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第一四章 春の日に
翌週、俺たちは病院の桜の下で、小さな同窓会を開いた。
竹内と石田はずっと気まずそうだった。
北村は、どうやって別れたのかを、しつこいくらい聞いていた。
篠田さんは、その間ずっと楽しそうにしていた。
桜はちょうど見頃で、風が吹くたびに、花びらが少しずつ落ちていた。
宴も酣というところで、看護師が篠田さんを呼びに来る。
それが合図のように、その場は解散になった。
俺が車へと向かおうとすると篠田さんが俺の近くまでやってきて、服の袖を軽く掴む。
「飯田くん、本当にありがとう。またね?」
「うん。こちらこそ、楽しかった。ありがとう。またね」
それだけのやり取りだった。
それが、俺たちの最後の会話になった。




