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まちまちの手遊び  作者: 佐智 こさじ
2024
45/101

一日一楽

毎日一つ、楽しみを作っている。

そうすると時間の流れが今までより

ゆっくりになる気がする。


-----------

一日一楽

-----------


学生の頃に比べて社会人の時間感覚は

素早い。速い、じゃなく、素早い。


よく社会人を揶揄して『社会の歯車』

と形容するが、本当に生活を送ること

自体、歯車にのっているような感覚になる。

毎日決まった時間に、決まったタイミング

で仕事はあるから、

それに合わせて生活は整えられていく。


平日と休日、通勤時間、お昼休み、

帰宅時間…


ラッシュと呼ばれる時間帯が固定化して

いることからも、多くの歯車が似たような

動きをしているからだと思う。


一日一日、やることは違っても、動く時間

が一緒なら、それは単調な生活だ。


繰り返される回数が長くなればなるほど、

社会人生活が長くなればなるほど、

時間は銃弾のように去って行って、

最後に私を貫いていく。


「私、この一年、何やった?」

という喪失感に、何度痛みを覚えたことか。


だから、一日一善ならぬ一日一楽を

目指してみることにした。


ルールは簡単。


【毎日一つ、楽しみを作る】。


これは些細なものでよくて、例えば


「肉まんを食べる」とか

「カフェで本を読む」とか、


そういう簡単に自分の都合でできたり

やめたりできるものにすることがコツ。


そうすると、義務感がなくていい。


やらなきゃならないことは含まない。


あと、「○○さんによくやった、と言ってもらう」

など、他人を評価の軸にした目標も却下だ。


(もともとそんな目標を立てる人も少数だな…)


加えて、この決めたことを実行せず、その日

思いついた一楽でもいい。


例えば「肉まん食べようと思ってたけど

麻婆豆腐定食にしよう!」とかも全然オッケー。


肝心なことは、これをスケジュール帳に

メモしておくことだ。


一日のマス目に一言。


『麻婆豆腐定食を食べる』


これでOK。


そうすると、いつも一時しか頑張れず、

スッカスカ常習犯だった私のスケジュール帳

が、少なくとも一言ずつ埋まるのだ。


ちなみにこの一日一楽のおかげで定期預金

の解約&新規契約もぎりぎり間に合った。


ふー、危ないところだった。スケジュール帳に

書いていても、見なけりゃコロッと忘れる

もんだな。


こうしてみると、意外と一日って長い時間

を過ごしているし、「明日やりたいこと…

ない!」という日も珍しくないことが分かる。

全然惰性で毎日を生きて、「あっという間に

一年過ぎたな―」と思うのもよし。


だけどこれを初めて私は確かに、私の一日の

長さとひそやかな可能性に心がときめくこと

が増えたのだ。






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