きっかけ
文章を書きたいと思ったきっかけは、
こんな文章を書きたい!と思わせて
くれる作品に出会えたからだ。
----------
きっかけ
----------
私はとても影響されやすい人間だ。
簡単に流行に乗ってコンビニの新商品
は買ってしまうし、
キレイやカッコイイといった概念は
他人の評価を基準に決めてしまう
悪い癖がある。
それを自覚しているので、せめて
本だけはできるだけ書評を読まずに
決めようと心がけている。
そんな私はあまりエッセイを読まなかった。
だれかの日常の思考になんて興味ないし、
それよりも壮大な物語や小説の方が、
心揺さぶられて現実逃避もできると
思っていたからだ。
それくらい、学生の頃の私は周りが
見えていなかった。
社会人になって数年の頃、私は仕事が
楽しくなくて仕方なかった。
新人期間なんて誰しもそんなものだし、
何も珍しいことじゃない。
みんなが通る道だから、静かに息を
潜ませていれば、いずれこの状況に
慣れると信じていた。
そうこうしているうちに、私は
入院してしまった。
まあ消化の具合がとっても悪くなったのだ。
お腹が痛くてたまらない。
一睡もできない。
お腹が痛いくらいで救急車を呼ぶなんて、
本当に救急隊員の方に申し訳ない。
だけど一人ではもう、歩くことさえ
出来なかった。
なんとかかんとか救急患者を受け入れて
くれた病院に搬送してもらったおかげで、
私はお腹とともに救われた。
四人部屋にいれてもらい、ひたすら
病室のベッドの上でうずくまる。
いきなり飛び込んできた患者に
慣れた様子で、同室の人はささやかな
音に気を配りつつも生活していた。
私はひたすらカーテンの内側で
息を殺していた。
そんな状況は私を簡単に心細くさせた。
このままだと、私の心が折れる。
そう思った私はかすかな記憶を頼りに、
昔大病で死の淵をさまよいつつも
生還し、今も勢力的に活動を続けている
という大人気な人の音楽を聴くことにした。
なんでもいいから、同じ、いや、
もっと大変な状況から舞い戻ってきた人の
作品に、自分を支えてもらおうと思ったのだ。
ノイズキャンセリングの高性能
イヤホンを持っていてよかった、と
心の底から思ったのは、この時が初めて
である。
小さく、でも身体に染みわたっていく
音楽は、劇的に感動して身体が元気いっぱい
になるわけじゃないけれど、
ただ一緒に同じ時を過ごしてくれた。
一番つらい思い出に、無言で寄り添ってくれた
音楽は、今でもそのフレーズに優しさを
感じる。
私は最大の心細さを少し、手放すことが
できた。
その後元気に回復した私は、仕事に
復帰してしばらくして、転職することに
なるのだけど、それはまた別の話。
私はあまりエッセイを読まない。
だけど、その瞬間私を支えてくれた
音楽を生み出してくれた人のエッセイ
は、買って読むことにした。
そして、私自身もこうやって駄文力を
磨いて文章力を鍛えたい!と思ったのである。
そのエッセイは『いのちの車窓から1』
という。
作者は大人気な星野源さんである。




