魔王復活
魔王城——ギシテイラ。
ここも俺が勇者時代にルイロスと戦った戦場だ。
そこへ俺は、転生した。
「なんだ俺を呼んで」
「お待ちしておりましたぞ。魔王——シン・レグリアス」
魔眼で邪視を覗くと、かなりの魔力の持ち主だ。
それより、ふむ。俺の名はそういう名前なのか。
どうやら、前の魔王ルイロス・アグロードは伝説の魔王として、残っているようだ。
この王座の間に、ルイロスの姿が貼られている。
俺の名は、新の魔王ということだ。
「ここで何を? こんなに集まって」
ここにはものすごい数の魔族がいる。
だが、魔力はそれほどではないようだ。ただ、俺のために来たみたいなものだろう。そんな佇まいだ。
「魔王様の復活を祝って、魔王復活祭を開きます」
内心いらないと思ったが、これほどの人数が集まったのだからと思い、復活祭を開くことを許可する。
「いいだろう」
これも全て——破壊のため。——約束のため。
そう思うことにする。
ここで、魔王の立場をしっかりととり、勇者に会うために俺の強さをこれからもアピールしなければならない。
このように偉そうな態度も勇者の頃はしなかったが、今では約束のために必要なことだ。
そこで、俺の家にも来ていたメイドが俺のところに来た。
「魔王様。メイドの——メイ・ソリアでございます」
そう行儀よく、俺の目の前で挨拶をする。
青がかった短髪の髪。動きやすくするためだろうとすぐ分かる。目がクリンと丸く、鼻のラインがとても綺麗だ。
そこらへんの魔族だったらこのメイドに一目惚れでもしていそうな程の可愛さだ。
だが、なぜ魔王にメイドなのだ? もしや、ルイロスはメイドをつけて毎日生活をしていたのか? なんて贅沢なことをしてるんだ。
「俺の専業メイドということか?」
「はい。そうでございますよ」
「そうか」
そう言うと、メイドのソニアはニコッと俺に微笑んだ。
「このメイドが不要でしたら、他のメイドをご用意致しますぞ」
そこで老人が言った。
「こいつでいい」
俺はその老人にそう言った。
俺はこの復活祭を始めるための合図を声に出して言う。
「皆のもの! 魔王は復活した。これからは破壊を自由とし、崩壊を楽しめ! これからは魔王の時代だ! 復活祭の始まりー!」
やばっ! そう思ったが、遅かった。
最後の部分を自分も楽しんでしまったのだ。
だが、周りの様子を見ると、変に違和感を感じたものはいないようだ。
唯一違和感を感じ取ったのは——隣のメイドくらいだろう。
俺はそんなメイドを無視して、テーブルに並べられている酒を楽しんだ。ついでにメイドにも飲ませた。
子供っぽさを直さなくては……。少々楽しいことがあると、ガキっぽさが出てしまうな……。
そう思いながら、魔王復活祭は始まった。