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8『俺は失敗作』
8『俺は失敗作』
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俺は随分、失敗作さ。この世の中において、ただ一人、置いてけぼりの、虚体なのであるから。是非、という勧誘に答えて、入りこんだ柔軟には生きられない世界が、俺を変革しようとする。ただ、絶望の虚空を見ては、何か言葉を呟くのが落ちだろう。
常識、というものの範疇に入らない、自由というものは、しかし倫理によって阻害されるんだ。そういう、云わば、一種の反逆というものが、今度は不自由になって、常識的釈迦愛に適応できなくなるんだ。その前に、言って置く、俺は失敗作。