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 しばらくして、啓徳と叶絵は再び連絡をとり合うようになった。叶絵の結婚前と離婚後に2回も再会できて懐かしくなったからだ。それからお互いにパートナーがいないことがわかり、2人で飲みに行くことになる。啓徳は叶絵が大人っぽくなっていることに、叶絵は啓徳が大人の男性になっていることにそれぞれ惹かれていた。高校時代の思い出補正も入っているかもしれないけれど。

 啓徳と叶絵はお酒を飲みながらいろいろな話をした。叶絵が

「そういえばまどかちゃんは大丈夫なの?」

 と訊くと、啓徳が詳しく教えてくれる。啓徳とまどかはあれからLINEするようになったそうで、

「まどかちゃんなら元気にしてるよ。『もうあいつのことは許さない。お金ふんだくってやる』って」

 と叶絵にまどかの現在の様子を伝えた。

「吹っ切れてるみたいで良かった」

 叶絵は安心した様子で言う。


 それから啓徳と叶絵は思い出話に花が咲き、懐かしさに酔ってホテルで体を重ねる。啓徳は叶絵の白い肌、華奢な体つき、細く浮き出た鎖骨、ぱっちりとした目など何もかもが愛おしかった。しかし付き合ってもいないのに手を出してしまったことの罪悪感もある。

 翌朝公園のベンチで話をしながら、啓徳は叶絵に

「昨日はごめんな、抑えきれなくて……。順番は逆になったけどちゃんと付き合おう」

 と切り出す。しかし叶絵は

「覚えてる? 高校の時、啓徳にひどいこと言ったの。私はもう、啓徳の隣にいていい人じゃない。それに離婚してトラウマもあるし……」

 とのことだ。啓徳には次こそ叶絵を幸せにしたいという意志があったので、

「トラウマも過去も一緒に乗り越えよう。叶絵は俺が守るから」

 と話した。叶絵がそれを受け入れ、啓徳と叶絵は復縁して再び交際を始める。



 あれから数年後、乃亜は大学を卒業して中学校の養護教諭になった。社会人になって3ヶ月が経ち、乃亜は啓徳と叶絵に近況報告がてら手紙を書くことにする。


啓徳さん、叶絵さんへ

ご無沙汰しておりました。お元気でしょうか。

私は大学を卒業して中学校の保健室の先生になりました。

まだ社会人になって3ヶ月しか経っていないのですが、ようやく仕事にも慣れてきました。

あの頃に啓徳さんと叶絵さんから救ってもらわなかったら、私の人生は違う道になっていたかもしれません。

私が道を外さなかったのもお二人のおかげです。

お二人には感謝してもしきれません。

鈴田乃亜より

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