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 平沢(ひらさわ)叶絵(かなえ)は元夫の谷津(やつ)雅一郎(まさいちろう)と離婚し、九州から大阪に戻ってきた。谷津との結婚生活は2年間だけだったので、子どもはいない。それでももう誰とも付き合ったり結婚したりする気にはなれないので、猫1匹と大阪市内のマンションでこぢんまりと生活している。

 自身が不登校だったこともあり、叶絵は不登校の子どもたちをサポートしたいと考えていた。そこで叶絵はフリースクール内の看護師として働き始める。小学生から高校生までたくさんの不登校の子どもたちがこのフリースクールにはいたけれど、ひときわ叶絵が気にかけていた女子生徒がいる。

 この女子生徒はいじめが原因で時々学校を休んでいたけれど、それでも学校の勉強に遅れをとらないように頑張っていた。そんな彼女が中学校を卒業する頃になり、

「かなえちゃん聞いて! 私、第一志望の高校に合格したの!」

 と報告を受ける。その高校は私立だけれど、彼女は特待生として合格できたのだ。それも行きたかった学科に。叶絵は自分のことのように嬉しかった。ひときわ気にかけていた彼女と、抱き合って合格を喜び合う。



 19歳の横見(よこみ)まどかには一回り上の鯖崎(さばざき)という恋人がいる。まどかと鯖崎は合コンで知り合ったけれど、鯖崎からは「俺、独身だよ」とLINEで聞いていた。しかしそんなまどかの元に、鯖崎の妻と名乗る女性からインスタグラムで連絡が来たのだ。

「横見まどかさんですか? 私、鯖崎の妻です。うちの夫とお付き合いされてますよね? 夫はあなたに独身と言っていたそうですが、既婚者で子どももいます。夫と別れていただけるのなら、慰謝料は請求しません」

 まどかはこのメッセージを見て驚いた。鯖崎とのLINEのスクリーンショットを添付し、妻への謝罪・鯖崎からは独身だと聞いていたこと・既婚者と判明したのであればすぐに別れるつもりであることを伝える。鯖崎の妻はまどかの話をわかってくれ、その場でやりとりは終わった。

 しかしまどかは憔悴し切っている。独身だと信じて疑わなかった彼氏が、妻子持ちだったから。私は不倫相手だったのかと思うと、まどかは全てに嫌気がさした。鯖崎への当てつけに死のうとも思ってしまう。せめて友人の鈴田(すずた)乃亜(のあ)にだけは生前お世話になった感謝を伝えたいと思い、まどかは乃亜に電話をかけた。

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