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4『俺は失敗作』
4『俺は失敗作』
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俺はやはり、失敗作の様だ。何もかもが、上手く運んだ試しがない。生まれつきの馬鹿なんだろうな。そして、誰とも長く関係が続かない。何かに憑依されて、失敗作になったのか、その根源の原因が判明すれば、もっと上手く生きられるのにな。
どうしてこれだけ、俺が罰を下され、罪悪感の世界に佇んでいることを、誰とも共有できないのか。萩原朔太郎や宮沢賢治を思い出す。彼らとて、失敗作的苦悩の孤独に居たはずなんだ。彼らは、芸術で、それらを克服し、世に出たことが、何よりの生き方だった。