エピソード 1ー3
一巻6/25日発売です!
瘴気溜まりを浄化する前回の遠征では、安全確保に時間を掛けることで、逆に魔物の増加を許してしまった。その反省もあり、今回の任務は迅速に開始された。
シリル様の指揮の下、マクシミリアン率いる第二騎士団の面々が護衛に付き、聖女であるセシリアを筆頭に、私、それにアナスタシアとエリザベスが同行している。
そうして歩くのは、前回と比べると比較的浅い――木々の密度の低い森だ。王都付近にあることもあり、普段は貴族が狩猟をおこなうこともある。
そんな森だから、前回よりもずっと歩きやすい。私は木漏れ日の降り注ぐ獣道を歩きながら、少し前を歩くシリル様に視線を向けた。
彼が油断なく歩みを進める度に、柔らかいキャラメルブロンドがふわりと揺れる。今回の彼は総指揮官という立ち位置ながら、実際の指揮をマクシミリアンに一任していた。
……前回、自分が出した指示のせいで、アルスターが命令違反の罰を受けたこと、責任を感じているのかな? あれは、むしろ私のせいなのに……
そんなことを考えていると、シリル様がクルリと振り返った。
「ソフィア、このペースで大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「本当か? 倒れるまえに言うんだぞ?」
「……あの、私、そんなに信用ありませんか?」
子供じゃあるまいしと唇を尖らせる。
「持久走で、倒れるまで走ったのを忘れたのか?」
「あ、あれは……その節はご迷惑をおかけしました。というか、忘れてください」
恥ずかしいと俯く。
シリル様は笑って、他の令嬢達にも「休憩が欲しい場合は遠慮なく申し出てくれ。大事なのはそなたらが万全のコンディションを維持することだ」と言ってくれた。
そうして弱音がこぼれないことを確認して、彼はまえを向いて歩き始める。
私はシリル様に助けられてばっかりだ。いつか借りを返せるようにがんばろう。そんな思いを胸に歩みを進め、ふと隣に並ぶセシリアに視線を向けた。
私とおそろいの護りの力が施された最高級のローブ。セシリアはそのローブの端をギュッと握りしめていた。ぱっと見では分からないけれど、実は緊張しているのかもしれない。
「……セシリア、大丈夫?」
「え? あ、はい。このくらいの森ならへっちゃらです」
「そう? それにしては、少し緊張しているようだけど」
「……あはは、お姉様には分かっちゃいますか? 実は、少し不安で。本当に、私がお姉様みたいに瘴気溜まりを浄化できるのかな、って」
セシリアは視線を落とし、手のひらを胸元に添えた。その指先がわずかに震えている。
だけど、前回の瘴気溜まりを浄化したのはセシリアの魔力だ。
なにより、私はここが乙女ゲームを元にした世界だと知っている。セシリアがヒロインであり、救国の聖女である以上、セシリアのそれは杞憂でしかない。
とはいえ、重責を背負ったセシリアが不安に思うのは無理もない。
「セシリア、大丈夫よ。もしも貴女が浄化に失敗しても、私が浄化をしてあげるから」
私はセシリアの魔力を使って瘴気溜まりを浄化した。その事実がある以上、いまの理論は成り立たない。だけど、セシリアを安心させてあげたくて、私はそんなふうに微笑んだ。
そこに、アナスタシアが割って入る。
「あら、聞き捨てなりませんわね。セシリアの次に浄化をするのは私ですよ。ソフィア様は既に浄化を成功なさっているのですから、次の浄化は譲ってくださいませ」
そう言ってイタズラっぽく笑う。
これも私と同じだ。
アナスタシアがセシリアの魔力を使って浄化するつもりでいる以上、セシリアに不可能ならば、必然的にアナスタシアにも不可能ということになる。
つまり、セシリアを励ますための軽口。それが分かったのだろう。セシリアは「二人とも、ありがとうございます」と表情を和らげた。
そこに、今度はエリザベスが近付いてきた。
「順番を決めるのなら、私もアナスタシアの次に入れてくださいませ。あぁもちろん、新たな瘴気溜まりが発見されたときの話ですわよ?」
「私の次で……よろしいのですか?」
エリザベスは侯爵家の令嬢で、護衛の隊長を務めるマクシミリアンの娘でもある。望めば、特別待遇を受けることは不可能じゃない。
少なくとも、アナスタシアのまえに割って入ることは難しくない。けれど、それを遠回しに聞かれたエリザベスは、「心外ですわ」と淡い黄色の髪を手の甲でバサッと払い除けた。
「私、権力の使いどころはわきまえていますわ。悔しいですが、私の治癒魔術よりも、アナスタシアの治癒魔術の方が強力でしたもの」
そう言って胸を張る。エリザベスの黄色い瞳は気高くて綺麗だった。
アナスタシアの瞳に後悔が滲んだ。
「失言でした。どうかお許しください」
「気にしていませんわ。それに、使いどころではないと判断しただけで、必要であれば権力を振りかざす覚悟はありますわ。侯爵家の娘として、結果を出す必要がありますから」
「……やはり、エリザベス様も?」
「ええ。お父様は野心家ですから。でも、そういう言い方をすると言うことは……」
エリザベスが言葉を濁せば、アナスタシアはコクリと頷く。
「……ええ。我がモントゴメリー伯爵家は古くから続く家柄ですが、恥ずかしながら近年は衰退の傾向にあります。ですから、私が功績を立てて、家を再興したいのです」
「そのような事情がおありでしたのね。幸い、聖選の癒し手という立場であれば共存は可能ですもの。力を合わせて、お互いにがんばりましょう」
なにやら二人のあいだに友情が芽生えている。そうして微笑ましく思いながらやり取りを聞いていると、エリザベスが「そう言えば」と切り出した。
「私、皆さんの治癒魔術に興味があります。ソフィア様が冒険者ギルドに公開したという情報を仕入れて試しましたが、素晴らしい効果でした」
「やっぱりそう思いますよね!」
セシリアが即座に食いついた。
それに対し、エリザベスが力強く頷いた。
「ええ、ソフィア様は本当に素晴らしい技術をお持ちですわね。セシリア様、よろしければ、私にソフィア様から学んだことを詳しく教えてくださいませんか?」
「もちろんかまいませんよ!」
と、セシリアは治癒魔術の説明を始める。話を聞いていると、私の訓練方法で治癒魔術の腕前だけでなく、魔力量も増えているという。それを聞いたエリザベスが驚きに目を見開き、セシリアは宝物を自慢する子供のように目を輝かせている。
明らかにエリザベスに乗せられているけれど……まぁ悪巧みではないので問題はない。
それより――と、私は別の心配事に意識を向ける。
オラキュラ様曰く、この世界に物語の強制力のようなものはない。
ただし、原作の設定は有効なので、それらが引き起こす未来を変えるには困難が伴うことも経験済みだ。
そして、この世界には危険な設定がいくつも存在している。
たとえば、原作乙女ゲームの続編では、ルミナリア教団と敵対する存在として、混沌の神を祭るナイクティス教団が登場する。
混沌=自由を掲げ、人々を縛る秩序や伝統からの解放を説く教えを広めている――というのは表向きの教義で、その実は世界を混沌へと導こうとする危険な団体だ。
登場するのはもっと先だけど、いずれは必ずぶつかることになるだろう。それは原作の強制力なんかではなく、設定が存在するがゆえの必然である。
他にも、原作には危機的状況を演出するための危険な設定が多くある。原作ではどれも間一髪で回避、あるいは乗り越えるものばかりだけど、現実ではあっさり命を落とす可能性もある。
そう言った危険要素の中に、直近で気を付けなければならない設定がある。
幻影蝶――瘴気溜まり付近に発生する魔物の一種だ。
見た目は美しい蝶ながら、その鱗粉には毒がある。ただし、一般人への影響は少なく、鱗粉に触れたとしても風邪程度の症状をしばらく患うことになるだけである。
だが、魔力が多い者に対しては強く影響を及ぼす。高熱や激しい倦怠感に襲われて魔術を使えなくなり、最悪の場合は死に至る。
しかし、魔力が高い者はそう多くない。
ゆえに脅威に気付くのが遅れ、見た目が綺麗な蝶として、高値で取引されることとなった。その結果、シリル様が毒に侵されてしまうというのが原作のストーリーだ。
原作で幻影蝶が登場するのはもう少し先の話。聖女の献身と特効薬の開発により、シリル様は一命を取り留めるのだけれど、現実となった世界でも原作通りに上手くいくとは思えない。
特効薬の開発は出来るだけ早く行いたい。
それに、幻影蝶は瘴気溜まり縁の魔物だ。今回の瘴気溜まりに発生しても不思議はない。出来るだけ注意を払っておこうと周囲を見回した私は、側面の木々の向こうに揺れる影を見た。
「ソフィアお姉様、どうかしましたか?」
「いま、なにか――」
私がその先を口にするより早く、先頭をゆく護衛の騎士達が足を止めた。
「シリル様、先行部隊のうち漏らしたブラッディウルフがこちらに向かってくるようです。どのように対処するか、ご命令をください」
マクシミリアンが総司令の立場にあるシリル様に指示を求めるが――
「マクシミリアン、指示を頼む!」
シリル様は迷わずマクシミリアンに判断を委ねた。
「はっ! ――ただちに迎撃に入れ! 決して聖女や聖選の癒し手を傷付けさせるなよ!」
マクシミリアンの指示のもと、騎士達は即座に抜剣、ブラッディウルフを迎撃を開始。そこかしこから鈍い金属音が響いてくる。
最初の遠征なら、既に取り乱す聖女候補が現れていただろう。だけど、間近で戦闘を経験するのは二度目である。私達は緊張感を抱きながらも、その場にて待機する。
ブラッディウルフは瞬く間に一体、また一体と倒れ、ついには最後の一体が倒された。
「……無事に撃退できたようですね」
前回の戦闘では、全滅の危機へと陥った。今回は比較的安全だと聞いていても、無意識に前回と比べてしまっていたのだろう。戦闘の終了を確認した私は大きく息を吐いた。
直後、側面の茂みからガサリと音が響く。
「――っ」
視線を向けた私の目に飛び込んできたのは、茂みから飛び出すブラッディウルフの姿だった。
そうだ。さっき、私はこの方向で動く影を見た。どうして忘れていたんだと後悔の念を抱くが、ブラッディウルフが私に飛びかかることはなかった。
真っ先に動いたシリル様がブラッディウルフを一刀のもとに斬り伏せたから。
「無事か、ソフィア」
「え、ええ、おかげさまで」
「そうか、ならばよかった」
シリル様がふっと笑う。その優しい笑顔を見た瞬間、私の鼓動が一拍だけ乱れた。落ち着かない気持ちになった私はシリル様からふっと視線を逸らす。
……うぅ、相手はセシリアの運命の相手なのに。いくら自分の推しとはいえ――と、頭を振った。そうして冷静を装いつつ、あらためて周囲を眺める。
周囲では、まだ魔獣に対する警戒が続いていた。
「他に伏兵はいないか?」
「確認は出来ません」
「よし、ならば進軍を再開する」
マクシミリアンの指示のもと、一行は進軍を再開した。その動きは整然としていて、よく訓練された部隊であることが見て取れる。
アルスターの率いる第一騎士団と比べても遜色がない。彼の失脚の裏には、マクシミリアンが関わっていて――なんて裏設定を予想したのだけれど、そういう訳ではなさそうだ。
それとも、優秀だからこそ、悪巧みを……なんてこともあるのかしら? どちらにせよ、護衛として優秀なのはいいことだ。
私はそんなことを考えながら足を動かした。
しばらく獣道を進むと、遠くに黒い点が見えた。
風景画の一点に黒いインクを落としたように、瘴気溜まりが虚空に浮かんでいる。周囲には何体か魔物がいたけれど、それは護衛が瞬く間に倒してしまった。
「周囲の安全確認は終わりました」
マクシミリアンの報告に、シリルがコクリと頷いた。
「セシリア、周囲の安全は確保された。瘴気溜まりを浄化してくれ」
「は、はい、分かりました」
シリル様に促されたセシリアがおっかなびっくりまえに出る。私は彼女が真の聖女だと知っているけれど、他の者達は確信がない。
不安と期待の入り混じった視線が彼女に集まる。
そんな中、セシリアはお兄様から贈られた魔導具のネックレスを左手でギュッと握って、祈るような仕草をすると、右手をゆっくりと瘴気溜まりへ伸ばした。
瘴気溜まりは半径が人の背丈ほどある球体で、表面は揺らめく影のような瘴気が纏わり付いている。光を呑み込むその闇は、見る者の恐怖心を掻き立てる。
その漆黒の側面に、セシリアの白くしなやかな指先が振れ、ずぶりと中に沈んだ。
そして――それによる変化は劇的だった。
前回、私が瘴気溜まりを浄化したときとはまるで違う。セシリアが手を沈めた瞬間、球体に垂らした白いインクが浸食するように、瘴気溜まりを白く染め上げていく。
わずか数秒、瘴気溜まりは光に浸食されて消え去った。
「……え? えっと、これで、いいんでしょうか……?」
浄化を成した本人が一番びっくりしているし、他の者達はなにも言えないでいる。そんな空気を打ち破り、私はセシリアのまえに立った。
「おめでとう、セシリア。これで貴女が真の聖女だと証明されたわね」
「ソフィアお姉様、私……」
「なんて顔をしているの?」
「だ、だって、私……」
なにか言いたげな顔で、だけどなにも言えないでいる。私はセシリアが、そして周囲の者達がなぜ微妙な空気になっているのか分かっている。
「当ててあげましょうか? 私のこと、気遣っているのよね?」
瘴気溜まりを浄化した私は、聖女として持て囃された。だけど、セシリアが真の聖女であることが決定すれば、その流れが覆る。
私の地位は少なからず低下することになるだろう。
だけど――
「最初に言ったでしょ? 私は貴女の魔力で浄化しただけだって」
「ソフィアお姉様、でも……」
「でもじゃないわ。聖女としての称賛は、最初から貴女が受け取るべきだったのよ」
セシリアはそれで受け入れられないと言いたげに下を向く。
そんな彼女のもとにアナスタシアが歩み寄った。
「セシリア、貴女は喜ぶべきよ」
「だけど……」
「貴女が聖女であることは疑いようがないわ。そして、ソフィア様が危機的状況で機転を効かし、あなたの魔力で瘴気溜まりを浄化したという功績も揺るがない。だから、胸を張りなさい」
「……そう、ですよね」
セシリアはそう言って胸のまえできゅっと拳を握ると、私を見て満面の笑みを浮かべた。
「よく考えたら、普通に瘴気溜まりを浄化した私より、私の魔力で瘴気溜まりを浄化しちゃったソフィアお姉様の方がすごいですよね!」
「……いや、それはないと思うけど」
私は苦笑するけれど、なぜか周りの人達が「言われてみれば……」と毒されている。いや、言われてみればじゃないのよ。どう考えても聖女の方が偉いじゃない。
なのに、アナスタシアが「いえ、セシリアの言い分にも一理あると思います」と言った。
「私はセシリアの魔力を借りただけよ?」
「ええ、ですがそのおかげで、セシリア以外の者――私でも瘴気溜まりを浄化することが出来ると証明してくださいました。おかげで、私もがんばれます」
アナスタシアがきゅっと拳を握る。きっと、家の再興のために、次は自分が浄化してみせると気合いを入れているんだろう。それが分かるから反論しづらい。
応援してあげたいなと思った直後、私の視界の隅で小さな光が舞った。それはまるで、虚空を舞い散る宝石のように煌めきながらゆらゆらと揺れていた。
「あら、これは――」
近くにいたアナスタシアがそれに気付いて手を伸ばした。ゆらゆらたゆたう煌めきが、その手に誘われるように近付くそれは、一片の幻想的な蝶――っ。
「アナスタシア、それに触れちゃダメよ!」
その正体に気付いた瞬間に叫ぶ。だけど、私が叫ぶのと同時、その蝶――恐らく幻影蝶はアナスタシアの指先に止まっていた。私は即座に水の魔術を発動する。
「ひゃあっ、なんですの!?」
水の奔流がアナスタシアをずぶ濡れにしながら幻影蝶を押し流した。羽が水に濡れたそれは、煌めきながら地面の上に落ちる。
「それは魔物よ!」
私が警告した直後、マクシミリアンの放った短剣が蝶を地面に縫い止めた。彼は幻影蝶が動かなくなったのを確認してから、私に視線を向ける。
「ソフィア嬢、この蝶が魔物だというのは事実ですか?」
「確信はありません。ですが、古い文献に、このように美しい見た目の蝶が、瘴気溜まりから発生することがあると書いてあったので」
「ふむ……特に脅威があるようには見えませんが、なにか特殊な能力があるのですか?」
「その文献には、鱗粉に毒があると書いてありました」
「なるほど、それで……」
その場にいた面々の視線がアナスタシアに向けられる。戦闘用のローブを纏う彼女はずぶ濡れになっていた。そんな彼女がくしゅんと、可愛らしいくしゃみをする。
「ご、ごめんなさい、ずぶ濡れにするつもりはなかったの」
「いいえ、助けていただいたことに感謝いたします」
アナスタシアはローブを摘まんでカーテシーをする。ただ、水で張り付いたローブ姿ではうまく出来なかった。見かねたマクシミリアンが、部下に着替えるスペースの用意を命じた。
ほどなく、小さな空き地に天幕が用意される。
「それでは、申し訳ありませんが、着替えさせていただきます」
アナスタシアが天幕に消え、その手伝いとして女騎士の一人が後を追った。それを見送っていると、マクシミリアンに声を掛けられる。
「ソフィア嬢、幻影蝶をサンプルとして持ち帰りたいのですが、大丈夫でしょうか?」
「さっきも言ったように、鱗粉に毒があります。水で流したからある程度は大丈夫だと思うけど、直接は触れずに革袋かなにかに入れる方が無難でしょう」
「なるほど。ではそのようにいたしましょう」
マクシミリアンの命令で、騎士の一人が幻影蝶を採取する。
それをちらりと見たあと、私はセシリアに向き直った。
「……想定外のことで遅れたけど、瘴気溜まりの浄化、おめでとう」
「はい。ソフィアお姉様のおかげです!」
「もう、私は見守っていただけよ?」
相変わらず私の評価が高いと苦笑しながら、エリザベスにも「お疲れ様」と声を掛ける。彼女も少なからず緊張していたのだろう。彼女は息を吐き、花が開くように微笑んだ。
セシリアが聖女であると確定し、聖女以外にも瘴気溜まりを浄化する方法が発見された。順番は違うけれど、原作の山場を超えたと言える。
友人や恋人を作って幸せな日々を送る。そんな目標に一歩近付いたのだという実感を抱いて、私は胸のまえできゅっと拳を握りしめた。
直後、天幕の方から慌てる女性の声が響いた。
今夜22日の20時に「回帰した悪役皇女はうつむかない」の一章が完結します。
まだの方はぜひご覧ください。
リンクは↓にあります。




