです。
・・・出来ないけど・・・。
王宮行って→何、あの人超カッコいいとか言われて
→可愛い侍女の彼女とラブラブ
・・・みたいな幻想持ってたっていいでしょっ\(//∇//)\
何か自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
「お前、そういえばこの前会った時より気取った感あるもんなぁ。
・・・女を釣りたかった・・・とか?そうだろっ。」
・・・もういいです。何とでも言ってください・・・。
「・・・。」
「黙り込んじゃってまぁ・・・。ほら、可愛い女の子紹介してやろうか?」
「え?」
「例えばそうだな・・・そこにいるリュディアなんてどうだ?」
この爆弾発言にリュディアさんと僕の声がかぶる。
「女王様!?」
「えええ??」
・・・ちょっと待って下さい。リュ、リュディアさんって
あの神官長の娘!
・・・ってそれより
もし彼女と付き合えば神官長がお義父さん!?
・・・ってそんなことより・・・。
「まぁ、リュディアも私と同い年だがな。熟女好みのお前には丁度いい。」
「じょ、女王様・・・お戯れを・・・。私は年上好みで・・・いえ、と、兎に角私の相手にしては
若すぎます!私は、とうがたったおばさんですわ。」
リュディアさんはまさか自分が槍玉になるとは思わなかったらしい。
彼女は動揺しまくりながらも必死で否定する。
・・・そんなに否定しなくても。
そんなことよりリュディアさんと女王って同い年なの?
・・・騙されたなぁ・・・。
可愛らしい容姿も相まってあまり歳を感じないのかもしれないね。
とうがたったって・・・そんな。
「貴女はおばさんなんかじゃないわ。全く・・・自分がまだ可愛いことを自覚しなさい。
そして貴女が年上好みだなんてう・そ!」
女王は人差し指でチッチッチと振る。
「いいえ、そんなことありません。私には五十代位のとうがたったおじさまが丁度良いのです。」
リュディアさんは堂々と主張する。
・・・リュディアさん。貴女・・・自分を貶めすぎでは?
「リュディア、自分は一体幾つだと思ってるの・・・。それに、そう言う割にはオシャレに気を使ったり、ダイエットとかにも随分励んでるのに・・・。」
「そ、それは・・・自分の老化防止ですわ。最近容貌が衰えてきている気がして・・・。」
リュディアさんはマジな顔をしている。
「う・・・。」
女王はその本気の顔に気圧され言葉に詰まる。
・・・女性の永遠の悩みだろう・・・恐らく。
でも、リュディアさんの老けた基準が分からない。
だって彼女の見た目はどう見ても二十代前半。
・・・後で美容法でも聞いてみようか。
最近母が老けた、老けたとぼやき始めている。
「・・・へ、へえ・・・でもその割にはリオネルを見て顔を赤くしてたくせに。」
女王は気を取り直し反撃開始。
「え?赤くしてました?」
「してたよ。」
「・・・まぁ、リオネルさんは容姿が整っていますし・・・詩は残念だけど(ボソ)
・・・リュディアさん今、貴女何か言いましたね?
世の中の女性でイケメン嫌いの方なんてそういないでしょう?
・・・まぁ残念な美男子ですが(ボソ)
・・・聴こえてますよ?
私が顔を赤くしてたとしたらきっと条件反射ですわね。」
リュディアさんの声が心なし上ずってるのは気のせいかな?
それにしても・・・褒めてるの?けなしてるの?
「リュディアは全く素直じゃないわ。そこのおませボンボンと一緒よ。
内心イケメン発掘、キャー(≧∇≦*)とか思ってるくせに。
若い子大好きなの知ってるんだから。・・・護衛兵のサムエル。」
「女王様っ!!」
反駁しようと口をパクパクするリュディアさんは耳まで赤くなっている。
・・・サムエルって誰?
「まぁ・・・いいわ。リュディアは年寄り好きってことにしといてあげる。
・・・今度脂の乗ったおじさまを紹介してあげるからね。(黒い笑)」
女王はリュディアさんをからかいすぎたと思ったのか話を切り上げる。
「うう・・・。」
リュディアさんは少し涙目だ。
女王は綺麗だけど刺とか毒を持った美しさなんですね・・・。
例えるなら・・・バラ・・・ベタかな?トリカブト・・・猛毒すぎる・・・。
何かいい喩え思い浮かばないな・・・。
いい例えはっと・・・。
・・・。
・・・。
・・・。
「リオネル、リオネル!」
「え?あ、は、はい。なんでしょうか?」
・・・またボーッとしてしまった。しまった/(-_-)\
「お前、さっきっから時々ボーッとしてるけど妊娠でもしてるのか?
実は女、だったとか?」
女王はカラカラと笑う。
「んなわけないでしょう!!」
「だよなー。冗談だ。」
・・・この人のからかい癖にはついていけません・・・。
「・・・何か欲しいモノがあるか?って聞いたんだが・・・。
お前、何か欲しい物ある?」
「え?」
これって?
これって
・・・もしかして・・・、
これはもしかしなくても褒美を貰えるというフラグでは??
「それって・・・もしかして・・・。」
「今日来てくれた礼に何かお前にあげようと思ってなぁ・・・。
とはいえお前は大金持ちだから欲しい物なんてそんなにないかもしれないがな。
ドッティスの楽譜なんてどうだ?お前盗まれたろう?」
「・・・え?・・・僕?」
確か・・・楽譜を盗まれたこと言ったっけな・・・。
でもドッティスの物だって言った?
「楽譜盗まれたんだろう?それを返してやろうと思って・・・。
でも当然別に欲しい物があれば言ってみろ。それもあげよう。」
・・・随分大盤振る舞いだなぁ。
僕はない頭で必死で価値あるものを考える。
うーん。古代の財宝・・・とか?
・・・家に沢山あるしいいや。
ってうわぁ石を投げつけないでくださいっ!!
「何でもいいんですか?」
「当然、私がなんとかできる範囲でよろしく頼む。
はっきり言ってお前の家の財力は相当だからな?
国庫の財全てって言われても出せないぞ?
国庫の富は私のものであって実際そうじゃないし・・・。」
「分かってますって・・・。」
何がいいかなぁ・・・。
珍しいものはアシュラフさんからもらえるし、
高価なものは見慣れすぎてて新鮮味がない・・・。
じゃあ、何がいいんだろうな・・・。
え?何?父さん?その期待顔は何?
父の口元を見る。
『サ・イ・ク・ツ・ケ・ン』
・・・ああ、父さんは最近発見された自分の領内のシュルヴ金脈の採掘権を
欲しがっているんだ・・・。
でも金山の採掘権は国の管轄だし・・・無理でしょ。
金ってのは価値が高いし、貨幣にもなるからね。
国が管轄してるんだ。
・・・困ったなー。
ダメ元で言ってみるか・・・。
「母上、リオネルは母上に興味があるようですし、
母上の昔話でもお聞かせになったらいかがでしょう?」
え?オーシュテルン王子?
オーシュテルン王子の目は真摯だ。
何か必死な感じがするのは気のせい?
女王は一瞬驚いた顔をする。
「・・・何言ってるの。リオネルに褒美をやるのに貴方が口を出すなんて・・・。
大体こんな年増の話なんか聞いて何が楽しいんだか・・・。」
女王の口調が少しだけ揺れた気がした。
・・・この女王の昔話?
なんだかちょっと、いやかなり聞いてみたい。
僕は女王の信者ではありませんよ?単なる興味です。
「いいです!それで!」
「え?」
『え?』(何言っちゃってるの?お前っ!)
「え?」
最後の「え?」はオーシュテルン王子だ。
自分で提案しときながら何言ってるんだか・・・。
僕は女王を見る。
すると女王は無言で僕の瞳を見つめる。
・・・おっかしいな・・・。いつもだったら「え?お前、私に惚れてるの?」
とか軽口叩きそうなものなのに・・・。
「何故、聞きたい?」
「いえ・・・貴女が相当不思議な方なもので。」
彼女はあの日『鋼のヴィム』について問い詰めた時と同じ位無表情だった。
僕たちはしばらくお互いを凝視していた。
・・・。
・・・。
・・・。
「プハハハっ。お前、そんな真面目に私を見詰めるな。プロポーズか?」
女王は豪快に吹き出す。
・・・僕、この人が場の雰囲気を変えたい時、決まって笑うって
段々分かってきたよ。
「・・・誤魔化すのが上手ですね。聞かれたくない過去でもあるんですか?」
おどけたように女王は笑い出す。
目尻の涙を拭き吹き続ける。
「聞かれたくない過去・・・そんな御大層な・・・フフッ。
全く・・・巷の噂を知らないのか?私が女王になった経緯とか
吟遊詩人とかが吟ってないか?」
「そりゃあ、断片的には・・・。」
「・・・それが、真実だ。この私は悪の異母兄の策に踊らされ
罪人になって逃亡。その後神の守護を得て悪の異母兄を倒し、王になった。
ドッティスの旧勢力を撃退した後、愛するシージェと結婚し二人の子供を得た。
何の変哲もないヒーローだろ?」
女王はドヤっとした顔で豪快に笑う。
「・・・ヒロインです。貴女の思考は男男しすぎです。
貴女傭兵だったんじゃないですか?」
バイト最近やめました。
いい職場にありつけますように。
・・・金ほしーな。




