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ひっくり返す魔法と魔痕探知師  作者: 端役 あるく


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ひっくり返す魔法4


5

 編集長の部屋から出て、リシェルは一つ息を吐き、胸を撫で下ろす。一瞬立ち止まって、また歩き始める。


 さて、またすぐに七区へと向かわなくてはならない。汽車に乗って1時間弱短い距離とは言い難い。首を回して、肩周りの筋肉をほぐす様な動きをとる。


「お疲れさまだね、リシェル」


「あぁ、こんにちはシャーリーさん」

 向かい側から歩いてきた、1人の女性に話しかけられる。


他部署の先輩に当たるシャーリーさんこと、シャルロッタ・リーベルに声をかけられる。


「最近はどうかな。相変わらず忙しそうではあるけれど」


「忙しいと言えば、そうですね。行き先の自由は効くので色々と助かるところはあるのですが」


「まぁ、あなたのところの編集長はあれだもんね。仕事第一、誌面を空けなければなんだって許すっていう。ほんとそんな感じ、あなたの雰囲気も」


「ところで、シャーリーさんはなぜこんな会社の奥までいらしたんですか?」


「あぁ、今の上司からの命令でさ。話は行ったら分かるとだけ言われて、あなたのところの編集長に会いに行くところ」


 シャーリーさんは私の様な担当雑誌や新聞を持っている訳ではなく、多種多様な雑誌制作に携わってきた経験から、他部署のものを手伝いに行ったりする事がままある。そのために、彼女は社内でもかなり顔が広く、こう言った渉外において彼女を使う事ができる部署は有利だろうと彼女は思う。


「今って、シャーリーさんはどこの部署にいるんですか?」


「日刊トリス」


「日刊トリス……」


「そう、日刊トリス。あの売れない新聞。売れないのだからもう少し刊行頻度を下げればいいのに、毎日毎日調べて書いての連続でほんとに嫌になるわよ」

「でも無理なのよね。うちのトリスの編集長、社長と仲良しらしくて、こっちの言い分はあんまり通んないの」

 辟易といった態度でため息をつくシャーリーに小さく同調の微笑みをただ向ける。


「さぁ、シャーリーさん、頑張るよ。リシェルも無理しない様に頑張ってね」そう言って、リシェルが元来た道を辿る様にして、シャーリーは消えていった。


 


 

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