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勇者時代

「さすが勇者」

「そうでもないさ」

 

 俺は今、目の前にいる魔王《《魔王》》にたたえられている。

 

 なぜ魔王が俺の目の前にいるのか。


 それは勇者の使命として、この魔王と戦っているのだ。


 俺と魔王はずっと戦ってきた。


 そして決着はつくことはない。それも、まず勇者は死なない。そして——魔王も。


 魔王は魔力で、勇者は、根源の多さで。お互い死ぬことはないのだ。


 それを知らない国民たちはやっとか、オレのことを非難し始めた。


『いい加減やっつけてくれよ』

『勇者変われ』


 が、オレのことを非難せずに、かばおうとしたものもいる。


『みなさん、落ち着いてください! 勇者様も頑張っておられるのです!』


 そんな女性の大きな声を聞いてもなお、非難の声は止まない。


 そして、ある日、オレを庇ってくれたものが行方不明となった。


 何人も、そして国民全員がオレのことを敵とみなし、オレの殺害を目論もくろみ始めたのだ。


 今日もまた、国から逃げ出すように、魔王と戦っている。


 そして、ふとオレの目の前にいる魔王がオレにこう言った。


「なあ、勇者。転生しないか?」

「何を言っている」

「世界をやり直すんだよ」

「世界を……?」


 魔王は突然そんなこと口にした。


「ああ。根源を2000年後の世界に移す」

「急になんだ」

「オレもうんざりだ、魔王なんて。そうだ、いい事を思いついた」

「いい事?」

「俺は勇者に、お前は魔王に転生しよう。そして、お前は世界を滅ぼせ。それを俺は止める」


 ふざけた話だ。

 

 が——面白い話でもあった。


「ふむ……」

「受けるか?」


 そうオレに問う魔王。


「いいだろう」


 オレはこの話に乗ることにした。


「そして、勇者」


 そう言い笑っている。


「オレの記憶は2000年後まで持っていかない。お前のだけだ」

「なぜだ」

「お前が俺を見つけるんだ。その方が面白いだろ? 破壊を楽しむ魔王を勇者は止める。その勇者を見つけ出せ。まあ、俺が勇者になれるとは限らない。2000年間の間に勇者がいれば、そいつが勇者だ」


 まるで遊びかのように言う魔王。


「遊んでいるのか?」

「もう、この世界は遊びだろ?」

「そうだったな」


 そうして、魔王は起源魔法を使い、根源もろとも2000年後に移動させる。


「ではいくぞ」


 そう言い、魔法を発動する。


 オレたちはこの世界から消え、2000年後に転生した。


 その2000年の間、何があったかは、一切知らない。



 


 

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