第十五章 約束
4月になった。隣の家の桜はもう散って新芽を咲かせていた。
俺は家に帰ってきてた。
普段変わらぬ生活。人と余り関わらない生活に戻ってた。
飯だけは実家が良かった。自分で作るよりも美味いし楽だった。今日何を食べようかな?と思って冷蔵庫を物色してたらスマホが鳴った。
メッセージを観てみると、石田からだった。
『祐実が…今日午前9時20分に永眠したって』
翌日実家に帰ってお通夜に参加した。
篠田さんは綺麗な顔をしていた。
笑みを浮かべてるようで、それだけは幸いだった。
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5月になって急に暖かくなった。
羽織っている薄手の上着を脱いで、木に吊るした。
「マジどの辺に埋めたんだよ?」
北村は汗を拭いつつも、スコップで土を掘っている。
俺もペットボトルのお茶を一口含んだ所でスコップを持って同じように地面を掘り始める。
「解らん…つうか暑いな…」
「この作業腰にくるわ…」
北村は腰をトントンと叩いている。生暖かい風が汗をさらって少しだけ気持ちいい。俺は黙々と土を掘ってるとカツンと先が当たったのが解った。
「何かあるぞ」
「又、石じゃね?」
傍らには、俺達の期待値を散々上げた石が転がっている。
でも、石と音が違うのが解る。そのまま掘り続けていく。
「缶だよ…これ缶だ」
「マジか?」
二人でまわりの土を払って、そして手で土を掘ると、錆びて腐敗している四角い海苔の缶が出てきた。
「ああ、こんなんだったわ」
手に持った北村が呟く。そして、開封すると…俺達の…タイムカプセルだった。
中には飴が入ってた…食える訳無いじゃん。バカじゃないの…。あとはやらなくなったゲームソフトと、当時の芸能雑誌。それと廃刊されたエロ本、エロビデオ…しかもVHS。
手にとって興奮した北村が叫んでる。
「なんのAVだろう? 超見たい」
「俺んち確かまだビデオデッキあったな」
「マジか? あとで観ようぜ」
「母ちゃんいるからなぁ…」
そんな事を言いつつも手紙が出てきた。この時埋めた4人分の自分宛の手紙…。
北村が自分の手紙を開封する。
「金持ちになりたい。いい女と結婚したい。出来れば芸能人がいいだって…マジ草」
「どれも叶ってねぇ」
「お前はどうよ?」
『未来の俺へ』と書いてある封筒、後ろのシールを取って開封する。相変わらず汚い字だ。ちっとも成長してないと痛感する。
「えっと…菅野美穂ちゃん結婚したいだって」
「俺と言ってる事かわんねーじゃん」
「あとは、『年食ったら又、4人で会う』って書いてある…」
北村は微笑みながら、俺の肩をぽんぽんと二回ほど叩く。
「そっか」
「うん…」
二人で示し合わせたように伸びをして…俺は呟く。
「よし、会うか」




