表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

第一話 金持ち学校の用務員兼警備員!?

色々すいませんでした!

学校のチャイムが鳴り響く…頭イテェ、飲み過ぎた


ここは聖ヶ丘国立高校


生徒達は皆お金持ちのお坊ちゃん、お嬢ちゃん。


皆、上品に微笑みながら友人と楽しく会話をしている。


校門から玄関までは映画俳優さながらレッドカーペットがひかれている。


校舎は、どこぞの大豪邸だとツッコミたくなるほど大きく、中庭には噴水が、又、教室にはエアコン完備、更にはシャワールームや一流ホテルの様な食堂、他etc.etc.


なんでも理事長が世界に轟く、大手企業の会長で


『一流の家庭の人間は、一流の施設で、一流の教育を受け、社会に貢献する責務がある。それ以外の人間は一流の人間の踏み台』


と、ほざきやがったのだ。俺の信条とは死んでも反りが合わない


俺の信条は


『どんな環境の生き物でも、自分の道は自分で決める権利がある』…だ。


まぁ、世間から非難と反感をだいぶ買ったみたいだが…権力で握り潰したみたいだな。


まぁ?俺には関係無いがな。


じゃあなんで俺が超一流の学校の事をツラツラと語っているかと言うと…


この学校のクソ広い敷地内で寝ている。


……なんだよ、文句あるか?


なんでそんな金持ち学校に居るかって?


さてな、俺にも解らん。


そうだな…良い機会だ。クソ忌々しい思い出の整理でもするか?


あれは大体一月前の出来事だったな…


―――一月前、俺は仕事を辞めて北海道の地方の田舎に来ていた。散々人に仕事を押し付けるクソ上司、おべんちゃらしかできないアホな同僚、極めつけは敬語もろくに話せない大学出のクソ餓鬼の後輩。


嫌になった俺は『残業してきます』と嘘付いて任されていた仕事も、住んでたアパートも引き払いトンズラしたわけよ。


んで、“今回”の生まれ故郷である北海道の田舎の旅館を見つけ昼寝を満喫していた。


下の階から餓鬼の話し声がゾロゾロ聞こえてきたわけだ。


修学旅行か?と少し失敗したなと思っていたが…まあ結局寝たな。


んで腹が空いたから一階の食堂に足を踏み入れた。テンションハイのバカなクソ餓鬼共が騒いでいた、大人な俺は気にせず、一人酒を飲んでおかずを摘まんでいたんだが…


「おい!そこの一般人!貴様が飲んでるの酒だろ?俺に寄越せ」


シカトして飲んでいると今度はバカにされたと勘違いしたのか顔を真っ赤にしてナニをドウ勘違ったらあんな言葉がはけるんだか…


「おい!一般人!貴様舐めてんのか!?俺達は聖ヶ丘高校の生徒だぞ!」


聖ヶ丘…ねぇ。


それもシカトして居たらコップの水を頭の上からかけられた。


無気力気味にそいつを見てやれば、満足した顔で


「一般人は一般人らしく地べたを這いずりながら俺達一流の人間の足置き場にでもなってればいいさ」


取り巻きとクソ下品な笑い声で笑いながらこうも言ってきたな。


「サッサと酒寄越せよ~?愚民ごときが!」


少し灸を据えてやろうかとした時


ドォンと乾いた破裂音が玄関で聞こえ土足のまんまなのかズカズカと音がこちらに近付いて来るのがわかった。


俺は直ぐ様戦闘体制に入ったが、さっきのクソバカ餓鬼共は怯えていた。


ドアを蹴破り現れたのは3人の覆面を被り銃器を持った男達。


リーダー格らしき筋骨隆々の大男がユックリと告げる。


「お前達は聖ヶ丘高校の生徒だな?悪いが付き合ってもらおうか…拒否権はないがな」


銃器持ちか…負ける事はないがクソバカ餓鬼共を助けるのは癪にさわる。


結論ほっとこう。


我関せずを貫き晩酌をしてたわけよ、そしたらショットガンを持ったデブが…


「テメェ!何してる!」


「なにって…晩酌?」


素直に答えてやると、デブは小刻みに震えながら


「ふざけてんのかテメェ!?周りの状況見えてんのか!」


キレた。


イヤイヤ素直に答えただけじゃねぇか、理不尽な。


「アンタ達がナニをしようが自由だ、そこのクソバカ餓鬼を拐おうが殺そうが知った事か…俺は静かに晩酌をしたいだけだ」


「「「なっ!?」」」


再び酒を飲んでおかずを摘まみ言い放つ。


餓鬼共は絶句し信じられないとばかりに顔を青くする。


「テメェ!!」


デブが俺に向かって引金を引こうとすると


「おい、落ち着け」


リーダー格らしき大男がデブを宥め俺に視線を向ける。


「…お前は何が望みだ」


リーダー格らしき大男…ええい!面倒だ!犯人Aで良いか…犯人Aが俺に鋭い視線を向け問いかけてくる。


「何も…さっき言ったろ?静かに晩酌をしたいだけだ、ってな。」


真っ直ぐ見つめ返しながらそう言えば、警戒しながらも渋々納得し。


「そうか…おい!餓鬼共を縛って捕まえろ」


仲間のデブ…犯人Bとノッポ、犯人Cに指示を飛ばす。


するとさっき俺に水をぶっかけてくれたクソバカ餓鬼が、顔を青くしながら罵ってきた。


「お、おい!一般人!貴様はそれでも人間か!?俺達は一流の聖ヶ丘高校の生徒だぞ!?貴様如き…」


「ハイハイ、俺如きなんかに構ってる余裕があるなら一流の人間なら自分の心配をするんだな」


「貴様!」


適当にあしらったら顔を真っ赤に睨んできた。


忙しい奴だな。


犯人B、Cは縄で餓鬼共を縛ろうとした…その時


「待て!!」


凛とした声が食堂に響いた。


犯人達辺りを警戒しながら、クソバカ餓鬼は何やら喜び周りを見回す。


俺は晩酌していたが…


「上だ!」


ドカリ!と鈍い音と犯人Bが倒れるのは一緒だった。


「「!!?」」


「「「会長!!」」」


いい加減煩くなってきたので、俺は視線を音がした方へ向ける。


おそらく地毛であろう肩まである金髪に無駄な肉がついてないスラッとした体系で瞳は翡翠の様な瞳、顔立ちは中性的な綺麗な顔立ちのブレザーにチェック柄のズボンの…多分女の餓鬼が犯人Bを踏みつけていた。


第一印象は見たことある“魂”の餓鬼


だが、これが俺の災難の始まりだったわけよ。


とと、話がずれたな。


まぁ当然犯人達は怒るわな。だが、激昂した犯人を見ても焦る事なくこう言いやがった…


「我が校の生徒には指一本触れさせん!!」


「ほざくな餓鬼が!」


犯人Cは相当頭に血が昇ってるのかマシンガンで撃つ事なく殴りかかった。


あぁ、馬鹿だろ犯人C。


ため息をついたが…俺は悪くない。


男女の餓鬼は殴りかかった犯人Cの右ストレートをいなし背負い投げをし、その後的確に人体急所の鳩尾を踵で踏みつけた…えげつないな。


残るは犯人Aだけ、焦る犯人Aは拳銃を男女の餓鬼に向けるが…餓鬼は既に犯人Aの目の前に身を低くし走っていた。


パン!と破裂音がする


パリン!


………あ?


餓鬼は無事、犯人もまだ立っている…何が割れた音だ?


餓鬼も犯人も俺を凝視している。


頬に軽く痛みを感じ触れて見ると…


ヌルッと暖かい手触りを感じ手を見てみる。


あぁ、俺の血か。そして俺は…


「クッ、クハハハハハ!!」


キレた。


一同に驚いているが関係ない、俺は笑いながら立ち上がり犯人…いや、哀れな生け贄に歩きはじめる。


「な、なんだ!?くっ、来るな!!動くんじゃねぇ!!」


パンパンパン!と破裂音が聞こえるが…


「クハハハハハ!!spirale・porta(スピラーレ・ポルタ)!」


聞きなれぬ異国の言葉に一同、呆気にとられる。


しかし俺は右手を横薙ぎに振るう。


ブォン


「「「「「!!!??」」」」」


空間を裂くように穴が空き弾丸を吸い込む


「な、なんだ!なんだそれは!?」


目を白黒させる犯人A…と餓鬼共


「ほら、驚いている暇はないぞ?後に気を付けな」


バッ!と犯人Aは振り向いた瞬間、苦悶の表情を浮かべ膝をつき倒れる。


「がぁぁぁぁ!?」


「「「「!?」」」」


餓鬼共は驚いて犯人Aの後の空間を見ると、そこにはポッカリと奈落を連想させる穴が空いていた。


「貴様ぁぁ!!ナニをしたぁぁぁ!?」


犯人Aは脂汗をダラダラ流しながら俺を睨む。


「なに、ちょっとした手品だ。あぁ、そうだ…俺に遠距離は効かない、お前が又ぶっぱなしたら怪我が増えるぞ?」


ニヤリと悪役みたいな顔付きで笑いながら歩きはじめる。


「ヒッ!悪魔がぁ!?」


悲鳴をあげながら這いつくばって逃げ出すが、目の前には…


「どこに逃げる気だ?」


悪魔と呼んだ男が立っていた。

「あ、アァアァァァ!」


犯人Aは口から泡を吹き、失禁して気絶した。


「「「「………」」」」


しまった、やり過ぎた…


場が沈黙に包まれ、遠くからサイレンが聞こえてきた。


旅館の人間か、はたまた男女が連絡してたのか…なんにせよ


「よし、逃げよう」


「「「「!!?」」」」


餓鬼共が驚いている…あぁ、そうだついでに


「おい、さっき俺に水をぶっかけてくれたバカ餓鬼」


「ヒッ!?来るな!!化物!!」


「黙れや、殺そうか?」


「!!!」


殺気を籠めて睨むと慌てて口を手で塞ぐ


「良いか…俺の言葉に全てYesで答えろ、さもないと…わかるな?」


コクコクと壊れたオモチャの人形の様に首を縦に振る。


「お前は俺に水をぶっかけてくれた…しかも大層なご高説付きでな、つまり…だ。お前は俺に何かするべきじゃないか?」


サッと餓鬼の顔から血の気が引く、男女は黙って見ているが。


「ナニをするべきかわかるな?」


「…す…ませ…でした」


「あぁ?聞こえねぇぞ!」


「!!すいませんでした!!」


「よし。」


俺はそれだけ聞いて旅館から立ち去る。


金はちゃんと置いといたぞ?


あそこに居ても面倒だからな、三十六計逃げるにしかず…だ。


しまった、宿どうしよう。


ちょっと後悔して歩きはじめると後ろから聞いた事ある声が聞こえてきた。


「ちょっと待って下さい!」


振り向くと会長と呼ばれた男女が走ってきた。


「なんだ?」


「先程は礼もせずにすいません。」


深々と頭を下げてきた。


「気にすんな、俺は俺の為に動いた。アンタが頭を下げる必要はねぇ。」


「それでもです。それに、我が校の生徒が大変失礼をしました。申し訳ありませんでした!」


「それについてはもう謝って貰った。気にして「つきましては、私の家にご招待致します!」はぁ?」


呆気にとられポカンとしているといきなり手を繋がれ引っ張られる。


「おい!ちょっ「さぁ!車を呼んであります!こちらにどうぞ!」人の話を……」


俺の言葉が途中で消える。


だって…リムジンだぜ?こんな田舎にリムジンだぜ?生リムジンだぜ?


「お迎えにあがりました、お嬢様」


更に追い討ちをかける様に初老の燕尾服を着た執事が…って執事!?


「はい、ご苦労様です」


「お嬢様…そちらのご仁は?」


「ん?ああ、彼が先程電話で話した方です」


「おお!そうでしたか!ではお客様こちらへ!」


呆然としていたら、トントン拍子で話が進み、気付いたら…超豪邸の前に居た。


「お客様到着しましたぞ!」


「は?」


「榊さん、私が客間まで案内します」


「へ?」


「そうですか、畏まりました」


「へ?」


「ハイ、では入りましょう!」


はとへしか喋っていないが、又手を繋がれ引っ張られ、超豪邸の中に入る。


「「「「「「「お帰りなさいませ!お嬢様!」」」」」」」


「ただいま!皆!」


「………」


思考が止まる、“昔”ならいざ知らず“現代”でこんな家柄があるとは…


「では、こちらへ!」


「もう良いや…」


結果、黙ってついてった。


長い廊下を歩いていると、ひそひそと声が聞こえてきた。


「あの方がお嬢様の言ってた?」


「そうみたい、お嬢様に敵わないけど、結構カッコイイかも!」


「そうよね!結構背が高いしガッシリした体格で、今までお嬢様の周りに居なかったタイプよね!」


「でも、お嬢様×彼だったり…ハァハァ、妄想が止まらない!」


聞こえてきた会話にかなりゲンナリして…てか誰だ!最後の変態は!?


クスクスと前の男女…いやお嬢様は笑いながら


「すいません、彼女達も悪気はないんです。私が余り私情で男性を連れて来ないから、彼女達も浮かれちゃって」


「ハァ、なんだかなぁ。で?いつまで歩けば良いんだ?」


「あ!ここです!」


案内され連れて来られた客間に入り、引くぐらいに大きなソファに座り、かなり座りずらいが…


「座りずらいですよね、このソファ」


苦笑しながら話しかけて対面するように反対側のソファに腰かける。


「…意外だな」


「?何がです?」


「まがりなりにもココのお嬢様だろ?」


「まぁ、色々ありまして。ところで貴方…と、いつまでも貴方と呼ぶのは少々アレですね。私の名前は朝倉(あさくら)(さや)と申します。貴方のお名前をお伺いしても?」


そう言えばまだ名前も名乗ってなかったな…


「俺の名前は狭間(はざま)(りん)だ」


「では狭間さんとお呼びします。先程は我が校の生徒が大変失礼をしました。それと助けていただき大変感謝しております。」


再び深々と頭を下げる朝倉嬢。


「それについてはさっき言った通り、もう謝って貰ったし、俺は俺の為に動いただけだと言ったろ?それと…本当に言いたい事はそれだけか?」


スッと目を細め尋ねる。


「ハハハ、バレちゃいました?」


悪戯がバレた子供の様に笑う…いや実際子供なわけだが。


「そりゃあな、バレるだろ。目の前であんな手品見せたんだ、聞かない人間は居ないだろ、第一…世界的に有名なあの大富豪、アウレリウス・アンブロシウスのご息女がこんなしがない“一般人”に声をかけるわけがない」


「ッ!」


彼女の父親アウレリウス・アンブロシウス


世界的に有名な人物で医療からはたまた宇宙開発まで手広くやってる企業アンブロシウス財団を立ち上げ、アンブロシウス社、通称“アンブロ社”の会長、名前も気に食わない、顔も気に食わない、何より…その“魂”が気に食わない、まぁ?


『一流の家庭の人間は、一流の施設で、一流の教育を受け、社会に貢献する責務がある。それ以外の人間は一流の人間の踏み台』


とほざきやがった。


そんな奴は学校までやっていて、ここ…北海道に聖ヶ丘高校を開校しやがった。


一体ナニを考えているのやら…


そんなアンブロ社の会長様には愛人が数々、日本も例外ではなく愛人の子供が居ると言う噂があった。


大企業のご令嬢だとか、一般家庭の娘がシンデレラになったとかな。


まぁ、悪い噂を権力者の特権で捻り潰したみたいで、次第に都市伝説みたいになったわけだが。


「…なぜ、分かったのですか?」


強張った顔で問い詰めてくる…さて、どうしたものか…“真実”を話せば理由の答えはできる、この娘の“魂”もかなり見覚えがある。しかし“異常な真実”を受け入れられるかどうか…それに


「…隠れてないで出てきたらどうだ?」


「え?」


朝倉嬢は何の話しか理解できていないが、部屋にあった本棚が突然横開きにスライドして執事が出てきた…確か


「榊さん!?」


そうだ、榊と言ったか…


「お嬢様…お下がり下さい。この男は“危険”です」


冷や汗をかきながら構える執事…


よく見たらこの執事の“魂”も見たことがある。


…なに?さっきから言ってる“魂”って何の事かって?


まぁ、その事は追々説明する機会もあるだろ…話しを戻すぞ?


「なんだ…人を勝手に招いて置いて勝手に排除するってか?」

ソファに腰かけながら不敵に笑う俺、やだ…悪役みたい。


「私の仕事はお嬢様をあらゆる敵から守るですから…」


「あっそ…」


睨み合いを続けていると…


「榊さん!それに狭間さんも!やめて下さい!」


朝倉嬢が間に入る。


「お嬢様!?お下がり下さい!!」


「いいえ!引きません!」


まったく…つくづく同じ“魂”だよ。


「あ~、わかった。わかりましたよ!?話せば良いんだろ!?」


「「!?」」


若干投げやりな答えに驚く朝倉嬢と榊執事。


「あ~、何て言ったらいいか…勘だよ、勘!」


「勘…ですか?」


「そそ、何となく顔がアウレリウス・アンブロシウスに似てるし、日本に子供が居るって大分前に噂になってたし、金髪だし、何となく人の気配がするな~と思って鎌かけただけだし、ゼ~ンブ勘だよ!?これ本当!ワタシウソツカナイヨ!?」


面倒になって投げた、朝倉嬢は何かを考えて、榊執事はポカンとしてたな。


「ハァ、わかりました」


「お嬢様!?」


なぜため息ついたし。


「榊さん…勘ならしょうがないです。鎌にかかった私も悪いですしね!」


苦笑しながら榊執事に話しかけて榊執事もため息をつき…だから、なんでため息ついたし。


「ハァ、わかりました…狭間様…大変失礼をしました」


「いや、偶々鎌にかかっただけの不慮な事故。それでいんでない?…さてと、そろそろ帰るかねぇ」


これ以上面倒になる前に逃げ…帰る事にした。


「そうですか…何もおもてなしもできませんで…そうだ!我が家自慢の紅茶を飲んでいって下さい!」


「いや、お構い「今持って来ます!」チクショウそうだと思ったよ!」


「お嬢様があんなに楽しそうな顔は初めてです。」


ポツリと榊執事が言葉をこぼす。


「そうなのか?」


「ええ」


「苦労してんだな…朝倉嬢も榊執事も」


「ありがとうございます…」


しみじみとした空間を又朝倉嬢がぶっ壊した。


「狭間さん!はい!我が家自慢の紅茶です!」


朝倉嬢がニコニコと榊執事は気の毒そうな視線を向ける。


「ああ、ありがとう朝倉嬢………グハッ!!」


「狭間さん!?」


俺は盛大に吹いたついでに吐血した。なんと言うか味は…ウン思い出したくない。


「紅茶にアクセントにハバネロ入れたのがいけなかったのかな?」


「おいたわしやお嬢様!」


薄れていく意識の中思ったのは…榊執事よ、お客様がおいたわしやだから。


そこで意識が途絶えた。


朝の日差しを浴びて目を覚ます


「知らない天井だ…」


リアルで言うことになるとは…


コンコンとノックが響き声が聞こえてきた。


「朝倉です。起きてますか?」


「あぁ、起きてるよ。」


ガチャと入ってきたのは朝倉嬢と榊執事。


「お加減どうですか?心配しましたよ!いきなり倒れるなんて」


「イヤイヤイヤイヤ紅茶に暴君ハバネロ入れたのが間違いだからな?」


「??」


朝倉嬢は何が悪いのか理解できていない様だ…朝倉嬢…恐ろしい子!


「おいたわしやお嬢様」


だ・か・ら!おいたわしいのは俺!はぁ、取りあえず…


「邪魔したな、帰るは!」


「えっ!」


朝倉嬢はなぜか寂しそうな顔をして榊執事は懐から電卓に打ち込みながら


「んじゃな、縁があれば又どこかで会えるだろ、達者でな」


三十六計逃げるにしかガシッ!ん?ガシッ!?


「おいおい榊執事その力強く掴んだ右手を放してくれねぇか?」


「はい!御精算していただければ直ぐにでも!」


「精算?なんの?」


「えっとティーカップを一つ落とし割っていますしソファに吐いた血を取り除く清掃代金ですね。合計額はこれくらいで」


ふ~ん、どれどれ?


一、十、百、千、万、十万、百万、千万………………………………


「払えるかぁ!?ぼったくりバーでもここまで酷くねぇし!!」


「困りましたね、お嬢様どうします?」


悲しい顔を今度は嬉々とした表情になり


「オオ!ソウダ!我が校の用務員兼警備員がアイテルデハナイカ~!」


榊執事テメェ嵌めやがったな!?貴様はダメだ!狸ジジイで十分だ!


「あの、ああああのもももしよろしければ、一緒に居てくれると心強いのですが…」


ハァ、前にもあったな…こんな場面


『○○○○、貴殿が居たら私は心強い』


「あの、ダメですか?」


「……たよ」


「え?」


「わかったといってんの!ったく、餓鬼共は嫌いだが仕事だ。引き受けよう。」


「では早速この部屋を!「ただし!条件付きでだがな?」条件?」


「第一、学園の近くのアパートに住ませてもらう。第二、俺は全額返済したら出ていく。第三、舐めたクソバカ餓鬼は俺がシバく。」


「それだけで良いんですか?」


「まだ色々あるが、その時に話す」


「私としてはこの屋敷に住んでもらいたいですが…わかりましたその条件、のみましょう」


「じゃあ契約成立だな」


契約を成立させた後に後悔したが―――


と、まぁこんな感じに今に至る。


てか今更だが誰に話しかけてんだか。


ふと団体の気配がした方に目を向けると男女に囲まれながら微笑んでいる朝倉嬢が目に入った。


向こうも俺に気付いたら様で笑顔で呼びかけてきた。


「狭間さ~ん!おはようございま~す!」


周りに居る餓鬼共の視線が鋭く俺に刺さる。


胃が痛い。


ため息を吐き出し、朝倉嬢に手を振った。

ご指摘、感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ